新型コロナ 世界からの報告
中国の専門家
「ゼロコロナ緩和が必要」論文発表で波紋

2022年4月21日

中国の上海で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中国で権威のある専門家が「ゼロコロナ」政策について、いつまでも継続することはできないとする論文を発表したものの、共産党系メディアが論文の趣旨を打ち消すような内容を伝え、政策の見直しを求める声が広がらないよう神経をとがらせているとみられます。

中国の上海では4月20日、新型コロナウイルスの感染者が1万8495人確認されました。

一日の感染者数は4日連続で減少していますが、依然として市内各地で厳しい外出制限が続いています。

こうした中、政府の専門家チームのトップを務めた鍾南山氏が、4月、学術誌で論文を発表し、感染を徹底して抑え込むため習近平指導部が続けている「ゼロコロナ」政策について「経済を正常化させるためには緩和する必要があり、いつまでも継続することはできない」と指摘しました。

これについて、中国のネット上では賛否の書き込みが相次ぐなど波紋を呼んでいますが、共産党系のメディアは鍾氏が8日の講義で「現時点では政策を緩和することはふさわしくないと述べた」として、論文の趣旨を打ち消すような内容を伝えました。

習近平指導部が「ゼロコロナ」政策の堅持を強調する中、国民の間に政策の見直しを求める声が広がらないよう神経をとがらせているとみられます。