新型コロナ 世界からの報告
上海 新型コロナ
適切な治療受けられず死亡も 当局に批判の声

2022年4月19日

新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい外出制限が続く中国の上海では、4月18日に感染者7人の死亡が確認されました。
こうした中、SNS上では、適切な治療を受けられずに亡くなったとするケースも報告され、当局への批判の声が上がっています。

上海市当局は4月18日、一日で新たに2万416人の感染者が確認されたと発表しました。

また4月17日に、およそ2年ぶりに感染者の死亡が確認されたのに続き、上海市当局は4月18日も7人が死亡したことを明らかにしました。

一方、SNS上では、外出制限など厳しい感染対策のもと、適切な治療を受けられずに亡くなったとするケースも報告されています。

このうち、上海在住の著名な経済学者、郎咸平氏は、体調不良を訴え病院を訪れた98歳の母親がPCR検査のため4時間以上待たされ、その間に死亡したと明らかにしました。

SNS上では「どれだけの人が、今回の規制のもとで亡くなっているのだろうか」などと当局の対応を批判する声が上がっています。

こうした中、中国の保健当局のトップは、共産党系の機関紙に「『ウイルスとの共存』という誤った考えに明確に反対しなければならない」として、習近平指導部が掲げるゼロコロナ政策の堅持を求める文章を発表し、当局は、動揺が広がらないよう警戒を強めています。

保健当局は“ゼロコロナ政策堅持” 動揺に警戒

中国の上海で外出制限が長期化し、当局に対する住民の不満が高まる中、保健当局は、習近平指導部が掲げるゼロコロナ政策の堅持を求める文章を相次いで発表し、動揺が広がらないよう警戒を強めています。

このうち、中国の保健当局、国家衛生健康委員会のトップ、馬暁偉主任は、4月18日付けの中国共産党の幹部養成学校の機関紙「学習時報」に寄せた文章で、ゼロコロナ政策について「習近平国家主席を核心とする党中央が、科学に基づき大局を見て下した重大な決断だ」と指摘し「『ウイルスとの共存』という誤った考えに明確に反対し、この政策を堅持しなければならない」と主張しています。

そのうえで「大きな試練は続くが、少しも気を緩めてはならない。大規模な感染を起こさないことを堅持し、実際の行動で共産党大会を迎えよう」と訴え、ことし後半に予定されている5年に1度の共産党大会に向けて対策を緩めないよう求めています。

一方、中国疾病予防センターの首席専門家の呉尊友氏は、4月18日夜、中国のSNS、ウェイボーに文章を投稿し「最近の感染状況を受けてゼロコロナ政策に自信を失い、実現できないと考える人もいる」と指摘する一方で「中国は過去2年間、感染の抑え込みに成功している」として、ゼロコロナ政策の維持が最良の選択だと主張しています。

また、この政策が経済に打撃を与えているとする指摘についても「ゼロコロナ政策を行うことで、取らない場合に比べ影響は半分に抑えられている」などと反論しています。