新型コロナ 世界からの報告
中国 上海 新型コロナ感染拡大で
外出制限続く 経済活動に影響

2022年4月5日

新型コロナウイルスの感染が拡大している中国の上海では4月4日、一日当たり過去最多となる1万3000人余りの感染者が確認されました。
上海市当局は、今後の対応を決めるまで市内全域で厳しい外出制限を続けるとしていて、経済活動への影響が広がっています。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中国最大の経済都市、上海では4月4日、2400万人を超えるすべての市民を対象にPCR検査を行い、無症状の人を中心に過去最多となる1万3354人の感染者が確認されました。

一日に確認された感染者数が1万人を超えたのは初めてです。

感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策のもとで、上海では2021年、市中感染が確認されない日も多くありましたが、3月以降、感染が急速に拡大し、この1か月余りでは7万3000人を超える人が感染するなど、拡大に歯止めがかからない状況が続いています。

こうした事態に、上海では、市当局が7万人を超える感染者などを収容できるよう隔離施設を相次いで設置するなど準備を進めているほか、医療体制のひっ迫に対応するため、中国軍の医療関係者などが各地から派遣されています。

一方、市当局は4月4日に行った全市民のPCR検査の結果を分析し、今後の対応を決めるまで、市内全域で厳しい外出制限を続けるとしています。

解除の時期が見通せない中で、現地では物流に支障が出ているほか、日系企業の工場の稼働が相次いで停止するなど、経済活動への影響が広がっています。

邦人経営者「売り上げ半減 早く本来の状態に戻ってほしい」

4月5日までの予定だった外出制限が延長された、上海の西部に住む塩谷朋也さん(32)は「外出制限が解除される期限を迎えたが、おそらくきょうは外に出られず、いつ出られるのかもわからない。外で買い物ができないなど物資の調達が制限され困っている」と話していました。

現地でネット通販の事業を行っている塩谷さんは「売り上げは半減している。顧客から発注を受けても倉庫から商品が運べず発送できないのでかなり影響を受けている」と話していました。

そのうえで「会社を創業したばかりで本来は営業活動をして新規の顧客を獲得しなければならないが、外出制限のため難しい。目先の売り上げが見えず、かなり不安を感じており、一刻も早く本来の状態に戻ってほしい」と訴えました。

「ゼロコロナ」政策の継続姿勢崩さず

2月に北京オリンピックが閉幕した中国では、変異ウイルスのオミクロン株の感染が3月以降各地で拡大しています。

保健当局によりますと、3月、中国全体で市中感染した人の数は無症状の人も含め累計で10万3965人に上り、4月2日からは3日連続で一日当たり1万人を超えるなど、過去最悪の水準が続いています。

中でも、上海での新規感染者が多くを占めていて、3月からこれまでの感染者が累計で7万3000人を超えたということです。

このほか、東北部の吉林省 長春でも4月4日、1940人の市中感染が確認されるなど感染拡大を抑え込めておらず、市の全域を対象にした外出制限が3月11日から3週間以上続けられています。

上海や長春などでは、感染対策の強化による市民生活などへの影響が広がっていますが、中国政府は感染拡大を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を継続する姿勢を崩していません。