専門家会議「新しい生活様式」の実践例

「新しい生活様式」具体的には

2020年5月4日

専門家会議の提言では、新たな感染者の数が限定的となった地域では再び感染が拡大しないよう長丁場に備えて「新しい生活様式」に切り替える必要があるとして具体的な実践例が示されました。

感染防止の3つの基本

①身体的距離の確保
②マスクの着用
③手洗い

  • 人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける
  • 遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ
  • 会話をする際は可能な限り真正面を避ける
  • 外出時、屋内にいるときや会話をするときは症状がなくてもマスクを着用
  • 家に帰ったらまず手や顔を洗う できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる
  • 手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)

※高齢者や持病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には体調管理をより厳重にする

移動に関する感染対策
  • 感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える
  • 帰省や旅行はひかえめに 出張はやむを得ない場合に
  • 発症したときのため誰とどこで会ったかをメモにする
  • 地域の感染状況に注意する
日常生活
  • まめに手洗い 手指消毒
  • せきエチケットの徹底
  • こまめに換気
  • 身体的距離の確保
  • 3密の回避(密集 密接 密閉)
  • 毎朝の体温測定 健康チェック 発熱またはかぜの症状がある場合は無理せず自宅で療養
生活場面ごとの例
買い物
  • 通販も利用
  • 1人または少人数ですいた時間に
  • 電子決済の利用
  • 計画を立てて素早く済ます
  • サンプルなど展示品への接触は控えめに
  • レジに並ぶときは前後にスペース
公共交通機関の利用
  • 会話は控えめに
  • 混んでいる時間帯は避けて
  • 徒歩や自転車利用も併用する
食事
  • 持ち帰りや出前 デリバリーも
  • 屋外空間で気持ちよく
  • 大皿は避けて料理は個々に
  • 対面ではなく横並びで座ろう
  • 料理に集中 おしゃべりは控えめに
  • お酌 グラスやお猪口の回し飲みは避けて
娯楽 スポーツ等
  • 公園はすいた時間や場所を選ぶ
  • 筋トレやヨガは自宅で動画を活用
  • ジョギングは少人数で
  • すれ違うときは距離をとるマナー
  • 予約制を利用してゆったりと
  • 狭い部屋での長居は無用
  • 歌や応援は十分な距離かオンライン
冠婚葬祭などの親族行事
  • 多人数での会食は避けて
  • 発熱やかぜの症状がある場合は参加しない
働き方のスタイル
  • テレワークやローテーション勤務
  • 時差通勤でゆったりと
  • オフィスは広々と
  • 会議はオンライン
  • 名刺交換はオンライン
  • 対面での打ち合わせは換気とマスク

業種ごとに「感染拡大予防ガイドライン」の作成を

新型コロナウイルスの対策について話し合う政府の専門家会議が5月4日に出した提言では、飲食店や商業施設など業種ごとに、長期にわたって感染拡大を予防するためのガイドラインを作成するよう強く求めたいとして、その際のポイントが示されました。

5月4日 専門家会議提言「業種ごとの感染拡大予防ガイドラインに関する留意点」

今後、感染拡大の予防と社会経済活動の両立を図っていくに当たっては、特に事業者において提供するサービスの場面ごとに具体的な感染予防を検討し、実践することが必要になる。

社会にはさまざまな業種等が存在し、感染リスクはそれぞれ異なることから、業界団体等が主体となり、また、同業種だけでなく他業種の好事例等の共有なども含め、業種ごとに感染拡大を予防するガイドライン等を作成し、業界をあげてこれを普及し、現場において、試行錯誤をしながら、また創意工夫をしながら実践していただくことを強く求めたい。

ここでは、各業種のガイドライン等の作成に当たって求められる基本的な考え方や留意点の例をまとめた。また、実際にガイドライン等を作成するに当たっては、適宜、感染管理にノウハウのある医療従事者などに監修を求めることにより、効果的な対策を行うことが期待される。

また、新型コロナウイルス感染症から回復した者が差別されるなどの人権侵害を受けることのないよう、円滑な社会復帰のための十分な配慮が必要である。

リスク評価とリスクに応じた対応

事業者においては、まずは提供しているサービスの内容に応じて、新型コロナウイルス感染症の主な感染経路である接触感染と飛沫感染のそれぞれについて、従業員や顧客等の動線や接触等を考慮したリスク評価を行い、そのリスクに応じた対策を検討する。

  • 接触感染のリスク評価としては、他者と共有する物品やドアノブなど手が触れる場所と頻度を特定する。高頻度接触部位(テーブル、椅子の背もたれ、ドアノブ、電気のスイッチ、電話、キーボード、タブレット、タッチパネル、レジ、蛇口、手すり・つり革、エレベーターのボタンなど)には特に注意する。
  • 飛沫感染のリスク評価としては、換気の状況を考慮しつつ、人と人との距離がどの程度維持できるかや、施設内で大声などを出す場がどこにあるかなどを評価する。
各業種に共通する留意点

基本的には、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく感染拡大防止策を徹底することが重要である。例えば、人との接触を避け、対人距離を確保(できるだけ2mを目安に)することのほか、以下のものが挙げられる。

  • 感染防止のための入場者の整理(密にならないように対応。発熱またはその他の感冒様症状を呈している者の入場制限を含む)
  • 入口及び施設内の手指の消毒設備の設置
  • マスクの着用(従業員及び入場者に対する周知)
  • 施設の換気(2つの窓を同時に開けるなどの対応も考えられる)
  • 施設の消毒
症状のある方の入場制限
  • 新型コロナウイルスに関しては、発症していない人からの感染もあると考えられるが、発熱や軽度であっても咳・咽頭痛などの症状がある人は入場しないように呼びかけることは、施設内などにおける感染対策としては最も優先すべき対策である。また、状況によっては、発熱者を体温計などで特定し入場を制限することも考えられる。
  • なお、業種によっては、万が一感染が発生した場合に備え、個人情報の取扱に十分注意しながら、入場者等の名簿を適正に管理することも考えられる。
感染対策の例
  • 他人と共用する物品や手が頻回に触れる箇所を工夫して最低限にする。
  • 複数の人の手が触れる場所を適宜消毒する。
  • 手や口が触れるようなもの(コップ、箸など)は、適切に洗浄消毒するなど特段の対応を図る。
  • 人と人が対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する。
  • ユニフォームや衣服はこまめに洗濯する。
  • 手洗いや手指消毒の徹底を図る。

※美容院や理容、マッサージなどで顧客の体に触れる場合は、手洗いをよりこまめにするなどにより接触感染対策を行う。(手袋は医療機関でなければ特に必要はなく、こまめな手洗いを主とする)

トイレ(※感染リスクが比較的高いと考えられるため留意する)
  • 便器内は、通常の清掃で良い。
  • 不特定多数が接触する場所は、清拭消毒を行う。
  • トイレの蓋を閉めて汚物を流すよう表示する。
  • ペーパータオルを設置するか、個人用にタオルを準備する。
  • ハンドドライヤーは止め、共通のタオルは禁止する。
休憩スペース(※感染リスクが比較的高いと考えられるため留意する)
  • 一度に休憩する人数を減らし、対面で食事や会話をしないようにする。
  • 休憩スペースは、常時換気することに努める。
  • 共有する物品(テーブル、いす等)は、定期的に消毒する。
  • 従業員が使用する際は、入退室の前後に手洗いをする。
ゴミの廃棄
  • 鼻水、唾液などが付いたごみは、ビニール袋に入れて密閉して縛る。
  • ゴミを回収する人は、マスクや手袋を着用する。
  • マスクや手袋を脱いだ後は、必ず石鹸と流水で手を洗う。
清掃・消毒
  • 市販されている界面活性剤含有の洗浄剤や漂白剤を用いて清掃する。通常の清掃後に、不特定多数が触れる環境表面を、始業前、始業後に清拭消毒することが重要である。手が触れることがない床や壁は、通常の清掃で良い。
その他
  • 高齢者や持病のある方については、感染した場合の重症化リスクが高いことから、サービス提供側においても、より慎重で徹底した対応を検討する。
  • 地域の生活圏において、地域での感染拡大の可能性が報告された場合の対応について検討をしておく。感染拡大リスクが残る場合には、対応を強化することが必要となる可能性がある。

※業種ごとに対応を検討するに当たっては、これまでにクラスターが発生している施設等においては、格段の留意が必要である。

国の専門家会議が示した「提言」全文

新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(5/4 厚生労働省HP)
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