変異ウイルス
患者増加で医療ひっ迫近づく
都モニタリング会議

2021年5月13日

東京都の「モニタリング会議」が開かれ、専門家は、新規陽性者の増加に伴って感染力の強い変異ウイルスへの置き換わりが進んでいることで、入院患者がさらに増加し、医療提供体制のひっ迫が近づいているとして、強い危機感を示しました。

会議のなかで専門家は都内の感染状況と医療提供体制を、いずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。

このうち感染状況については、新規陽性者の7日間平均が、
▽5月12日時点でおよそ840人と、
▽1週間前の5月5日時点の、およそ768人の109%となり、
9週連続で100%を超える高い水準で推移していると説明しました。

また、感染力が強い「N501Y」の変異があるウイルスに感染した人の割合は、
▽4月25日までの1週間は57.4%でしたが、
▽5月2日までの1週間は68.4%まで上昇し、
流行の主体が置き換わりつつあるとしています。

一方、都内では、5月12日時点の入院患者が1週間前より232人増えて、2399人となりました。

専門家は、新規陽性者の増加に伴って変異ウイルスへの置き換わりが進んでいることで、入院患者がさらに増加し医療提供体制のひっ迫が近づいているとして強い危機感を示しました。

また、重症の患者も1週間前より17人増えて、5月12日時点で86人となりました。

専門家は、第3波の2021年1月初旬に救急医療体制がひっ迫し、医療提供体制が危機に直面した時の数値に近づいているとしています。

さらに、通常の医療への影響が深刻になっているとも説明し、引き続き感染防止の対策を徹底するよう呼びかけました。

小池知事「インド株も懸念 緊張感持って進める」

モニタリング会議のあと東京都の小池知事は「インド株も懸念されているので、危機管理の観点からもより緊張感を持って進めていく。都民の皆さんとその緊張感を共有できればと思う。ここはコロナ対策をみんなで取り組んでいくことをお願いしたい」と述べました。

「N501Y」の変異があるウイルスが60%超に

5月9日までの1週間に都の「健康安全研究センター」が行った検査で、感染力が強い「N501Y」の変異がある新型コロナウイルスが検査全体のおよそ6割で見つかりました。

都の「健康安全研究センター」は、5月9日までの1週間で新規陽性者の検体121件を分析しました。

その結果、61.2%にあたる74件で感染力が強い「N501Y」の変異があるウイルスが検出されたということです。

「N501Y」の割合は前の週に続いて6割を超えました。

このほか、インドで報告されている「L452R」の変異があるウイルスが新たに1人の検体から検出されました。

これで、この変異ウイルスが都の健康安全研究センターの検査で確認されたのは6人目です。