東京都 医療提供体制 “最も深刻”
警戒レベル引き上げ

2022年12月22日

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、東京都の感染状況を分析・評価する専門家は、医療提供体制の警戒レベルを引き上げて最も深刻なレベルとしました。医療提供体制が最も深刻なレベルとなるのは、およそ3か月前の9月中旬以来です。

都は12月22日、都内での新型コロナの感染状況と医療提供体制について、専門家によるモニタリング項目の分析結果を公表しました。

それによりますと、病床使用率は、12月21日時点で51.9%となり、12月14日以降、50%を上回る日が続いています。

これについて、都の感染状況を分析・評価する専門家は「入院患者数は高い水準で推移し、重症患者数も大きく増加した」と分析しました。

そのうえで、医療従事者の感染者や、一般の救急患者が増えていることも踏まえ、「医療提供体制がひっ迫し始めている」などとして、医療提供体制について、4段階ある警戒レベルを1段引き上げ最も深刻なレベルとしました。

医療提供体制が最も深刻なレベルとなるのは、およそ3か月前の9月中旬以来です。

一方、感染状況については上から2番目を維持したものの、新規感染者の7日間平均は、12月21日時点で1万6324人と、先週に比べ2000人余り増えています。

8週間連続して増えていることから専門家は、今後、急激に増加することに警戒を呼びかけています。

小池知事 “コロナとインフル” 同時流行を懸念

東京都の小池知事は都庁で記者団に対し、「看護師など医療関係者が新型コロナに感染したり、濃厚接触者になったりして、病室の機能が落ちてきていることなどから、結果として最も深刻な医療提供体制のレベルになった」と述べました。

そして、インフルエンザの流行シーズンに入ったことを受けて、「コロナとインフルエンザのツインデミックが懸念されており、まさに今、その入り口に入ったということだ」と述べ、ワクチンの接種や換気などの対策を呼びかけました。

新型コロナ病床 年末年始に向け増床検討の病院も

新型コロナウイルスの感染拡大で、都内の病院の中では専用の病床の8割近くが埋まり、さらに増えるおそれがあるため、年末年始に向けて新型コロナの病床を増やして対応することを検討しているところもあります。

東京 品川区の昭和大学病院では11月以降、新型コロナの入院患者が徐々に増えていて、一般病床を新型コロナの専用病床に振り分ける形で、およそ50床を確保してきましたが、12月22日時点で38人が入院していて8割近くが埋まっています。

病院によりますと、入院患者の大半は軽症ですが、基礎疾患がある80代以上の高齢者など、重症化リスクがある患者も増えています。

また、新型コロナの感染拡大に伴い、新型コロナ以外の病気で入院してきた患者が入院の際の検査で陽性と診断されるケースも増えているということです。

この病院では年末年始に向けて、さらに30床ほど新型コロナの病床を増やして対応することを検討しています。

相良博典病院長は「東京都内の感染者数に連動して入院患者も増えていて、今のところ減少する要素が見当たらない。2022年の年末年始も、変わらず看護師や医師などには重点的に働いてもらう必要がある」と話していました。