東京都 専門家会議
医療提供体制 最も高い警戒レベルに

2020年12月17日

東京都内で新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、都の専門家の会議は都内の医療提供体制について「ひっ迫していると思われる」として最も高い警戒レベルに初めて引き上げました。専門家は「通常医療との両立が困難な状況になった」と指摘し、患者の増加を抑えることが重要だと強く訴えました。

都の専門家の会議は12月17日の会合で、都内の医療提供体制について「体制がひっ迫していると思われる」と総括し、4段階ある警戒レベルのうち最も高いレベルに引き上げました。

医療提供体制はことし7月以降、先週までの23週連続で上から2番目が維持されていて、最も高いレベルになるのは初めてです。

専門家は「新型コロナウイルスの入院患者の増加傾向に伴い、通常医療との両立が困難な状況になった。新規陽性者数の増加を抑制する対策を強化し、重症患者数の増加を防ぐことが最も重要だ」と指摘しました。

そのうえで「医療提供体制側は余力の部分をもう全部使った。とにかく患者を減らすしかない」と強く訴えました。

一方、都内の感染状況については「日常生活のなかで感染するリスクが高まっており、医療提供体制の深刻な機能不全を避けるための最大限の感染拡大防止策が必要だ」と指摘し、先週に続いて「感染が拡大していると思われる」という最も高い警戒レベルにしました。

重症患者 新たな受け入れ困難なケースも

都内の医療提供体制の分析・評価を行った東京都医師会の猪口正孝副会長は、12月17日のモニタリング会議で、すでに重症患者を受け入れている病院では、重症患者の基礎疾患の内容によっては新たに受け入れることが難しくなっていると説明しました。

この中で、猪口副会長は「病院にとっての重症病床は、新型コロナウイルスの患者用だけでなく病院全体で診ている患者にとっての『虎の子』というかいちばん大事なベッドだ」と説明しました。

そのうえで、「すでに複数の重症患者を診ていると医療従事者のマンパワーがかなりとられていて、残りの病床で新たに受け入れるためには条件がたくさんつくようになる。1人目の重症患者を入れるのと4人目を入れるのではかなり状況が違う」と述べ、重症患者の基礎疾患の内容によっては新たに受け入れることが難しくなっていると説明しました。

小池知事「不要不急の外出控えて」

モニタリング会議で東京都の小池知事は「都民の皆さんは引き続き都外・都内への不要不急の外出を控え、買い物などで外出する際も人数や時間を最小限にしていただきたい。家庭内での対策を徹底し、軽症や無症状であっても感染リスクがあることに留意してほしい。『防ごう重症化守ろう高齢者』という点を改めて強く意識していただきたい」呼びかけました。