東京の新規陽性者 緩やかな減少傾向も
「再拡大のおそれも」

2022年3月10日

東京都のモニタリング会議で、専門家は、都内の新型コロナの新規陽性者が緩やかな減少傾向にあると分析する一方で、「年度末前後のイベントによる人の移動や接触機会の増加などの影響で増加比が上昇すれば、感染が再拡大するおそれがある」と警戒感を示しました。

3月10日の会議で、専門家は、都内の感染状況と医療提供体制を4段階ある警戒レベルのうちいずれも最も深刻なレベルで維持しました。

このうち感染状況は、新規陽性者の7日間平均が3月9日時点で9379人となり、ピークだった2月8日のおよそ1万8000人の半数近くに減っています。

専門家は、新規陽性者が緩やかな減少傾向にあると分析する一方で、「歓送迎会や卒業パーティー、お花見など年度末前後のイベントによる人の移動、接触機会の増加やBA.2の影響で増加比が上昇すれば、感染が再拡大するおそれがある」と警戒感を示しました。

そのうえで、基本的な感染防止対策を徹底することや、オミクロン株に対し効果が期待できるワクチンの追加接種を推進する必要があると呼びかけました。

また、医療提供体制について専門家は、入院患者が3月9日時点で3374人と、1週間前の3月2日より400人余り減少したと説明しました。

一方で、「高齢者の入院患者やその割合が高い値で推移していて、医療機関は多くの人手を要するようになっている。高齢者層の重症患者も多く、その動向に警戒する必要がある」と指摘しました。

「BA.2」感染疑いある人の割合 上昇傾向

東京都内では、「BA.2」系統のウイルスに感染した疑いがある人の割合が上がっています。

オミクロン株の一種で「BA.2」と呼ばれる系統のウイルスは、現在、広がっているウイルスよりも感染力がさらに高いと指摘されています。

このため都は、「BA.2」系統の疑いがあるウイルスを見つけるためのスクリーニング検査を行って、置き換わりの状況を調べています。

それによりますと、検査を行った新規陽性者のうち、「BA.2」の疑いがある人の割合は、2月28日までの1週間では12.3%でした。

前の週は8.0%、その前の週は1.3%で、割合は上昇傾向です。

また、「BA.2」系統のウイルスを判別できるゲノム解析で感染が確認された人の割合は3月10日時点で、▽2022年2月が2.8%、▽2022年1月が0.5%でした。

割合が上がっていることについて、専門家は「今のところデルタ株からオミクロン株へのスピードほどではないが、『BA.2』系統への置き換わりには十分警戒していく必要がある」と指摘しています。