東京 医療提供体制警戒レベル
約10か月ぶりに2番目に引き下げ

2021年10月7日

東京都のモニタリング会議は、都内の入院患者の減少などを踏まえ、医療提供体制の警戒レベルを最も高いレベルから2番目に一段引き下げました。2番目になるのは2020年12月以来、およそ10か月ぶりです。

都内の新型コロナウイルスの感染状況と医療提供体制を分析・評価する都のモニタリング会議が10月7日、都庁で開かれ、専門家は医療提供体制について、最も高い警戒レベルから一段引き下げ、2番目のレベルにしました。

警戒レベルは4段階あり、2020年12月17日に最も高いレベルに引き上げられ、先週まで維持されていました。

2番目になるのはおよそ10か月ぶりです。

総括のコメントは、先週の「通常の医療が大きく制限されていると思われる」から、今週は「通常の医療が一部制限されている状況である」になりました。

入院患者は10月6日の時点で751人と、先週の1181人から減少していて、専門家は「入院患者の減少に合わせて通常医療の制限を段階的に解除しながら、新型コロナウイルスの医療との両立を図る必要がある」などと説明しています。

一方、先週、4段階のうち2番目の警戒レベルに引き下げられた感染状況は、10月7日さらに引き下げられて初めて上から3番目になりました。

新規陽性者数の7日間平均は10月6日の時点でおよそ159人となり、先週より減少しています。

専門家は「8月下旬から連続して減少していて、ワクチン接種が進んだことや多くの都民と事業者がみずから対策に取り組んでいることなどによると考えられる」と分析しています。

そのうえで「2020年の年末の第3波と同じ経過をたどらないよう、今のうちにさらに抑え込み新規陽性者を減らしておく必要がある」と指摘し、警戒を呼びかけました。

小池知事「総力戦でこれだけ抑え込むことができた」

都内の感染状況と医療提供体制の警戒レベルがそれぞれ下がったことについて小池知事は、記者団に対し「このところ検査の陽性率が2%を切る状況になった。皆さんの協力のおかげでワクチン接種の効果もあり、抗体カクテル療法も威力を発揮している。こういう総力戦でやってきてこれだけ抑え込むことができた」と述べました。

コロナ病床 感染状況に応じて段階的に縮小へ

10月7日のモニタリング会議では、通常医療と新型コロナウイルスの医療の両立に向けて、新型コロナの患者用の病床を感染状況に応じて段階的に縮小するとした都の方針が示されました。

現在、都内の医療機関で確保している病床は6651床で、このうち重症患者用は503床です。

こうした最大で確保できる状態を「レベル3」としました。

そのうえで、7日間平均の新規陽性者数が800人未満、前の週からの増加比がおおむね100%未満となる状況が2週間続けば、「レベル2」とし、確保病床数は重症患者用の350床を含む5000床に縮小します。

さらに感染状況が改善して、7日間平均の新規陽性者数が400人未満、増加比がおおむね100%未満となる状況が2週間続けば、「レベル1」とし、確保病床数は重症患者用の300床を含む4000床に縮小します。

一方、10月7日の会議では、感染が再拡大するケースでの病床の確保の考え方も合わせて示されました。

確保病床数を、重症患者用の300床を含む4000床とする「レベル1」の状態から、7日間平均の新規陽性者数が500人以上、増加比がおおむね120%以上となる状況が2週間続けば、「レベル2」に引き上げ、確保病床数は重症患者用の350床を含む5000床にします。

さらに感染状況が悪化して、7日間平均の新規陽性者数が700人以上、増加比がおおむね120%以上となる状況が2週間続けば、「レベル3」に引き上げ、確保病床数は、最大となる、重症患者用の503床を含む6651床にします。

都は、感染状況を踏まえると、現在、確保する病床の段階は「レベル1」だと説明していますが、すぐに縮小することは難しく、段階的に減らしていきたいとしています。

都医師会 猪口副会長「状況見ながら徐々に移行か」

モニタリング会議のあと、東京都医師会の猪口正孝副会長は記者団に対し「重症の患者は特に集中しているので、それぞれの医療機関の状況を見ながら、『レベル1』ぐらいまでいけるかどうか、感染状況も見ながらその方向に向かうという話だ。『レベル1』ですぐに統一してくださいというものではなく、徐々に移行していくことになると思う」と述べました。

小池知事「第6波になったときもスイッチが入る考え方も」

モニタリング会議のあと、小池知事は記者団に対し「コロナの病床確保で通常の医療を抑えてもらっているので、状況に合わせて体制を見直す。同時に、第6波になったときもスイッチが入るという考え方も整理した」と述べました。