「感染状況制御不能 災害レベルの猛威」
東京都モニタリング会議

2021年8月20日

東京都のモニタリング会議で、専門家は「感染状況は制御不能で災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態が続いている」と指摘したうえで「新規陽性者が現状のまま継続しただけでも医療提供体制の限界を超え、救える命が救えない事態となる」と指摘し、先週に続いて極めて強い危機感を示しました。

会議の中で専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。

このうち感染状況は新規陽性者の7日間平均が8月18日時点でおよそ4631人と、3週連続で過去最多を更新しながら急増していると説明しました。

そのうえで専門家は「制御不能な状況が続いている。検査が必要な人に迅速に対応できていないおそれがあり、把握されていない多数の感染者が存在する可能性がある」と指摘しました。

そして「災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態が続いている。第4波までとは明らかに異なる速度や範囲での感染が爆発的に拡大している」と述べました。

また、専門家は、8月18日時点で入院患者が3815人となり増加が続いていることについて「自宅療養中に容体が悪化した人の救急搬送や入院の受け入れが困難になっている」と指摘しました。

そのうえで「新規陽性者が現状のまま継続しただけでも医療提供体制の限界を超え、救える命が救えない事態となる。この危機感を現実のものとして皆で共有する必要がある」と述べました。

特に、重症の患者は8月18日時点で275人と過去最多を大きく更新していて、専門家は「人工呼吸器やエクモが使用できる病床が不足し始めている」と指摘し、重症患者がさらに増えるとより深刻な事態になるとして、極めて強い危機感を示しました。

小池知事「最大の危機 デルタ株はすぐ隣にいる」

モニタリング会議のあと小池知事は記者会見で「現在、コロナとのたたかいの真っただ中であり、最大の危機を迎えている。都にとっても今以上に重要な時期はなく、まさに災害級で医療非常事態だ」と述べました。

そのうえで「都として死者や重症者を出さないことを最優先に考えて、医療提供体制の課題解決を進めてきた。今、このような状況にあって医療非常事態対応体制で、都庁の総力をあげて全庁一体となって取り組んでいく」と述べました。

また、小池知事は、繁華街の人流がお盆明けから下げ止まっていると専門家から指摘されたとしたうえで「デルタ株はもう皆さんのすぐ隣にいるという意識を持っていただくことが、全体として人流を下げたり夜の時間帯に気をつけたりという行動変容につながる。お盆明けのこの時期にどうやって抑え込んでいくかということと、人と人との接触を可能なかぎり減らしていけるかということを、ひと事ではなくて自分ごととして考えていただきたい。そのようにみんなで意識を共有していきたい」と呼びかけました。

入院調整 7割が翌日に繰り越し

都内では急速な感染拡大に伴って保健所から都の入院調整本部に入院先を探すよう求める依頼が増加しています。 依頼件数の7日間平均は8月18日時点で701件で、先週から93件増え、過去最多を更新しました。 およそ1か月前の7月14日時点の5.6倍となっています。 依頼が急増している影響で、入院先の調整が翌日以降に繰り越され患者が自宅待機を余儀なくされる事例が相次いでいます。 都によりますと、8月18日は依頼があった644人のうち7割余りにあたる461人が翌日に繰り越しになったということです。 専門家は「特に、重症患者のための病床がひっ迫していて、入院の調整が非常に困難になっている」と指摘しました。