2021年10月28日
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「若いから大丈夫とコロナを軽く見ている人に自分のことを知ってほしい」
そう言って取材に応じてくれた20代の男性。
酒は飲まず、たばこも吸わない、持病もない。
にも関わらず、この夏、コロナに感染して重い肺炎を発症、一時、重症化しました。
退院した今も続く後遺症に苦しんでいます。
ホテル療養中に急速に悪化
全国的に感染が急拡大していたことし8月。
高知市に住む27歳の男性。
先に感染した母親(50代)の濃厚接触者になり、男性もほどなく発熱し感染が確認されました。
当初、症状は軽く、持病もなかったことから、保健所に勧められ、ホテルで療養することになりました。
ホテルでずっと過ごすなんて退屈しそうと、パソコンやヘッドホンなどを持ち込んだといいます。
熱もありましたが“言うほどしんどくないな”と思っていた矢先…。
症状は急速に悪化。
熱は一気に41度まで上がり、たんに血が混じるようになりました。
音楽やパソコンを楽しむ余裕は全くありませんでした。
男性
「若い人が重症になったというのはあまり聞かないし、最初は『まあ大丈夫でしょ』と 軽い気持ちだったけれど、どんどん熱が上がってきて怖くなり、『こんなに熱があるのにホテルで本当に大丈夫なのか』とホテルの看護師に何度も内線電話で訴えました。喉も痛くてすごくつらかった」
血中の酸素飽和度 80%台になることも
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用意された弁当も食べられず、強いせきも出始めました。
そのうち、血中の酸素飽和度を示すパルスオキシメーターは、正常値の96%以上を下回る80%台になることも。
それでも、ホテルでは、待機する看護師と一日に3度、内線電話で話すだけ。
医師の診察を受けることもなく不安が募りました。
重症者対応の病院に搬送 “このまま死ぬかも…”
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その後も、症状は悪化の一途をたどり、ホテル療養が始まって4日目。
ついに病院に搬送されました。
入院後も熱は下がらず、自力で起き上がれないようになり、重症患者を治療できる大きな病院に転院することに。
このとき初めて死を意識したと言います。
「このまま僕は死なないですか?」と医師に弱音を吐いたところ、「死ぬためにここに来たんじゃないだろう。頑張って」と励まされ、気持ちを奮い立たせたと言います。
20代で重い肺炎 医師も驚き
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このとき、男性の体に何が起きていたのか。
健康な人の場合、肺は黒く写りますが、男性の肺は、白く影が出ている部分が広範囲にわたり、重い肺炎が確認されました。
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男性は重症と判断され、1週間、酸素投与やステロイドなどの治療を集中的に受けました。
時間はかかりましたが、徐々に改善が見られました。
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治療にあたった医師
「転院してきたときは、基礎疾患もない、重症化リスクもない、若い人がここまで重症化するとは、想定していなかったので驚いた。もし1日入院が遅れていたら、人工呼吸器を付けないといけなかったかもしれなかった。若くても、治療の効果が出るまでに時間がかかった」
今も続く後遺症に苦しむ日々
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発症から3週間後。
男性は、一般病棟でリハビリに励んでいましたが、この時期は、まだ立つだけでも息があがり、酸素マスクが手放せませんでした。
1か月に及ぶ入院生活を経て、男性は9月下旬に退院。
今も、肺炎の症状は残っていて、階段を上がったり、重いものを持ったりすることができません。
当時は接種券がまだ届いていなかった
男性が感染したのは8月。
当時は、20代にワクチンの接種券が届いておらず、男性はワクチンを接種していませんでした。
体調がもう少し回復すれば、ワクチンを受けたいと考えています。
「若くてもコロナは本当にやばい」
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いま同世代に伝えたいことは。
男性
「ワクチンを接種できていれば、こんなに大変な思いをしなくてすんだかもしれないと思うと悔やまれる。最初に母が感染した時、自分は若いからたいしたことない、1週間ほどで退院できるだろうと思っていたが、1か月以上拘束され、体も本当につらかった。若くてもコロナは本当にやばい。退院した後もつらい思いをすることをもっと知って、甘く見ずに予防をしてほしい」
(取材:高知放送局 記者 大高彩果)