岸田首相 一般の事業所では濃厚接触者
特定しない方針

2022年3月16日

岸田総理大臣は3月16日夜、記者会見し、3月21日が期限となっている18都道府県のまん延防止等重点措置について、すべての地域で解除する方針を明らかにしました。
また社会経済活動を維持するため、地域の感染状況などに応じて濃厚接触者の特定は医療機関や高齢者施設、家庭内などに限定し、感染防止対策が行われている一般の事業所では特定しない考えを示しました。

この中で岸田総理大臣は「新型コロナの全国的な感染者数は、ピーク時の半分程度まで落ち着いてきた。病床利用率や在宅療養者数も、地域差はあるものの明確な低下傾向が確認されている」と述べました。

そのうえで、3月21日が期限となっている18都道府県のまん延防止等重点措置について、すべての地域で解除する方針を明らかにしました。

そして3月17日、感染症などの専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮り、国会に報告した上で対策本部で正式に決定すると説明しました。

また、新型コロナ対策の今後の基本的な考え方について「オミクロン株であっても致死率や重症化率がインフルエンザよりも高く、汎用性の高い経口治療薬もいまだ存在しない。さらなる変異の可能性も残る」と指摘し、しばらくは最大限の警戒をしつつ、安全・安心を確保しながら「可能な限り日常の生活を取り戻す」期間にしていくと強調しました。

そして「第6波」に備えて準備した新型コロナ対策の全体像を堅持しながら、オミクロン株の特徴に合わせて強化するとしたうえで、飲み薬や点滴薬などの治療薬をさらに300万回分追加で確保し、国産治療薬の開発に向けた治験への支援を倍増するほか、抗原検査キットは買い取り保証を継続し今後6か月で3億5000万回分を確保する考えを明らかにしました。

ワクチン接種をめぐり、岸田総理大臣は「4回目接種のありようについては、専門家の知見を踏まえ検討するが、いかなる結論にも対応できるようファイザー社、モデルナ社との交渉を進め4回目接種の必要量を確保できる見通しが立った」と述べました。

そしてファイザーを7500万回分、モデルナを7000万回分、それぞれ追加で購入し、最も適切な時期に最新のワクチンを接種できるよう必要量を確保する方針を示しました。

一連の対策には2022年度予算の予備費から1兆3500億円をあてることを明らかにしました。

一方、社会経済活動の回復に向けて、岸田総理大臣は大規模なイベントや旅行、大人数での会合などにあたって、安全・安心を高めるために、ワクチンの接種歴や抗原検査キットの活用を推奨する考えを示しました。

また、濃厚接触者となったことで無症状でも仕事を休まざるをえず、業務に支障が出るケースが出ているとして、濃厚接触者の範囲の重点化と待機期間の短縮を進めることを明らかにしました。

具体的には、地域の感染状況などに応じて濃厚接触者を特定するのは医療機関や高齢者施設、家庭内などに限定し、感染防止対策が行われている一般の事業所では特定しない考えを示しました。

そのうえで、濃厚接触者となったエッセンシャルワーカー以外の一般の人は検査キットを活用することで待機期間を短縮できるようにすると説明しました。

一方、観光需要の喚起策をめぐって「まずは重点措置の終了に伴い『県民割』について関係団体の合意を前提に4月1日から地域ブロックへと拡大する。ワクチン接種歴や検査キットを活用した取り組みを条件に盛り込み、安心して県境をまたいだ旅行を楽しんでいただけるようにする。全国的『Go To』については、引き続き注意深く、検討していく」と述べました。

また、岸田総理大臣は「わたし自身が最も心を痛めているのは子どもたちのことだ」と述べ、新型コロナの影響が長期に渡る中で、感染防止と子どもの健やかな学びが両立できるよう、専門家の意見を聴きながら検討していく考えを示しました。

そして「これから年度末や新年度を迎え、多くの人が集まり出会う季節となる。感染リスクの高い行動を控え、改めてマスクの着用、手洗い、3密の回避や換気などの基本的感染防止策の徹底を心がけていただくようお願いする」と呼びかけました。