大阪 兵庫 宮城3府県にまん延防止等重点措置
政府分科会で了承

2021年4月1日

新型コロナウイルス対策で、感染症の専門家などでつくる分科会は「まん延防止等重点措置」を、4月5日から1か月間、大阪府、兵庫県、宮城県に適用する政府の方針を了承しました。

新型コロナウイルス対策をめぐり、感染症の専門家などから意見を聴く政府の「基本的対処方針分科会」が、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣も出席して開かれました。

この中で、西村大臣は、緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にする「まん延防止等重点措置」について、4月5日から5月5日までの1か月間、大阪府、兵庫県、宮城県に適用する方針を諮りました。

また、対策が講じられる地域について、▼大阪府は大阪市、▼兵庫県は神戸市、西宮市、尼崎市、芦屋市、▼宮城県は仙台市とする方向で調整が行われていると説明しました。

そして、こうした地域では、
▼飲食店に対し、午後8時までの営業時間の短縮要請を行い、カラオケ設備の利用自粛を求めるほか、
▼イベントの開催は収容人数の上限を5000人までとし、
▼テレワークの推進などを行う考えを示しました。

また、営業時間の短縮要請に応じた協力金については、1日あたり4万円の水準を維持したうえで規模に応じた仕組みを検討する方針を示しました。

一方、田村大臣は、厚生労働省の職員が都内の飲食店で深夜まで送別会を開いていた問題について謝罪したうえで「患者が拡大してくる可能性があるので、すぐに入院できる病床やホテルなどの療養施設を速やかに、最大限、確保してもらうなど自治体の体制整備に協力したい」と述べました。

そして、議論が行われた結果、分科会は、こうした政府の方針を了承しました。

これを受けて、衆参両院の議院運営委員会で事前の報告と質疑が行われ、政府は、4月1日午後6時半から開かれる対策本部で、3府県への重点措置の適用を正式に決定することにしています。

法律に基づいて「重点措置」が適用されるのは今回が初めてです。

官房長官 1か月間で諮問した理由は…

加藤官房長官は、記者会見で「大阪府、兵庫県、宮城県は『ステージ3』相当の対策が必要な状況になっていると考えられることや、それぞれの特定地域で感染の拡大がみられ、医療提供体制のひっ迫が懸念されていること、大阪府と兵庫県は緊急事態宣言の解除以降、引き続き、時短要請を行っているにもかかわらず、感染者が増えており、さらなる対策の必要性が認められることなどを踏まえ、諮問した」と述べました。

また、4月5日から1か月間とする方針について「ゴールデンウィークが終了するまで、飲食店における感染防止対策などを徹底する必要があることや、変異株の発生状況を踏まえ、対象地域とその他の地域間の往来自粛を要請していくこと、1か月間で感染拡大の芽を徹底的にたたくといった考え方に立って、1か月間で諮問した」と述べました。

宮城 村井知事「財政的な手当て 強くお願いした」

「まん延防止等重点措置」の宮城県への適用について、村井知事は4月1日午前、記者団に対し「県から要請はしていないが、昨夜、西村大臣と話をした中で大阪よりも宮城はまん延している状況なので、大阪が適用の対象になるのであれば、宮城も議論に上げてほしいと伝えた。適用となれば、店舗によっては負担が大きくなるので、財政的な手当てについては強くお願いした。国からの対処方針を受けて具体的な制度設計をしていきたい。対象地域については、仙台市以外でも感染者が増えているので、県独自の対応も考えていきたい」と述べました。

公明 山口代表「感染拡大防止に全力を」

公明党の山口代表は、党の中央幹事会で「昨夜、菅総理大臣から電話があり『特に兵庫県と大阪府では、変異株も注意する必要がある』と述べていた。重点措置は、緊急事態宣言と違って、もう少し小回りのきくポイントを絞った措置がとられる。全国的に予断を許さない傾向が見られるので、今回の実例をもとに、感染の拡大をいかに防いでいくかということに全力を挙げていきたい」と述べました。

立民 安住国対委員長「緊急事態宣言発出の事態なのではないか」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「大阪、兵庫、宮城の感染者数や、その広がりの速度を考えると『まん延防止等重点措置』ではなく、緊急事態宣言を発出するような事態なのではないか。政府には、なぜ重点措置なのかの説明を求めたい」と述べました。

また、緊急事態宣言が解除された地域で感染が再拡大していることについて「宣言の解除が早く、菅内閣の政策判断は間違っていたのではないか。もっと先手先手を打った対応を望みたい」と指摘しました。