新型コロナ 感染者数 連休の影響は?
今後も増加? 見通しは?

2022年5月10日

3年ぶりに行動制限がなかった大型連休。都道府県をまたいだ移動は感染拡大前の水準近くまで戻り、各地の観光地は大勢の人出でにぎわいました。

新型コロナウイルスの新規感染者数は徐々に減少する傾向が続いていましたが、連休の後半からは沖縄で過去最多となり、東京では4日連続で前の週の同じ曜日を上回っています。

感染者数は増えつつあるように見えますが、連休の影響が出てきているのでしょうか?
そして今後の見通しは…?

■2022年2月以降 おおむね減少傾向だったが…

全国の感染者数は第6波の感染がピークを迎えた2022年2月以降おおむね減少傾向で、大型連休直前の4月27日には一日で4万6000人余り、1週間平均では4万人余りでした。さらに連休中に減少傾向が顕著となり、5月6日には一日でおよそ2万2000人、1週間平均で2万4000人余りとなりました。

ところが5月7日には一日で3万9000人余り、5月8日には4万2500人余りになり、5月9日現在、1週間平均で3万人近くと増えつつあるように見えます。

東京都でも感染が確認された人の数は5月10日まで4日連続で前の週の同じ曜日を上回っています。

<沖縄>大型連休終盤 感染者数過去最多に

一方、3年ぶりに行動制限のない大型連休で多くの観光客が訪れた沖縄県では連休終盤の5月7日に2375人と過去最多の感染者数となり、そして最終日の5月8日にも2060人で過去2番目となりました。人口10万当たりの感染者数は5月9日現在で760人余りとこれまでで最も多くなっています。

■感染者数は増加しているのか? 大型連休との関係は?

専門家は現在、感染者数が増えているように見えるのは大型連休の期間中に検査数が減り、確認される感染者数が一時的に減ったことの反動という側面もあるといいます。

新型コロナウイルス対策に当たる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「大型連休で観光地に行って地域で感染が広がることが起きてもおかしくないうえ、都市部に戻ってきたあと新たな感染の火種になる可能性もある。感染者数がどのように推移するか注意深く見ていかなければいけない」と話し、今回の連休で人と人との接触が増えたことが感染の増加につながっていくのか、少なくとも今週末くらいまでは見極める必要があると指摘しています。

■進むワクチン接種 大幅な増加はないという見方も

現在3回目のワクチンの接種率は5月10日の時点で
▽重症化リスクが高い高齢者では90%近く
▽全体でも55%ほどになってきていて
専門家の中には大型連休のあとで一時的に感染者数が増えるとしても、ワクチンの接種が進み感染対策が続く中では、感染者数の大幅な増加はないだろうという見方を示している人もいます。

■コロナ対応の病床 “ひっ迫につながらないか注意”

一方でコロナ対応の病床の使用率は5月9日現在で
▽人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県では46.9%
▽東京都では15.7%などとなっていて
感染者数の増加によって病床のひっ迫につながらないか注意する必要があります。

■新たな変異ウイルスの存在が…

ただ気になるのが新たな変異ウイルスです。
今、日本国内で多くを占めている変異ウイルスはオミクロン株の「BA.2」ですが、アメリカでは「BA.2」の中でも「BA.2.12.1」というウイルスが増えています。

1. アメリカ 「BA.2.12.1」が感染者数の増加傾向に影響か

アメリカのCDC=疾病対策センターによりますと、「BA.2.12.1」は4月30日までの1週間で36.5%を占めていてアメリカでこの数週間、感染者数が増加傾向にあることに影響しているという見方もあります。

2. 南アフリカ 「BA.4」「BA.5」が増加

また南アフリカではオミクロン株のうち「BA.4」と「BA.5」が増加し「BA.2」からの置き換わりが進んでいます。

3. ウイルスの性質は…?

これらのウイルスの性質はまだよく分かっていませんが、「BA.2」よりも感染拡大のスピードがやや速い可能性が指摘されています。

イギリスの保健当局は「BA.4」と「BA.5」にはデルタ株に見られた「L452R」の変異があり、中和抗体の働きに影響が出る可能性があるほか「BA.4」では抗体の働きが落ちるという実験結果の報告があるとしています。

一方、WHO=世界保健機関はこれまでのところ、入院に至るリスクに差はないとしています。

■専門家は…

海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「ワクチンの3回目接種が進み気候的に換気をしやすくなることもあり、感染者数が第6波のように増えることは考えにくいと思う。新たな変異ウイルスについてはどの程度重大なものかまだよく分かっていないが、今後日本にも『BA.4』や『BA.5』が入ってくる可能性があると想定する必要がある。新たな変異ウイルスの監視をしっかり行い、感染予防の対策を続けながらどのように緩和できるのか考える必要がある」と話しています。

また東邦大学の舘田一博教授は「大型連休で多くの人が動いて旅行や帰省を楽しめる状況にまでなってきている。これだけ人の動きがある中でどうすれば感染者数を増えないようにできるか見極めたうえで、どのような対策の緩和をしていくか考えていくことが大事だ。今はまだ注意しながら段階的に少しずつ感染対策を緩和していく対応が必要だと思う。大型連休のあとの感染拡大を抑えるために自分の体調の変化をしっかり観察して、少しでもおかしいことがあれば早め早めに医療機関を受診したり、検査を受けたりするなどの対応が必要になってくる」と話しています。