インフルエンザ 全国的な流行期に
コロナと同時流行懸念

2023年1月5日

インフルエンザの患者数は、12月25日までの1週間で全国で流行期入りの目安を超えました。全国的な流行期に入るのは、新型コロナの感染拡大が始まって以降、今シーズンが始めてで、東京都内の小児科クリニックでは、発熱してもどちらに感染しているかわからないという保護者の戸惑いの声が聞かれました。

東京 港区にある小児科のクリニックの発熱外来は、1月5日が新年最初の診察日でしたが、午前の受付が始まると発熱などの症状がある患者が次々に訪れました。

このクリニックでは、12月下旬の診察で1日当たり30人から40人の発熱患者を診察していますが、そのうちの3割が新型コロナの陽性者、2割がインフルエンザに感染していたということです。

1月5日も午前中だけで17人の発熱患者が診察を受け、このうち7人が新型コロナの陽性、4人がインフルエンザに感染しているのがわかりました。

医師によりますと、コロナ禍以降インフルエンザの流行がなく、免疫力が落ちているため徐々に感染者数が増えているうえ、このところ空気が乾燥した状況が続き、寒さも厳しい影響で、さらに感染しやすい状態になっているということです。

また、これから子どもたちの冬休みが終わり学校が再開することで、感染が広がるおそれがあるとみて、ワクチンの接種だけでなく、各家庭では寒くても定期的に部屋の空気の入れ替えを行ったり、検査キットを常備するなどを、診察に来た患者に呼びかけています。

小学1年生の子どもを持つ母親は「インフルなのかコロナなのか、初期症状ではわからなかったので、どうすればいいのか戸惑いがあった。来週から小学校が再開するので、少しでも早く体調を治して、安心して学校に通ってもらいたいです」と話していました。

東京小児科医会の理事で小児科クリニック「ばんびぃに」の時田章史院長は「インフルエンザの感染が疑われたときは少しでも重症化を防ぐために医療機関で受診してほしい。受診は発熱から6時間後から12時間後までが望ましい。コロナとインフルエンザに同時に感染する可能性は低いが、万が一感染すると重症化する可能性は高いので、注意が必要だ」と話していました。

インフルエンザと新型コロナ 専門家が同時流行を懸念

インフルエンザの患者数が全国で流行期入りの目安を超えたことについて、専門家は「これから寒さが厳しい時期が続き、新型コロナウイルスとの同時流行が起きるのではないか。ワクチンを打つなど対策を徹底してほしい」と呼びかけています。

国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、3年前の新型コロナウイルスの感染拡大以降、初めてインフルエンザの本格的な流行が懸念されることについて、「流行にさしかかっているのは間違いないが、現時点で本格的な流行とは言えない。一方、社会全体としてインフルエンザに対しての免疫が落ちている。特に3歳ぐらいまでの子どもは、インフルエンザの流行を経験しないまま今シーズンを迎えているので、重症化するリスクが高まる」としています。

また、新型コロナウイルスの感染状況については「報告数だけを見れば減少しているように見えるが、年末年始で医療機関が休診していたことの影響が表れているだけで、感染者数が減少しているという状況ではない」と分析しています。

そのうえで「これから1月2月の寒さが厳しい時期が続き新型コロナ、インフルエンザ双方の感染が広がっていくとみられ、同時流行が起きるのではないか」と指摘しています。

そして、今後の対応策として「新型コロナもインフルエンザも、ワクチンを打てば今後の本格的な流行に間に合うので早めに打ってほしい。また、行動制限がなくなり、感染対策も緩みがちになっているので、1月2月は改めて気を引き締めて対策を徹底してほしい」と話しています。