インフル予防接種 10月1日から開始
高齢者優先の方針

2020年9月29日

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えて、10月1日からインフルエンザワクチンの接種が全国で始まります。厚生労働省は、まず高齢者から優先的に接種を受けてもらう方針です。

インフルエンザの流行を前に、厚生労働省は、10月1日から定期接種の対象になっている65歳以上の高齢者などに優先してワクチンを接種し、それ以外の人は10月26日まで接種を待つよう呼びかけています。

呼びかけの背景にあるのがワクチンの供給量です。厚生労働省によりますと今シーズンは成人量に換算しておよそ6300万人分が供給され、昨シーズンの使用量を12%上回る見通しです。

一方、10月はじめに供給されるワクチンは、半数程度にとどまる見込みで、今シーズンは接種の希望者が増える可能性があることから、重症化しやすい高齢者などに確実に接種してもらおうというねらいがあります。

田村厚生労働大臣は9月29日の会見で「ワクチンの性質上、ニーズがあるからといって生産量を急に2倍には増やせず、国民全員に供給できない事情は理解してほしい。高齢者や子どもなど必要としている人の分はなんとか確保しようと準備を進めている」と述べました。

日本小児科医会「子どもの接種回数を1回に減らすことを検討も」

インフルエンザのワクチンは、新型コロナウイルスの影響で今シーズン、接種を希望する人が増えると見込まれています。

厚生労働省は、ワクチンについて子どもや高齢者が必要とする量は確保するとしていますが、日本小児科医会では、幅広い年代の人たちに接種しようとすると不足が生じるおそれがあるとしています。

このため日本小児科医会では、今シーズンは13歳未満の子どもへの接種回数を、原則とされる2回から1回に減らすことも検討するよう全国の小児科医に呼びかけています。ワクチン不足が生じた場合に備えて、減らした分を成人など、ほかの年代への接種に回すことができ、限られたワクチンを社会全体で効率的に活用できるとしています。

小児科医会によりますと、子どもの接種回数について、WHO=世界保健機関などでは、生後6か月から8歳までで、前の年に接種を受けている子どもや、9歳以上の子どもについては、いずれも1回でよいとされているということです。

日本小児科医会の峯眞人理事は「新型コロナとの同時流行で、インフルエンザワクチンの接種希望者は間違いなく増え、成人も含めると、用意していたワクチンでは足りなくなる可能性は高い。ワクチン不足で混乱が起きないような環境を作っていく必要がある」と話しています。

インフルエンザのワクチンは10月1日から接種が始まり、厚生労働省は重症化するリスクの高い高齢者の優先接種を呼びかけていますが、日本小児科医会では乳幼児もリスクが高いとして、子どもの接種時期を一律に遅らせることは控えるべきだとしています。

さいたま市の小児科 予約開始から3時間で600件超

新型コロナウイルスの影響で、小児科の診療所では例年に比べ、インフルエンザワクチンの接種を希望する人が増えています。

このうち、さいたま市にある「峯小児科」では、ワクチン接種の予約の受け付けを9月27日からインターネットで始めましたが、受け付け開始から、わずか3時間で600件を超えました。予約は9月29日の時点で、およそ800件に上っているということです。

この診療所では、日本小児科医会の呼びかけに沿って、今シーズンは子どもへのワクチン接種を基本的に従来の2回から1回に減らす方針です。減らした分などのワクチンを、同居する家族に接種することにしています。

9月29日は、子どもの診察に訪れた保護者に対し、医師がワクチン接種の必要性や、1回で十分に効果があるとされていることなどを説明していました。

説明を聞いた24歳の母親は「毎年子どもにワクチンを接種させているが、ことしはネット予約がすぐ埋まってしまった。先生の説明を聞いて1回でも大丈夫だと思った。私も接種を受けられるなら受けたい」と話していました。

この診療所では、10月24日から接種を始めることにしていますが、とくに必要だと判断したケースでは、それよりも前に接種を行うということです。

「峯小児科」の院長で、日本小児科医会の理事を務める峯眞人医師は「子どもの接種を減らした分を家族に接種しますよと案内している。ことしは、できるだけ多くの人がワクチンを接種して、家族そろってインフルエンザの予防をしてもらいたい」と話しています。

厚労省「供給 11月には安定する見通し」

厚生労働省は、「今シーズンは例年より多くインフルエンザワクチンを確保できる見込みで、供給も11月には安定する見通しだ。接種を希望する人が10月に集中したり、大幅に増えたりしないかぎり、不足するとは考えにくい」としています。