感染防止 業界ガイドライン

2020年5月

新型コロナウイルスの対策について話し合う政府の専門家会議は、長期にわたる感染拡大の予防と社会経済活動の両立を図っていくために業種ごとにガイドラインを作るように求めています。各業界が作成したガイドラインのポイントです。
(末尾に「業種別ガイドライン一覧」へのリンクがあります)

ライブハウス 接待伴うクラブ ナイトクラブ

東京都内で夜の繁華街を中心に新型コロナウイルスの新たな感染者の確認が相次ぐ中、西村経済再生担当大臣は2020年6月13日の記者会見で、これまでに、いわゆるクラスターが発生した接待を伴うクラブやナイトクラブ、ライブハウスの3つの業種で感染防止を図るための具体策をまとめたガイドラインを公表しました。

共通の対策

▽人と人との距離を確保(極力2メートル、最低1メートル)
▽テーブルやカウンターへのアクリル板の設置
▽客や従業員へのマスクやフェイスシールドなどの着用に努める
▽客に名前や連絡先の記入を求め、当面の間、保存する

ライブハウス

出演者と客との距離をなるべく2メートル確保し、できない場合は飛まつが拡散しないよう対策を講じるほか、オンラインでのチケット販売やキャッシュレス決済を推奨する。

接待を伴うクラブ

客の横についてカラオケやダンスを行うなどの接客は当面の間、自粛し、客どうしが同じグラスを使うことは避けるよう注意喚起する。

ナイトクラブ

大きな声を出すことを禁止するよう促し、飛まつの拡散を抑制するため、店内の音量を必要最小限にする。

西村大臣は「今回の感染拡大の防止策は、自分たちの従業員や来てくれる客も含めての健康と命を守るための取り組みであり、ご理解してほしい。政府としても広報していきたい」と述べました。

カラオケ 「歌う人との間 2m以上空ける」カラオケ 「歌う人との間 2m以上空ける」

カラオケの3つの業界団体が感染対策の方針をまとめました。

この中では、事業者に対し部屋の換気設備を稼働させ、利用客を定員の半分以下に制限したうえで、向かい合わないよう座席を横並びにするなどして、間隔を1メートル以上、できれば2メートル空けることやマイクやリモコンなどをこまめに消毒するよう求めています。

また、利用客には歌うときと飲食のとき以外はマスクを着け、歌う人との間を2メートル以上空けることなどをお願いするとしています。

日本カラオケボックス協会連合会の加藤伸司副理事長は「カラオケ文化が衰退、存亡の危機にさらされている。対策に足りない部分があれば厳格化することも検討し、安心・安全なカラオケボックスを提供できるようにしたい」と話しています。

カラオケボックス等のガイドラインはこちら(NHKのサイトを離れます)

外食業界「席の間隔1m以上」外食業界「席の間隔1m以上」

外食産業の業界団体は、感染者の発生を防止し、営業を継続するためのガイドラインを公表しています。

それによりますと、食品の安全や店舗の衛生管理を徹底した上で、店内での社会的距離を確保するよう工夫しながら事業を継続するとしています。

具体的には、来店客用の消毒液を用意することや、「発熱やせきなどがある来店客は店内飲食をお断りします」とか、「食事中以外は、マスクの着用をお願いします」といった掲示をすることなどをあげています。

また、テーブルの間はパーテーションで区切るか、できるだけ1メートル以上の間隔を空けて座れるよう配置を工夫するほか、カウンター席は密着しないようにスペースを空けたり、アクリル板などを設置すること、それに、他のグループの客との相席を避けることなども盛り込まれています。

このほか、料理のテイクアウトや配達を行う場合には、食中毒を防ぐため早めに消費するよう利用客に注意を促すことなども呼びかけています。

日本フートサービス協会のガイドラインはこちら(令和2年11月30日改正 NHKのサイトを離れます)

小売店「従来と異なる接客」小売店「従来と異なる接客」

スーパーやコンビニ、デパートやドラッグストアなど小売関連の12の業界団体は共同でガイドラインをまとめました。

このうち、人との距離を確保するための取り組みの事例として、レジの前などに利用客が並ぶ際は床に目印を付ける、会計を終えたあとに袋詰めをする台を追加する、エレベーターは高齢者や妊婦、障害者が優先的に利用できるようにすることなどを盛り込んでいます。

また、混雑を緩和するため、滞在時間の短縮や、1人または少人数の入店を呼びかけ、必要に応じて高齢者、障害者、妊婦などの優先時間帯の設定を検討するとしています。

接触感染や飛まつ感染防止の取り組みとしては、レジの前に透明な仕切りを設置する、現金を受け渡すときはコイントレーを使用し、自動精算機やキャッシュレス決済の利用を促進する、化粧品などのカウンセリングの際には利用客の真正面に立つのを避けることなどを具体的な事例として紹介しています。

さらに商品の陳列や販売方法については、総菜など客がみずから取り分ける場合はパックや袋詰めでの販売に変更し、食料品の試食販売を中止するとしています。

そのうえで、感染予防の観点から接客が従来とは異なることや、一時的な品薄や欠品、数量を制限した販売が行われる可能性があるとして利用客に理解を求めています。

宿泊施設「大浴場も入場制限」宿泊施設「大浴場も入場制限」

全国のホテルや旅館などで作る業界団体も感染防止対策をまとめたガイドラインを策定しました。

このうち「全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会」と、「日本旅館協会」それに、「全日本シティホテル連盟」の3つの団体のガイドラインによりますと、宿泊客が入館する際に、発熱などの症状がないか確認するほか、手と指の消毒を依頼するとしています。

部屋までの案内はスタッフが客を連れて行くのではなく、部屋の位置などがわかる文書などで説明するようにするなどとしています。

また、宴会場やレストランなどでは、客に対し横並びでの着席を推奨するほか、複数の人が同じ瓶などを触るのを防ぐためお酌を控えることや、杯の回し飲みをしないことを要請するとしています。鍋料理や刺身盛りはひとり鍋、ひとり盛りに極力変更することを求めています。ビュッフェ方式は取りやめることを検討し、続ける場合には、スタッフが代わりに料理を取り分けることや、トングや箸を共有しないようにすることを要請しています。

さらに、大浴場では密集した状態を避けるため人数を制限するなどの対応を取るとしています。

業界団体はこのガイドラインを加盟施設に周知し、施設の実情に応じて対策を取るよう促すことにしています。

鉄道・航空「乗客はマスクを」鉄道・航空「乗客はマスクを」

鉄道事業者や航空業界も感染防止対策をまとめたガイドラインを策定しました。

このうち、JR各社のほか、私鉄や地下鉄などそれぞれの業界団体がまとめた鉄道共通のガイドラインによりますと、利用客に可能なかぎりマスクの着用を呼びかけるほか、車内の混雑を避けるためテレワークや時差出勤への協力を求めます。

また、鉄道事業者は車内の窓を開けるなどして換気を行うほか、定期的に車内の消毒を行うとしています。

このほか、特急列車などの指定席では客どうしが一定の距離をあけて座れるよう鉄道事業者が予約時に席の配置に配慮するとしています。

一方、航空会社で作る定期航空協会がまとめたガイドラインによりますと、機内では乗客にマスクの着用を呼びかけるほか、定期的に消毒を行います。機内での飲み物などの提供は、紙パックジュースなど簡素なものにとどめます。

また、空港ビルを運営する事業者のガイドラインでは、チェックインや保安検査場の手続きなどでなるべく客どうしの間隔を開けて並んでもらうよう工夫するほか、空港施設で利用客がよく触れるところについては、定期的に消毒を行うとしています。

このほか、チェックインカウンターなどでは必要に応じて、飛まつが飛ばないよう透明なカーテンを設置するほか、利用客に体調不良の人がいた場合は検温を行うとしています。

また、羽田や成田、関西空港など主要な6つの空港ではサーモグラフィーによる搭乗者の体温の計測を引き続き実施するとしています。

「通勤頻度を減らす」オフィス 製造現場「通勤頻度を減らす」オフィス 製造現場

経団連が企業が本格的に事業を再開する際の指針としてまとめたガイドラインはオフィス向けと製造現場向けの2種類に分かれています。

このうち、共通の対策としてはテレワークや時差出勤、それに週休3日制など、さまざまな勤務形態を示し通勤頻度を減らすべきだとしています。

そのうえでオフィス向けでは、急ぎではない出張は見合わせるほか、会議や名刺交換、それに採用面接などはオンラインで行うことを検討するよう求めています。

また、製造現場向けでは、朝礼や点呼は少人数で行うことや製造工程ごとに作業の区分を分けることなど、工場でのさまざまな場面を想定した対策が盛り込まれています。

経団連では、このガイドラインを会員企業に通知したほか、ホームページにも掲載して、広く利用を呼びかけています。

経団連のソーシャル・コミュニケーション本部の正木義久本部長は「事態が長期化する中で、企業にとっては感染防止対策と事業継続の両立が必要となっている。このガイドラインを緊急事態宣言が解除されたあとの『新しい職場様式』をつくる参考にしてもらいたい」と話しています。

経団連 オフィス向けガイドラインはこちら(NHKのサイトを離れます)

経団連 製造現場向けガイドラインはこちら(NHKのサイトを離れます)

在宅勤務が難しい工場では…在宅勤務が難しい工場では…

在宅勤務が難しい製造業の生産現場でも独自のガイドラインを設けるなどして感染防止の対策に取り組む動きが進んでいます。

トラックメーカーの三菱ふそうトラック・バスは生産に携わる従業員向けに感染予防のガイドラインを定めました。

川崎市中原区の工場では従業員どうしが原則1.5メートルの距離を取るよう呼びかけています。重い部品を取り扱う生産工程など従業員どうしが近づいて作業する必要がある場合には、マスクだけでなく、顔全体を覆うフェイスシールドを付けることも試験的に始めています。

また工場全体で、作業用の手袋を半日ごとに交換しているほか、ロッカールームの消毒も徹底し、感染予防に取り組んでいます。

三菱ふそうトラック・バス生産本部の馬場高史生産統括部長は「トラックの生産は、自動化できない手作業が多く、感染予防が非常に重要になる。まずガイドラインを作ったが新型コロナウイルスの対策が長期化することを見据え、従業員どうしが知恵を出し合い、より安全で働きやすい環境に改善していきたい」と話していました。

東芝は国内の工場で6月にも週休3日制を導入し、出勤する人を減らす方針です。

トヨタ自動車は2020年3月下旬から愛知県内の10の工場で夕方からの勤務の開始時間を30分遅らせ、従業員が交代する時間をおよそ1時間半確保して従業員どうしの接触を少なくしています。

大手機械メーカーのIHIは東京 瑞穂町にある航空機のエンジンを作る工場で、出勤者を2つのグループに分け、週ごとに交代しながら勤務する体制をとっています。

いすゞ自動車は神奈川県の藤沢工場向けに運行する朝の出勤時間帯の通勤バスの便数をこれまでの3倍に増やし、バスが混雑しないようにしています。

生産現場で働く従業員は在宅勤務が難しいことが課題で、各社とも生産の維持と感染防止の両立に向けて工夫を凝らしています。

「業種別ガイドライン一覧(内閣官房HP)」はこちら(NHKのサイトを離れます)