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Go Toトラベル
札幌と大阪市を対象外
期間は3週間

2020年11月24日

Go Toトラベルをめぐって、政府は新型コロナウイルスの感染が拡大している札幌市と大阪市を目的地とする旅行を、11月24日から12月15日までの3週間、割り引きの対象から外すことを決めました。

予約のキャンセル料は、利用者に負担が出ないように原則として国が補償するとしています。

これは11月24日夜、総理大臣官邸で、菅総理大臣や西村経済再生担当大臣、赤羽国土交通大臣らが会談し決定しました。

それによりますと、札幌市と大阪市を目的地とする旅行を11月24日から12月15日までの3週間、Go Toトラベルの割り引きの対象から外します。

旅行会社や宿泊施設などによるシステム変更などの準備が整いしだい、新規の予約はできなくなるということです。

一方、予約が済んでいる旅行については、利用者への影響を配慮して、12月1日までに出発する旅行は、割り引きの対象にするとしています。

今回の措置で発生するキャンセル料については、利用者に負担が出ないように国がGo Toトラベルの事業費から補償するとしています。

具体的には、12月3日までに利用者が予約をキャンセルすれば、旅行会社や宿泊施設などに対し、原則として旅行代金の35%を損失とみなし、国が補償するということです。

西村経済再生担当相「国民の命守ること何より大事」

西村大臣は記者団に、新型コロナウイルスの感染状況について、「最大限警戒すべき状況が続いている。特に一部の地域では、感染者の増加が続いており、『ステージ3』相当に入りつつある」と述べました。

また、「『ステージ4』に入れば、緊急事態宣言が視野に入る段階なので、今の段階で強い措置が必要となる。特に医療の提供体制をしっかり確保し、国民の命を守ることが何より大事だ」と強調しました。

そのうえで、西村大臣は、「GoToトラベル」をめぐり、北海道の鈴木知事と大阪府の吉村知事の意向も踏まえ、札幌市と大阪市を目的地とする旅行を、新規予約の一時停止措置などの対象とすることに決めたと発表しました。

一方、各都道府県が飲食店に営業短縮や休業を要請する際の協力金などの財源として、地方創生臨時交付金を500億円追加配分することに関連し、西村大臣は、「対象となる酒類を提供する飲食店などの店舗数について、各都道府県全体の店舗数の2割としていた上限を撤廃し、より一層都道府県が機動的な対応をとれる制度とした」と述べました。

そして、「知事が、財源を理由にちゅうちょすることがないようしっかり支援したい」と述べました。

また西村大臣は記者会見で、「札幌市と大阪市の医療がひっ迫することを避けなければならないという観点から、これらを目的地とする旅行の新規予約を一時停止する。他方、『Go Toトラベル』によって感染が各地で広がっているというエビデンスはなく、これらの地域を出発地とする旅行を対象から外すことは考えていない」と述べました。

赤羽国土交通相「予防的な措置としてやむを得ない」

総理大臣官邸で記者団の取材に応じた赤羽国土交通大臣は、札幌市と大阪市をGo Toトラベルの対象から外した理由について「感染が相当程度、拡大していてこれ以上の医療のひっ迫は回避しなければならない。Go Toトラベル事業は感染拡大の原因ではないと分科会でも明言されているが、予防的な措置としてやむを得ないとの判断に至った」と述べました。

すでに予約が済んだ旅行について、赤羽大臣は「利用される国民の皆さんの不便を考慮して、12月1日、火曜日の出発分までは割り引き対象とし、特別の措置をとりたい。12月15日までに出発する旅行のキャンセル料は旅行者に負担がかからないようにする。また、きょうから12月3日までに予約がキャンセルされて影響を受ける事業者は、旅行代金の35%相当の額を一律に事業の予算で補填(ほてん)する」と述べました。

感染症専門家「対策としては少し遅れてしまった印象」

「Go Toトラベル」の運用の見直しについて感染症の専門家で国の新型コロナ対策にも関わってきた国際医療福祉大学の和田耕治教授は、「経済との両立という面では難しい決定だったかもしれないが、新規感染者が増え始めてしばらくしてからのタイミングであり、対策としては少し遅れてしまったという印象だ。接待を伴う飲食店などが中心だった第2波とは異なり、第3波は日常のさまざまな場面に感染が広がってきている。流行地域では、『Go Toキャンペーン』だけでなく一人ひとりが会食を自粛するなどより強い対策をしないと感染者が増え続け、多くの重症患者が出て医療崩壊につながるおそれがある」と話しています。

そのうえで、和田教授は「新型コロナウイルスの流行が本格化するのは、例年のインフルエンザと同様に年明け以降になるのではという推測もあったが、すでに流行の兆しが見えてきている。今後は、一人ひとりが行動を変えることも含め、できる対策を先手先手で打っていかないとすぐに感染が広がるおそれがある。年末年始を安心して過ごすためには、これからの1週間から2週間がとても重要な時期になるはずだ」と話しています。

公共政策専門家「知事に判断させるのは筋が違う」

「Go Toトラベル」の運用の見直しをめぐり、公共政策が専門で、札幌市の財政局長も務めた武庫川女子大学の金崎健太郎教授は、「国が予算を立てて全国で行っている事業なのに、実施の可否を都道府県知事に判断させるのは筋が違う」と指摘しています。

一方で、「本来は事業を始める時に想定すべきだったと思うが、初めてのことでそこまで準備が至らずに今に至っていると推察する」と政府の対応にも一定の理解を示したうえで、本来であれば「Go Toトラベル」を始める前に、事業を止めたり再開したりする場合を想定して基本的な考え方と基準を明確にしておくべきだったと指摘しました。

そのうえで、「ほかの地域にも波及していく可能性があるため、中止か継続かの基準を国がきちんと明らかにすることは、すぐやるべき最大のことだ。今から始めても遅くはない」と述べ、政府として「Go Toトラベル」の運用のより具体的な基準を早急に設けるよう訴えています。

旅行会社は対応追われる

「Go Toトラベル」の新規予約の一時停止について都内の旅行会社では利用者からの問い合わせに追われています。

旅行予約サイトを運営する東京・渋谷区の旅行会社、「アドベンチャー」では、11月24日日中、「Go Toトラベル」の新規予約の一時停止に関するニュースが出るたびに確認するとともに利用者から電話やメールでの問い合わせが相次ぎ、対応に追われていました。

夜になって担当者がスマートフォンのニュースサイトで、札幌市と大阪市を目的地とする旅行が、11月24日から3週間、割り引きの対象から外されることを確認すると、急ぎ社内のシステムで情報を共有していました。

そして予約サイトに新規予約が一時停止になったことを呼びかける文章を載せる作業に取りかかっていました。

サイトでの予約の申し込みを停止する作業は11月25日までかかるということです。

旅行会社「アドベンチャー」の事業の責任者、田郷勇太本部長は、「一時停止はシステムへの移行も考え早くても今週末くらいからと考えていたが、新規予約はきょうからと聞いてとても驚いた。急すぎて間に合うわけがない。利用者にも大きな混乱が出てしまう」と話していました。

ネットの声「大阪除外なら京都で取り直すだけ」

「Go Toトラベル」を一時停止する措置について、ツイッターをはじめとしたSNS上ではさまざまな書き込みがみられました。

このうち、札幌や大阪を訪問する予定ですでに宿泊施設を予約している人たちからは、「今からキャンセルして本当に全額返金してくれるの?」といった書き込みや、「大阪が除外なら、ホテルを京都で取り直すだけ」といった書き込みがみられました。

また、感染拡大地域を目的地とする旅行が一時停止される一方で、こうした地域から出発する旅行が引き続き対象となるのは不公平だという声も上がっていました。

さらに、キャンセル料を国が補填する方針であることについて、「旅行が出来る余裕のある人の補償より生活苦になった人の生活を支える方が重要だ」といった書き込みもみられました。