菅首相会見 ワクチン接種開始
2月中旬目指す考え 目標前倒し

2021年2月2日

菅総理大臣は、2月2日夜、総理大臣官邸で記者会見し、新型コロナウイルスのワクチン接種の開始時期について「できるかぎり2月下旬」としてきた目標を前倒しして、2月中旬を目指す考えを明らかにしました。

「10の都府県 3月7日まで1か月延長することを決定した」

菅総理大臣は記者会見で「先ほど新型コロナ対策本部を開催し、緊急事態宣言について栃木県は2月7日で解除することとし、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、および福岡県については、3月7日まで1か月延長することを決定した」と述べました。

「宣言を終えることができず まことに申し訳なく思っている」

「これまでの間の国民の皆さんのご協力に感謝申し上げるとともに、すべての地域で緊急事態宣言を終えることができず、まことに申し訳なく思っている。また、先般、内閣の一員である副大臣やわが党に所属した議員が深夜まで会食していた問題はあってはならないことだ。素直にお詫び申し上げる次第だ」と陳謝しました。

「もうひと踏ん張りしていただいて 減少傾向確かなものに」

「国民の皆さんには、もうひと踏ん張りしていただいて、何としても感染の減少傾向を確かなものにしなければならないと判断した。これからの期間も、飲食店の時間短縮を中心に、メリハリをつけた、これまでの対策を続ける。これを徹底していくことにより感染の減少傾向を継続させ、入院者、重症者も減少させる必要がある。何としても、安心できる暮らしを取り戻したい」と述べました。

「状況が改善した都府県 期限を待たず宣言解除」

「3月に入ると、卒業式や春休みもある。対策を徹底し、状況が改善した都府県については、3月7日の期限を待たず、順次、宣言を解除していく。自治体と協力し、全力で医療体制の確保を行う。引き続き、制約の多い生活で、ご苦労をかけるが、いまひとたび、協力をお願いする」と述べました。

「みなさんの協力により効果が見られ始めている」

「全国の新規感染者数は宣言を行った1月7日は7721人、その後、減少に転じ、2月1日は1783人だった。東京では1月7日は2447人、その後、大幅に減少し、2月1日は393人、さらに本日は556人となっている。これまでの対策により、そして、国民みなさんの協力により、はっきりとした効果が見られ始めている」と述べました。

「飲食店 ガイドライン順守を引き続きお願いする」

「飲食店については、以前から席と席の適切な間隔などについてガイドラインを設けており、引き続き、その順守をお願いする。緊急事態宣言が続く地域では、改めて対策の徹底をお願いするが、対策の効果がさらに明らかなものとなり、現状が改善された都府県については、3月7日の期限を待たずに順次、宣言を解除してまいる」と述べました。

「医療体制の確保にも全力を挙げていく」

医療機関への支援について「重症者をはじめ、必要な方が適切な医療をきちんと受けることができるよう、医療体制の確保にも全力を挙げていく。現場の方々が、財政面でちゅうちょすることのないようまた、新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れる医療機関が損失を被ることがないよう、しっかりと支援していく」と述べました。

「医療体制 引き続きひっ迫 ステージ3へと改善していく」

「延長する10都府県については感染者数が十分に減少していると言えない地域もあり、多くの地域で医療体制も引き続きひっ迫している。今後もこれまでの対策を徹底して続けていただいて感染の減少を確実なものとし、新規感染者数、病床利用率などを当面のめどであるステージ3へと改善していく」と述べました。

その上で「新規感染者数が東京で1日500人、大阪で1日300人を下回ること、さらに病床のひっ迫に改善がみられることが重要だ。夜8時までの飲食店の時間短縮不要不急の外出自粛やテレワークのさらなる拡大やイベントの人数制限、こうした対策の徹底をお願いをする」と述べました。

ワクチン接種の開始時期「2月中旬に接種スタートしたい」

ワクチン接種の開始時期について「『できるかぎり2月の下旬』と申し上げてきたが、1日も早くという思いで努力してきた。今後、有効性、安全性を確認した上で、2月中旬に接種をスタートしたい」と述べました。

その上で「医療関係者から始め、高齢者については4月から接種を進める。政府をあげて準備を進め、自治体に対しては、できるかぎりの情報の提供を速やかに進め、必要な費用のすべてを国が負担する。安心して接種していただけるよう、効果や副反応なども、わかりやすく情報発信を行っていく」と述べました。

特別措置法などの改正案「速やかな審議をお願いしたい」

国会で審議中の新型コロナウイルスの特別措置法などの改正案について「対策がより実効的なものになるよう、与野党の皆さんの尽力によって支援と行政罰をセットで規定することができるようにした。速やかな審議を引き続き、お願いしたい」と述べました。

「変異株 対策は従来のウイルスと同じだ」

「変異株については、迅速な検出を可能とする体制を強化し、強い危機感を持って警戒を続けていく。対策は従来のウイルスと同じだ。マスク、手洗い、3密の回避という基本的な感染対策をこれまで以上にお願いする」と述べました。

「1人1人が行動を変えることで感染を大幅に縮小できる」

「多くの無症状や軽症の若者から外出や飲食で感染が広がり、現在、世代を超えて高齢者の方々にも広がっている。若者でも重症化する事例がある。また、因果関係は明らかになっていないものの、いわゆる後遺症とされる報告もある」と述べました。

その上で「ぜひ、ご自身のこととして捉えて頂きたいと思う。飲食は家族やいつも一緒にいる人と静かにとる。不要不急の外出を控える。マスクなしでの会話は控える。1人1人が行動を変えることで感染をさらに大幅に縮小させることができる」と述べました。

「雇用と暮らしを守り困難を抱えた方々を支えていく」

「影響が長引く中で、いまだ支援の手が届いていないという声がある。手元の生活資金にお困りの方には、緊急小口資金などでお応えし、現在140万円の限度額を200万円まで拡大する。所得が減っている方々には、返済を免除する」と述べました。

その上で「収入が減少し家賃にお困りの方には、住居確保給付金を用意しているが、再度の支給により、さらに3か月分の家賃を支援する。大企業の非正規の方々で、休業手当の支払いが行われない、雇用調整助成金が活用されないという問題についても検討を進めており、早急に対応する。与党のご意見を踏まえながら、雇用と暮らしを守り困難を抱えた方々を支えていく」と述べました。

東京五輪・パラ「安全安心を最優先に検討」

「東京オリンピック・パラリンピックは無観客での開催も選択肢という認識か」と問われ「観客については今後、内外の感染状況も勘案しつつ、安全、安心の大会にすることを最優先に検討を進めていきたい」と述べました。

「私のすべての力を注いで取り組んでいく」

「新型コロナウイルスの発生から1年以上たった。わが国でも世界でもなお、ウイルスとの闘いは続いている。私も日々悩み、考えながら走っている。国民の皆さんの不安を少しでも解消するために、あらゆる方策を尽くし、私のすべての力を注いで取り組んでいく。いま一度のご協力を国民の皆さんにお願い申し上げる」と述べました。

前文部科学副大臣を更迭「素直にお詫び申し上げる次第だ」

緊急事態宣言が続く中、深夜まで飲食店に出入りしていた前の文部科学副大臣を更迭したことなどについて「内閣の一員である副大臣や自民党に所属した議員が深夜まで会食していた問題はあってはならないことだ。素直にお詫び申し上げる次第だ」と陳謝しました。

プロンプター「今回初めて使った 受け止め方は皆さんに」

記者団から、透明な板に映し出された原稿を目線を落とさずに読むことができる「プロンプター」を初めて使った理由を問われたのに対し「従来から記者会見で、国民の皆さんにきちんと情報を発信し、説明責任を果たしたいと思っていた。そうした観点から、一助になればという、いろんな方からのお考えがあったので、今回初めて使った。受け止め方は皆さんがお決めになることだが、機会に応じて活用していきたい」と述べました。

特措法改正案成立した場合「個人の自由 権利に配慮は当然」

新型コロナウイルスの特別措置法改正案が成立した場合の対応について「罰則の周知期間に配慮しながらできる限り速やかに施行したい。施行後は改正法に基づいて、より実効的な対策を講じることができると思っている。恣意的な運用が行われないように対応していきたいと思っている。支援と行政罰をセットにして、より効果を上げたい。当然、個人の自由や権利に配慮するのは当然のことだと思っている」と述べました。

自宅療養「各自治体が容体をモニターする体制を作る」

「国と都道府県が緊密に連携してひとつひとつの病院に直接、受け入れの働きかけを行っている。自宅療養で症状に変化があった場合、すみやかに医療機関などにつなぐため、血液中の酸素飽和度を測る『パルスオキシメーター』の支援など、各自治体が容体をモニターする体制を作るなどして、国と都道府県が連携して取り組んでいる」と述べました。

「コロナ収束させたいという強い思いの中で判断」

「緊急事態宣言に基づく対策の実施は、国民の皆さんの日常生活やなりわいを大きく制約するものであり、『多くの地域を解除して、延長は短期間にした方がいい』とか、色々な考えがあるのは事実だ」と述べました。

その上で「今回は多くの地域で期間を延長させ、感染をしっかり減少し、病床の負荷を下げる必要があると判断して、栃木県以外については1か月間の延長を決断した。こうした制約をまた引き続いてお願いすることに対して、大変申し訳ない思いだが、ようやく感染者の数字が日々、下がっているので、コロナを収束させたいという強い思いの中で判断した」と述べました。

Go Toトラベル一時停止「私自身が判断した」

「Go Toトラベル」について「地方経済の大きな下支えになったことも事実だ。民間企業の中で『経済効果が5兆円、雇用効果が46万人』という数字もある」と述べました。

そして、2020年12月に全国一斉の一時停止を決めたことについて「『ステージ3』になったときに、分科会の尾身会長から『東京や札幌、大阪はやめるべきだ』という話もうかがい、私自身が判断した。コロナ対策を優先して取り組んでいることが分かって頂けるのではないか」と述べました。

指定感染症 引き下げるべきと指摘「適当でない」

医療提供体制の確保に向けて「指定感染症」となっている新型コロナウイルスを、季節性インフルエンザなどと同じ「5類相当」に引き下げるべきだという指摘が出ていることについて「患者を入院させて隔離できなくなる可能性があり、現在の状況を考えれば適当ではないと考えている」と述べました。

その上で「医療現場の負担軽減に最大限の努力を行っていく。入院の対象として、重症者を優先させるよう、各都道府県を指導しており、さらに患者を受け入れる病院に派遣される医師や看護師への支援額を倍にするなどの取り組みを行っている。引き続き、こうした取り組みをしっかり行っていきたい」と述べました。

「感染拡大防止にかじ切って全力で取り組んでいるところ」

記者団が、1月、緊急事態宣言を出した際の心境を尋ねたのに対し「宣言を発出することにより、多くの国民の皆さんに大きな制約をお願いするようになるので、できれば、限られた中で感染拡大を阻止する可能性を追求していた」と述べました。

その上で「最良の判断を総理大臣としてしなければならないので、いろんな方にご相談させていただき、海外の事例などの情報もいただく中で決断した。そして、いまは目的に向かって、感染拡大防止にかじを切って全力で取り組んでいるところだ」と述べました。

ワクチン接種「遅れていることは現実だ」

新型コロナウイルスのワクチンについて、記者団から「世界ではすでに60か国近くが接種を開始しているが、日本はなぜ時間がかかるのか」と問われたのに対し「日本は全量確保することについては早かったと思う。ただ、接種までの時間が、海外より遅れていることは事実だ。日本の手続きという問題もあると思う。慎重に、いろんな治験を行った上で踏み切るわけであり、そういう意味で遅れていることは現実だ」と述べました。

その上で「ようやくワクチン接種の体制ができて、始まったら世界と比較して日本の組織力で多くの方に接種できるような形にしていきたい」と述べました。

政府 緊急事態宣言 10都府県 3月7日まで延長

政府は2月2日夜、総理大臣官邸で新型コロナウイルス対策本部を開き、菅総理大臣は、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、栃木県は解除し東京や大阪などの10の都府県は3月7日まで延長することを表明しています。