【1都3県】
“宣言”から3週間
人出・感染の広がりなど
変化は?

2021年1月29日

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏の1都3県に緊急事態宣言が出されてから3週間がたちました。

人出や感染の広がりにはどのような変化があったのでしょうか。NHKでは、IT企業や疫学の専門家の協力を得てデータを分析しました。

人出の変化は?

NHKは、IT関連企業の「Agoop」が利用者の許可を得て個人が特定されない形で集めた携帯電話の位置情報のデータを使って、緊急事態宣言が出ている首都圏の1都3県の主な地点の人の数を分析しました。

分析した時間は、
▼日中が午前6時から午後6時まで
▼夜間が午後6時から翌日の午前0時までです。

その結果、今月28日の人出は政府が宣言の発出を決めた3週間前の今月7日と比べて、場所によっては増えていました。

日中の人出の比較

まず、日中です。

【3週間前との比較】
今月28日の人出を、3週間前の今月7日と比べると、
▼渋谷スクランブル交差点付近と千葉駅付近はいずれも29%増加。
▼大宮駅付近も13%増加しました。

一方、
▼横浜駅付近は15%、
▼東京駅付近は9%、減少しました。

【1回目の緊急事態宣言時との比較】
今月28日の人出を、去年出された1回目の緊急事態宣言の時と比べると、
▼大宮駅付近が1回目の宣言が出ていた時の平日の平均と比べて94%増加したほか、
▼千葉駅付近が67%、
▼渋谷スクランブル交差点付近が63%、
▼東京駅付近が60%、
▼横浜駅付近が58%、多くなっています。

夜間の人出の比較

続いて、夜間です。

【3週間前との比較】
今月28日の人出を、3週間前の今月7日と比べると、
▼千葉駅付近が17%増加、
▼渋谷スクランブル交差点付近では9%増加しました。

一方、▼東京駅付近では7%、
▼大宮駅付近と横浜駅付近はそれぞれ3%減少しました。

【1回目の緊急事態宣言時との比較】
今月28日の人出を、去年出された1回目の緊急事態宣言の時と比べると、
▼渋谷スクランブル交差点付近が104%と、およそ2倍だったほか、
▼横浜駅付近が92%、
▼千葉駅付近が84%、
▼東京駅付近が75%、
▼大宮駅付近が72%、多くなっています。

【各都県詳細】1人の感染者から何人に感染が広がっているか

NHKは、疫学の専門家で国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長の監修を受け、緊急事態宣言が出ている11都府県について、今月28日までのデータに基づいて、簡易な手法で実効再生産数を計算しました。

実効再生産数は、「1」を上回ると感染が拡大に向かう一方、「1」を下回ると収束に向かうとされていて、より正確に出すには発症日を推定して計算するなど、さらに多くの条件を考慮する必要がありますが、時間がかかるため、あくまで目安の数値として確認された日ごとの感染者の数をもとに簡易な手法で計算しています。

※今後、公的な機関などが発表する実効再生産数のデータと結果的に異なる場合があります。

東京都

東京都では、
▼今月7日時点で1.27、
▼今月14日時点で1.21、
▼今月21日時点で0.96、
▼今月28日時点でも0.74と「1」を下回っています。

神奈川県

神奈川県では、
▼今月7日時点で1.11、
▼今月14日時点で1.45、
▼今月21日時点では0.97、
▼今月28日時点では0.68と、「1」を下回っています。

埼玉県

埼玉県では、
▼今月7日時点で1.10、
▼今月14日時点で1.25、
▼今月21日時点でも1.05と「1」を超えていましたが、
▼今月28日の時点では0.73で「1」を下回りました。

千葉県

千葉県でも、
▼今月7日時点で1.22、
▼今月14日時点で1.42、
▼今月21日時点で1.04と「1」を超えていましたが、
▼今月28日時点では0.82で「1」を下回りました。

1都3県

1都3県全体では、
▼今月7日時点で1.20、
▼今月14日時点で1.29、
▼今月21日時点では0.98、
▼今月28日時点で0.73と「1」を下回っています。

全国

全国では、
▼今月7日時点で1.17、
▼今月14日時点で1.27、
▼今月21日時点では0.96、
▼今月28日時点で0.77と「1」を下回っています。

専門家「減少傾向見えてきたが 楽観できない」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「ゆるやかだが、感染者の減少傾向が見えてきた。緊急事態宣言の効果に加え、感染者の急増への警戒感が高まったことが反映されていると考えられる。ただ、まだ感染者数は多く、ここで安心して気が緩むと、数週間後には再び拡大する上、医療現場のひっ迫状況が改善するにはまだ時間がかかるので決して楽観できない。減少傾向が続くことが重要で、1人1人がこれまでと同様、飲食を通じた感染を防ぐなど徹底した対策を継続する必要がある」と話しています。