緊急事態宣言解除決定を前に
専門家会合“すでに再拡大”指摘も

2021年3月17日

菅総理大臣は3月17日、首都圏の1都3県で継続している緊急事態宣言を、3月21日の期限で解除すると表明しました。

これに先立って、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ「都市部ではすでに感染の再拡大、リバウンドが生じ始めているのではないかという指摘もある」としました。

感染力が高いとされる変異ウイルスの監視体制を早急に強化し、検査や感染経路の調査を再び強化するなどの対策が必要だとしています。

会合では、緊急事態宣言が出されている1都3県の状況を中心に分析が行われました。

医療提供体制については、自治体での入院調整の改善傾向が続き、病床の使用率もステージ4の指標を継続的に下回るなど負荷の軽減が見られるとしています。

一方、報告されたデータでは3月16日までの1週間平均の新規感染者数は
▽東京都では前の週に比べて1.10倍、
▽埼玉県では1.17倍と増加、
▽千葉県は0.92倍、
▽神奈川県は0.88倍と下げ止まりとなっていて、感染者のうち若い世代の割合が高くなり、人の流れが再び増える動きが見られるとしています。

全国でも1.09倍と増加傾向に転じる

また、すでに宣言が解除された
▽大阪府、京都府、兵庫県の関西の2府1県での感染者数は前の週に比べて1.33倍、
▽愛知県と岐阜県の2県は0.95倍、
▽福岡県は1.15倍となっています。

このほかにも
▽宮城県では1.65倍、
▽沖縄県では1.44倍と20代、30代を中心とした感染拡大が見られるとしていて、全国でも1.09倍と増加傾向に転じています。

リバウンドが生じ始めているのではないかという指摘も

こうしたことから専門家会合は全国の感染状況について「3月上旬以降、横ばいから微増が続いている」と分析し、特に「関西圏を含めた都市部では、すでにリバウンドが生じ始めているのではないかという指摘もある」としています。

このため、専門家会合は緊急事態宣言の解除がリバウンドを誘発することに注意すべきだとして、感染力が高いとされる変異ウイルスの監視体制を早急に強化し、検査や感染経路の調査を再び強化するなどの対策が必要だとしています。

また、医療機関と高齢者施設や地域によっては飲食店でのクラスターも引き続き発生し、カラオケに関係するクラスターも起きているとしていて、卒業式や歓送迎会、花見など、年度末から年度初めの恒例行事に伴う宴会や旅行をなるべく控えるとともに、年度初めには入社や入学の際に移動や研修を伴うことが多いため、感染拡大につながらないよう注意が必要だとしています。

さらに次の感染拡大の波に備え、ワクチン接種の着実な推進や、感染拡大時に医療を機動的に提供するために体制の充実を確実に行う必要があるなどと指摘しました。

脇田隆字座長は「緊急事態宣言の解除が検討されているが、東京や埼玉では特に20代30代での若い世代での感染の増加が見られる。これまでの対策の経験から感染拡大は若い世代から始まることがわかっていて、仮に宣言が解除されても対策をしっかり続けることが重要だ」と話しています。