新型コロナ 新規感染者数の1週間平均
全国横ばい 西日本で拡大

2022年12月9日

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では横ばいとなっていますが、九州など西日本を中心に28の都府県では前の週より多くなっています。

NHKは厚生労働省が発表した感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国

全国では、
▽11月10日までの1週間では前の週に比べて1.30倍、
▽11月17日は1.24倍、
▽11月24日は1.08倍、
▽12月1日は1.27倍と7週連続で増加が続いていましたが、
▽12月8日まででは1.00倍(1.003倍)と、ほぼ横ばいとなり、
一日当たりの全国の平均の新規感染者数はおよそ11万1000人となっています。

一方、九州や四国、関西など西日本を中心に28の都府県では前の週より多くなっていて、
▽宮崎県では1.24倍、
▽熊本県では1.19倍、
▽愛媛県と兵庫県では1.17倍などと増加の幅が比較的大きくなっています。

一方で、
▽北海道では0.79倍、
▽山形県と長野県では0.85倍、
▽岩手県では0.87倍などと、北海道や東北などでは減少傾向が見られています。

宮城県

人口当たりの感染者数が最も多いのは宮城県で、
▽11月24日までの1週間は前の週の1.18倍、
▽12月1日は1.17倍と7週連続で増加が続いていましたが、
▽12月8日まででは0.93倍と減少に転じています。
一日当たりの新規感染者数はおよそ3285人で、人口10万当たりの感染者数は999.05人となっています。

1都3県

【東京都】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.06倍
▽12月1日は1.37倍
▽12月8日まででは1.01倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ1万2137人となっています。

【神奈川県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.10倍
▽12月1日は1.26倍
▽12月8日まででは1.02倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ7274人となっています。

【埼玉県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.07倍
▽12月1日は1.34倍
▽12月8日まででは1.07倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ6421人となっています。

【千葉県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.14倍
▽12月1日は1.44倍
▽12月8日まででは1.02倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ5102人となっています。

関西

【大阪府】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.10倍
▽12月1日は1.29倍
▽12月8日まででは1.08倍で、
一日当たりの新規感染者数は5779人となっています。

【京都府】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.14倍、
▽12月1日は1.40倍
▽12月8日まででは1.09倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ1785人となっています。

【兵庫県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.10倍、
▽12月1日は1.31倍、
▽12月8日まででは1.17倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ3574人となっています。

東海

【愛知県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.13倍
▽12月1日は1.36倍
▽12月8日まででは0.94倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ6940人となっています。

【岐阜県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.06倍
▽12月1日は1.33倍
▽12月8日まででは0.97倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ2226人となっています。

【三重県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.22倍
▽12月1日は1.13倍
▽12月8日まででは1.09倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ1535人となっています。

その他の地域

【北海道】
▽11月24日までの1週間は前の週の0.93倍
▽12月1日は1.03倍
▽12月8日までは0.79倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ6311人となっています。

【広島県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.15倍
▽12月1日は1.02倍
▽12月8日まででは1.08倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ3037人となっています。

【福岡県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.06倍
▽12月1日は1.41倍
▽8日まででは1.16倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ3581人となっています。

【沖縄県】
▽11月24日までの1週間は前の週の1.17倍
▽12月1日は1.47倍
▽12月8日まででは1.15倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ579人となっています。

東邦大 舘田教授「変異ウイルスへの置き換わり 感染状況注視」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「一時期、増加傾向が目立っていた北海道や東北、北陸では、新規感染者数が前の週を下回った一方、九州など西日本では前の週を上回り、地域差がはっきり出ている。年末年始にかけて感染状況が各地域でどう推移するか、見ていく必要がある」と評価しています。

そのうえで「いま主流となっているオミクロン株の『BA.5』だけなら爆発的な感染拡大につながらないかもしれないが、別の『BQ.1』系統の新たな変異ウイルスへの置き換わりが、急激な感染拡大のリスクとなっている。『BQ.1』は東京都内などで徐々に増えていることが確認され、12月末から年明けにかけて、本格的に置き換わっていくとみられるので、そのときに感染状況がどうなるか注視しなければならない」と指摘しました。

そして「1日の感染者数は第7波のピーク時に比べてまだ少ないが、医療の現場では病床の使用率が高まって、院内感染も発生していると報告されていて、この状況が続くだけでもかなりの負荷となる。また、死亡者が1日に200人を超える日が続き、感染拡大が進めば、これまでのピークを超えるペースで増加すると見込まれる。高齢者や基礎疾患がある人はワクチンを打っていても、一定の頻度で重症化したり、死亡したりしてしまうので、年末年始の帰省などで、高齢者と会う機会がある人は、若い人であっても、

▽ワクチンを接種すること、
▽事前に検査を行うこと、
▽体調管理の徹底、
▽寒くても換気の徹底など基本的な感染対策を行い、
感染を広げないような行動が重要だ」と話しています。

一方で新型コロナウイルスの感染症法上の扱いの見直しをめぐり、国は判断にあたって考慮する要素として
▽「病原性」
▽「感染力」
▽「今後の変異の可能性」
を挙げています。

これについて舘田教授は「新型コロナはワクチンや治療薬が普及し、検査キットも薬局やオンラインなどで購入できるようになり、死亡率はおよそ0.1%とインフルエンザに近づいているが、感染対策が徹底され、インフルエンザの感染者がほぼ出なくなった状況でも、コロナは広がり、感染力が高いウイルスであることは確かだ。しかし、全国で1年間に2000万人以上の感染が確認される中、『2類相当』の位置づけで就業制限や入院勧告、外出の自粛要請を続けたり、一部の医療機関しか診療できなかったりする状況が続くのは現実的ではない。『5類相当』への移行を目指す上で、医療だけなく、社会経済への影響も含めて議論を進めることが大事だ」と話していました。