コロナとインフルエンザ 同時流行時に発熱したら
私たちはどう対応?【10/13】

2022年10月13日

新型コロナウイルスへの対応で、2022年の冬にかけて専門家が懸念しているのが、新型コロナとインフルエンザが同時に流行する可能性です。

もし新型コロナとインフルエンザが同時流行する事態になり、症状が出た場合、私たちはどう対応すればよいのでしょうか。

政府は2022年10月13日、発熱など体調不良の時にどう受診すればよいか、考え方を示しました。

受診の考え方【重症化リスクがある人の場合】

小学生以下の子どもや妊婦、基礎疾患のある人や高齢者といった重症化リスクのある人は体調不良の場合、速やかに発熱外来やかかりつけ医を受診します。

受診した医療機関で新型コロナウイルスとインフルエンザの検査を受け、診断に応じて、治療薬の処方を受けるなどの対応をとります。

受診の考え方【重症化リスクが低い人の場合】

一方、若い世代など重症化リスクが低い人は体調不良の場合、自宅などで国に承認された医療用の抗原検査キットを使って新型コロナに感染しているかどうか確認します。

コロナ陰性の場合は電話やオンライン診療、かかりつけ医などを通じてインフルエンザかどうか診断を受け、必要に応じて抗インフルエンザ薬の処方を受けます。

コロナ陽性の場合は健康フォローアップセンターを通じて登録し、自宅療養となります。ただ、症状が重いと感じるなど受診を希望する場合には、発熱外来やかかりつけ医を受診するとしています。

「多くの医療機関で発熱患者診療を」

厚生労働省の専門家会合のメンバーで東北大学の小坂健教授は、同時流行した場合、地域の医療機関で発熱患者に対応できることが大事だと指摘します。

小坂教授
「もし同時流行下で発熱を自覚したとき、症状だけでは区別がつかない。いまコロナについてはインターネットなどでも抗原検査キットが購入できるので、自分で判断することができる場合もあるがインフルエンザは難しい。地域の多くの医療機関が率先して発熱患者を診療する体制が必要になるのではないか」

「重症化リスクの低い若い世代の人にとっては、インフルでもコロナでも、解熱剤を飲んだり水分補給してしっかり休養したりすれば、基本的には症状はよくなっていく。まずは休養ということも大切なことだ」

小坂教授は、どの感染症にかかったのか考える際には、地域でインフルエンザがどれくらい流行しているかみることも重要だと述べました。

小坂教授
「地域のインフルエンザの流行状況は、大きな目安になる。ただ、いまの仕組みでは、定点把握などを通じて知らせるようになっているため、情報が少し遅く、新型コロナのように毎日情報が更新されるリアルタイムな把握になっていない」

「治療薬の出荷状況など、少しでも最新の状況がわかるような把握方法を活用した上で、その情報をしっかりと医療機関や市民が共有できる体制が非常に重要になってくる」

また、厚生労働省専門家会合の脇田隆字座長は10月12日に開かれた専門家会合のあとの記者会見で「新型コロナの感染拡大の第7波では、検査キットが不足したり解熱薬が買いにくくなったりした。発熱した際に、(自分で手当てをする)『セルフメディケーション』を行ってもらうためにも、いまのうちに検査キットや解熱薬を買っておくということも重要ではないか。検査キットが購入しやすい環境を整えることも重要だ」と指摘しました。

コロナとインフルエンザ ワクチン接種はどう考えれば?

同時流行に備えるにあたって、ワクチン接種についてはどう考えればよいのでしょうか。

新型コロナのワクチンも、インフルエンザのワクチンも、感染をある程度防ぐほか、重症化を防ぐ効果は高いとされています。

小坂教授は、新型コロナの3回目、4回目のワクチン接種とともに、インフルエンザの接種を受けるよう呼びかけています。

小坂教授
「コロナもインフルも、同時にワクチンを打っても問題はない。医療機関によっては同時に接種できるところもあり、しっかりとタイミングを逃さず両方のワクチンを接種しておくことが、冬に向けて重要だ」

厚生労働省専門家会合の脇田座長も「オミクロン株対応のワクチンやインフルエンザのワクチンの接種を進めることは、流行の規模をなるべく小さくし、重症化を予防するためにも非常に重要だ」と話しています。

とるべき感染対策は変わらず

一方で、新型コロナもインフルエンザも呼吸器の感染症で感染経路は似ていて、とるべき対策は大きく変わりません。

▽発熱などの症状がある場合は学校や仕事には行かず、ほかの人との接触を極力避ける。休養が重要。
▽手指の消毒、屋内で人と近い距離で会話する場面などではマスクを着用する。飲食店などでは換気を徹底する。

専門家は、新型コロナとインフルエンザが同時流行した場合の感染の規模を小さくする意味でも、こうした基本的な対策を続けることが大事だと呼びかけています。