4~6月のGDP 年率+1.3%
2期ぶりプラスも個人消費は伸び悩み

2021年8月16日

2021年4月から6月までのGDP=国内総生産は、前の3か月と比べた実質の伸び率が年率に換算してプラス1.3%となりました。輸出などが増加し、2期ぶりにプラスに転じましたが、緊急事態宣言を受けて個人消費が伸び悩んでいることで、景気の持ち直しの動きは力強さを欠いています。

内閣府が、8月16日発表したことし4月から6月までのGDPの速報値は、物価の変動を除いた実質の伸び率が、前の3か月と比べてプラス0.3%でした。これが1年間続いた場合の年率に換算しますと、プラス1.3%となり、GDPは2期ぶりにプラスに転じました。

ただ、比較の対象となっている2021年1月から3月までのGDPの伸び率が、年率換算でマイナス3.7%の落ち込みだったことを踏まえると景気の持ち直しの動きは力強さを欠いています。

項目別では、前の3か月と比べて、「輸出」が、中国向けの半導体製造装置などを中心にプラス2.9%になったほか、「企業の設備投資」も、プラス1.7%となりました。

これに対し、GDPの半分以上を占める「個人消費」は、プラス0.8%の伸びにとどまりました。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて4月、東京都などに3回目の緊急事態宣言が出されたことが影響し、GDP全体の伸びを鈍らせる形となりました。

このほかの項目は、公共事業などの「公共投資」が、前の3か月と比べてマイナス1.5%でした。また、「輸入」が大幅に増えたことも、GDPの計算上、マイナスに作用しました。半導体や通信機器などに加え、ワクチンの輸入の増加も要因とみられます。

一方、物価の変動を反映した名目のGDPの伸び率は、前の3か月と比べてプラス0.1%、年率換算でプラス0.2%となりました。物価が下がったことで、名目の伸びが実質の伸びを下回りました。

経済再生相「『リベンジ消費』期待。潜在的回復力ある」

西村経済再生担当大臣は、GDPの発表を受けた記者会見で、個人消費について、「今後、ワクチン接種が促進されていく中で、外出移動制限が緩和されてくれば、いわゆる『リベンジ消費』が期待される。潜在的な回復力はあると認識している」と述べ、今年度のGDP全体の伸び率をプラス3.7%程度としている政府の見通しは実現可能だという認識を示しました。

そのうえで、「感染を抑えることを最優先にしないと、だらだらと感染が長引き、中途半端に進むことが経済にも非常によくないと思う。今はこれだけ感染者の数が出ているので、感染対策を最優先に取り組んでいきたい」と述べました。