7-9月のGDP改定値
年率換算で+22.9%
歴史的急落からの反動

2020年12月8日

内閣府は、2020年7月から9月までのGDP=国内総生産の改定値を発表し、年率に換算した実質の伸び率は、プラス22.9%となりました。歴史的な急落となった前の3か月からの反動で最大の伸び率になった速報値のプラス21.4%から上向きに修正されました。

内閣府は2020年7月から9月までのGDPの改定値を発表し、物価の変動を除いた実質の伸び率は前の3か月と比べてプラス5.3%となりました。

年率に換算するとプラス22.9%となり、比較可能な1980年以降で最大の伸び率となった速報値のプラス21.4%から上向きに修正されました。

これは、最新の統計を反映した結果、多くの項目が上方修正されたためです。

企業の「設備投資」は、前の3か月と比べて速報値の段階でのマイナス3.4%からマイナス2.4%に、GDPの半分以上を占める「個人消費」は、プラス4.7%からプラス5.1%に、「住宅投資」はマイナス7.9%からマイナス5.8%にそれぞれ上方修正されました。

「輸出」はプラス7.0%で速報値と同じ水準でした。

また、年率に換算した実質GDPの規模は、527兆1404億円となりました。

一方、歴史的な落ち込みとなった2020年4月から6月までの実質GDPの伸び率は下方修正され、年率換算でマイナス29.2%となりました。

2020年8月に発表された速報値でマイナス27.8%、その後、マイナス28.1%に下方修正されていましたが、今回さらに下方修正されたことになります。

今回から新基準で計算 改装工事代が「住宅投資」などに

GDP=国内総生産は、今回から新たな基準で計算が行われ、過去にさかのぼって修正されました。

基準改定の柱の1つが住宅や工場などを改装する工事代を計算に加えたことです。

壊れた施設をもとに戻すだけの「修理」ではなく、設備や機能が変わる「改装」であれば、新たな価値を生み出したといえるという考え方に基づきます。

住宅の場合は「住宅投資」、工場の場合は「設備投資」、公共施設の場合は「公共投資」として反映されます。

もう一つの柱は、映画や書籍といった娯楽作品、コンテンツを作る費用などを「設備投資」として加えることにしたことです。

娯楽作品の原本は、製品を生み出す工作機械のように新たな価値を生み出す源泉とみなせるという考え方に基づきます。

内閣府は、これらの項目を反映させて過去にさかのぼってGDPを計算し直しました。