“18歳成人”スタートから1か月
若者への影響は

2022年5月2日

成人年齢が18歳に引き下げられてから1か月になります。

親などの同意なしで契約などができるようになった“新成人たち”をめぐる現状を取材しました。
(名古屋拠点放送局 星和也)

街で聞いた“新成人”の声

4月中旬、名古屋市内で18歳や19歳の若者に話を聞くと、成人して変化があった人、なかった人、さまざまでした。

19歳大学生

「大人としての責任は感じるんですけど、お酒とか飲める年齢は変わってないので何も実感はないです」

18歳専門学校生

「1人で銀行口座を作りに行って、クレジットカードも自分で手続きして作りました。それで成人になったなと思いました」

19歳大学生

「親の同意とかがなくなると、何でも自分でできちゃうと思って、契約とかホイホイしてしまうタイプなので、そういうのは気をつけたい」

美容外科には“新成人”からの問い合わせ

名古屋市の繁華街にある美容外科では、成人年齢の引き下げに伴い、若い世代に人気の美容医療に関する契約上のトラブルが起きないよう苦心してきました。

二重手術のホームページ

18歳成人がスタートすると、さっそく美容医療を受けたいという18歳や19歳からの問い合わせが相次ぎ、なかにはローンでの支払いを希望する人もいるといいます。

アモーレクリニック 鈴木秀明院長

鈴木院長
「春先、職場や学校が変わるなどのタイミングで二重の手術をされる方が大変多くなっていますが、二重手術はやっぱり30万40万、それぐらいの価格帯になってきます」

このクリニックでは、20歳未満については、当面これまでと同様、親などの同意を求めていますが、問い合わせの中には、同意がなくても施術が受けられるクリニックを探しているというものもあったということです。

鈴木院長は「美容医療はやり直しのきかない治療や金額も高額になるような治療も多い」として、今後、社会の風潮や変化を見極めて、18歳や19歳への対応のしかたを慎重に判断していきたいとしています。

消費者トラブルの相談も

成人年齢の引き下げにあわせて消費者庁が4月1日から3日にかけて開設した無料の電話相談「消費者ホットライン18+」にはあわせて106件の相談が寄せられ、その半数ほどが10代と20代が関係した相談でした。

消費者庁によりますと、「マルチ商法などの勧誘でどのような点に注意すればよいか」といった若者本人からの相談だけでなく、「クレジットカードを作れるようになって心配」など若者の家族などからの相談も複数寄せられたということです。

電話相談の様子

また、トラブルの具体的な相談や、救済を求める声も寄せられ始めています。

NHKが愛知、岐阜、三重の東海3県に問い合わせたところ、4月21日までの3週間で、愛知県内と岐阜県内の消費生活センターなどには、18歳と19歳からの消費者トラブルなどに関する相談があわせて24件寄せられていました。(愛知県23件、岐阜県1件)
三重県は把握しているトラブルはありませんでした。

<寄せられた相談例>

「SNSで募集していたメールをやり取りするだけで報酬を受け取れるという副業に応募して登録料を払ったが、その後も追加費用を請求されているので返金してほしい」

「登録した出会い系サイトを通じてやり取りしていた相手から、連絡先の交換費用を請求されカードで決済したが、支払いをやめたい」

「全8回のコースでおよそ15万円の脱毛エステを契約した。支払いを続けるのが難しくなったため、解約を申し出たが解約料を請求された」

弁護士「私は大丈夫だと思わないで」

この状況について、消費者問題に詳しい弁護士は、「自分を過信しないことが重要だ」と指摘します。

加藤博子弁護士

加藤弁護士
「被害が発生して相談が出てくるのはこれからかなと思っていたのですが、もうすでにこれだけ寄せられていることに少し驚いています。大事なことは『私は大丈夫』だと思わないことだと思います。
選択をする前に自分でよく調べて、いろいろな人に意見を聞いて、自分の経験値が足りないところは、ほかの大人の経験で補ってもらいながら、いい選択ができるように工夫をしてほしい」。

不安があったら「188」に相談を!

愛知県などでは
▼「簡単に稼げる副業」を紹介するといった宣伝をうのみにしないことや、
▼契約の内容をしっかり確認することなど、改めて注意を呼びかけるとともに
不安がある場合は消費者ホットライン「188(いやや)」に相談してほしいとしています。

名古屋放送局記者

星 和也

2017年名古屋放送局に配属後
愛知県警や選挙取材の担当を経て現在は検察や裁判を取材

成人年齢取材班

秋山 度

2012年入局
福井局、水戸局を経て2019年から科学文化部