2022年1月24日
ことし4月から成人年齢が18歳に引き下げられます。
懸念されているのが18歳19歳の若者たちが悪質業者などに狙われやすくなる消費者被害のリスクです。
どうしてリスクが大きくなるのか?どのような事に気をつければいいのか?
消費者庁担当の秋山度記者と、消費者問題に詳しい中村新造弁護士が解説します。
18歳19歳は狙われやすくなるの?
記者
リスクは高くなると思います。
それは「未成年者取消権」の適用がなくなることと大きく関係しています。
未成年者取消権とは?
記者
民法に規定されている「契約を取り消すことができる権利」のことです。
未成年は契約のルール上でも、親などから守られる存在となっています。
例えば、未成年の場合、スマートフォンを買ったり、クレジット契約を結んだりする場合、原則として、親などの同意が必要になります。
記者
そして、親などの同意を得ずに結んだ契約は、原則としてあとから取り消しができるというものです。
なぜ、リスクが高くなるの?
記者
悪質業者側からすると、時間をかけて契約をしてもあとから取り消される可能性もあり、未成年はターゲットとして「おいしくない存在」だといわれています。
未成年者取消権というのは悪質業者から未成年を守るいわば防波堤のようなもの。
それが、ことし4月からは、18歳と19歳については、その対象から外れてしまいます。つまり、防波堤の外にでてしまい、リスクが高くなるということです。
本当に狙われるの?
記者
国民生活センターがまとめた消費者相談件数のデータがあります。
2020年度までの5年間に全国の消費生活センターなどに寄せられた相談のうち、契約者が18歳または19歳だったケースは、あわせて4万8000件余りにのぼります。
一方、20歳から24歳の20代前半が契約者だった相談件数は、およそ20万3000件となっています。
記者
20歳を境に相談件数が増える傾向にあり、相談の中には、20歳になったとたんに勧誘を受けるなど成人になったタイミングを狙っているとみられる事例もあるということです。
ことし4月から成人となる18歳の多くは高校生ということもあり、ターゲットとなる18歳や19歳でも被害が拡大するおそれがあります。
どうすれば防げるの?
弁護士
学校の授業などで法律や契約の仕組みを学ぶことは大切ですが、知っているだけでは被害を防ぎきれません。
必要でないにも関わらず業者から「もう大人なんだから」「いまがチャンス」などと言われて、すぐに1人で判断するように迫られたというケースは少なくありません。
こうした場合は「断る力」が試されます。
具体的にはどうすればいいの?
弁護士
断るかどうかの判断の基準として、安定した収入のない若者に特に伝えたいことがあります。それは「借りるな!!」です。
高額な費用の支払いのため金融機関などで借金するよう持ちかけられるケースがありますが、自己資金を超えて借金するような場合は、すぐに契約することは禁物です。
「クレジットカード」も自己資金を超えるような使い方は注意が必要です。
また「相談する力」も大切です。
誰かに相談することは未熟なのではなく、相談できる力を身につけてこそ大人だと思います。
ふだんから信頼できる人や相談機関など相談先を複数見つけておくことが大切です。
困ったときの相談先
記者
消費者被害にあったり、契約などに関して困ったことがあれば消費生活センターなどに相談することができます。
電話で問い合わせる場合は、「消費者ホットライン」があり、全国一律の電話番号「188」にかけると最寄りの消費生活センターなどを案内してもらえます。
また、国民生活センターでは、SNSを通じたチャットボットによる相談を行っていて、身に覚えのない商品が届くなど、相談の多いトラブルについて解決策などを自動で紹介してくれます。詳しくは、国民生活センターのホームページをご覧下さい。
このほか、法律に関する問い合わせなどは、日本司法支援センター=法テラスでも受け付けています。法テラスの番号は0570-078374です。