新型コロナ患者数 10週連続増加 変異株「KP.3」とは?症状は?

新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月14日までの1週間では1つの医療機関あたりの平均の患者数が11.18人、前の週の1.39倍で、10週連続で増加しています。

各地の感染動向は?広がる新変異株「KP.3」とは?注意点は?

データをまとめ、専門家に聞きました。

去年からの患者数の推移は?多いエリアは?

厚生労働省によりますと、7月14日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から1万5198人増えて5万5072人となりました。

また、1つの医療機関あたりの平均の患者数は11.18人で前の週の1.39倍となりました。前の週から増加が続くのは10週連続となります。

都道府県別では多い順に、

▼鹿児島県 31.75人
▼佐賀県 29.46人
▼宮崎県 29.34人
▼沖縄県 28.57人
▼熊本県 26.33人

などとなっていて、45の都府県で前の週より増加しています。

特に、鹿児島県では平均の患者数が30人を上回っているほか、九州地方では7つの県で20人を上回っています。

感染増加でクリニックが混雑

東京・新宿の内科のクリニックでは、18日、朝から発熱患者の受診が相次ぎました。

このうち40代の男性は、38度ほどの熱があり、のども赤くなっていて、検査の結果、新型コロナウイルスの感染が確認されました。周囲に感染者がいたなどの心当たりはないということです。

18日は新型コロナウイルスの検査をした24人のうち11人が陽性と診断されました。このクリニックでは、患者が増え始めた6月末から、毎日10人ほどが陽性と診断されているということです。

現在、手足口病など他の感染症も同時に流行していますが、新型コロナと診断された患者の症状は、発熱やのどの痛みなど、一般的なかぜに似ていて区別がつきにくく、感染力が比較的強いということです。

落合駅前クリニック 安藤策郎院長
「これから夏休みに入り人との交流の機会が増える。手洗いや換気、せきがある場合はマスクを着用するなど、基本的な感染対策を徹底してほしい」

入院患者3000人超 2月中旬以来

7月14日までの1週間に、全国およそ500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は3081人で、前の週と比べて741人の増加でした。入院患者が3000人を超えるのは2月中旬以来でおよそ5か月ぶりです。

厚生労働省は「例年お盆明けが感染拡大のピークで、今後夏休みで人の移動が多くなることが見込まれる時期となる。マスクの着用や手洗い、換気を意識するなど感染対策を徹底してほしい」と話していました。

変異株「KP.3」とは?専門家に聞く

新型コロナウイルスの感染が広がっていることについて、国内外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎客員教授に話を聞きました。

Q.なぜ今、広がってきている?
A.もともと夏場は冷房を効かせるために換気が行われにくく、マスクを外す人も増えることから感染が広がりやすい。さらに、オミクロン株の1種、『KP.3』と呼ばれる新しい変異ウイルスが広がっていることも要因の1つとみられる。

Q.「KP.3」はどんな変異ウイルス?
A.『KP.3』は『JN.1』から派生したウイルスで、日本だけでなく、欧米などの北半球で流行の主流になっている。従来のウイルスよりも過去の感染やワクチンによる免疫を逃れる能力が高いことが分かっていて感染力がやや強いという報告もある。

Q.症状は?
A.症状の重さなどについてはこれまでと変わらないとされているが、直近の厚生労働省のデータでは新型コロナによる入院が増えていることもあり注意しておく必要がある。

Q.今後の注意点は?
A.夏休みを行楽地などで過ごす人が増え、人の移動が盛んになることからお盆明けごろまでは患者の数は増え続けると考えられる。

これから流行期に入っていくことを踏まえ、換気や手洗いを徹底することや重症化しやすいとされる高齢者は、人混みに出る際にマスクの着用を徹底すること、それに症状が出た場合は、早めに医療機関を受診することなど、これまでよりも少し強めの対策を心がけてほしい。

1医療機関当たりの平均患者数(都道府県別)

▼鹿児島県 31.75人
▼佐賀県 29.46人
▼宮崎県 29.34人
▼沖縄県 28.57人
▼熊本県 26.33人
▼長崎県 22.4人
▼大分県 20.07人
▼高知県 19.8人
▼愛知県 15.62人
▼徳島県 14.97人
▼福岡県 14.92人
▼奈良県 13.24人
▼愛媛県 13.02人
▼山口県 13.01人
▼千葉県 12.77人
▼香川県 11.74人
▼岐阜県 11.55人
▼茨城県 10.83人
▼兵庫県 10.73人
▼和歌山県 10.22人
▼埼玉県 9.97人
▼長野県 9.89人
▼静岡県 9.81人
▼大阪府 9.65人
▼京都府 9.48人
▼岡山県 9.31人
▼神奈川県 9.13人
▼三重県 9.04人
▼滋賀県 8.8人
▼広島県 8.56人
▼山梨県 8.49人
▼栃木県 8.18人
▼富山県 8.02人
▼宮城県 7.98人
▼鳥取県 7.97人
▼石川県 7.75人
▼群馬県 7.75人
▼東京都 7.56人
▼岩手県 6.78人
▼島根県 6.63人
▼福井県 6.28人
▼福島県 6.18人
▼新潟県 5.97人
▼北海道 4.82人
▼山形県 4.41人
▼秋田県 3.13人
▼青森県 2.67人