【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月9日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる9日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 ハルキウ州方面の兵力強化示唆

ロシア軍が国境を越えて侵入したウクライナ東部ハルキウ州をめぐって、ゼレンスキー大統領は今後、この方面の兵力を強化することを示唆しました。

ウクライナ東部のハルキウ州の知事は8日、州の北部でロシアによる攻撃があり、1人が死亡し、2人がけがをしたと明らかにしました。また、領内に侵入したロシアの部隊が4回、撃退されたとしています。一方、ロシア国防省は8日、ハルキウ方面で、ウクライナ軍の6回の反撃を退けたとしています。

こうしたなか、ゼレンスキー大統領は、8日、公開した動画で「ロシア軍はハルキウ方面の作戦に失敗した。われわれは可能な限り、ロシア軍を抑え込み、領内に侵入したロシア軍の部隊を撃破している。この方面はさらに強化される」と述べて今後、ハルキウ方面の兵士を増員することを示唆しました。

米シンクタンク “ロ軍 兵力をヘルソンからハルキウ方面に移動”

アメリカのシンクタンク戦争研究所は8日、ロシア軍が兵力を南部ヘルソン州などからハルキウ州の方面に移動させているという分析結果を発表しました。ただ、この兵力がすぐに前線の戦闘に投入されるかどうかは不明だとしています。

先月10日、ロシア軍がハルキウ州の北側の国境を越えて侵入しておよそ1か月となり、この地域をめぐる両軍の攻防が続いています。

米仏首脳会談 欧米が結束しウクライナを支え続ける重要性強調

フランスのマクロン大統領は8日、前日のウクライナのゼレンスキー大統領との会談に続き、アメリカのバイデン大統領とパリで会談しました。

会談のあとの共同記者発表で、マクロン大統領は、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナへのアメリカなどからの支援について「ヨーロッパの安全保障と安定がかかっている」と述べ、ヨーロッパ各国がアメリカと結束して対応を続ける重要性を強調しました。

そのうえで、マクロン大統領はウクライナに供与した兵器でロシア領内を攻撃することの許可や、ウクライナ軍への訓練の実施などに言及し、「ここ数か月、私たちはいくつかの重要な決断を共同で行ってきた」と述べ、今月13日からイタリアで始まるG7=主要7か国の首脳会議などでも、支援に向けた議論が進むことに期待を示しました。

これに対し、アメリカのバイデン大統領は「ロシアをウクライナで止めなければ、ヨーロッパ全体が脅威にさらされる」と述べ、フランスをはじめとする同盟国とともに、ウクライナを支える姿勢を強調しました。

ウクライナ 夏以降に電力不足が深刻化か

ロシア軍のミサイルなどによるエネルギー関連施設への攻撃で、ウクライナで稼働する火力発電所が3割にも満たないことが明らかにされ、夏以降、電力不足が深刻化すると伝えられています。

ウクライナでは、ロシア軍のミサイルや無人機によるエネルギー関連施設への攻撃が続いていて、シュミハリ首相は7日、地元メディアに対し、正常に稼働する火力発電所は27%と、3割にも満たないことを明らかにしました。

国営の電力会社「ウクルエネルゴ」のCEOも「発電所などの被害規模は去年を上回っている」と述べ、メディアは、夏以降、電力不足が深刻化すると伝えています。

“ゼレンスキー大統領 支持率59%”ウクライナの調査会社

ウクライナの調査会社「キーウ国際社会学研究所」は先月実施した調査でゼレンスキー大統領の支持率が59%だったと7日、発表しました。ウクライナ侵攻直後のおととし5月の支持率は90%だったとしています。

調査会社は「依然として多数の国民が信頼しているが低下傾向が続いている」として動員をめぐる不公平感や汚職対策が進まないことなどが要因となっていると分析しています。

ゼレンスキー大統領の支持率が低下する中、ロシアのプーチン大統領は、7日に行った演説でもゼレンスキー氏が3月に予定された大統領選挙の実施を見送り、正当性が失われたとする主張を展開しました。

プーチン政権は、ゼレンスキー大統領の信頼性を損なわせ、最終的には政権交代に追い込んでいくこともにらみながら情報戦を仕掛けてくるとみられます。