【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 長期戦を視野に侵攻続ける構えを強調

ロシアのプーチン大統領は7日、第2の都市サンクトペテルブルクで開かれている「国際経済フォーラム」での演説後、司会者からの質問に答えました。

この中でプーチン大統領はロシア軍の兵力について「できるだけ早く敵を倒したいのであれば、現在の兵力では不十分だが、われわれは別の戦術をとる。このため動員をかける必要はない」と述べ、追加動員の計画はないと強調しました。

そのうえで国防省が契約軍人として去年1年間で30万人以上と、ことしに入ってもすでに16万人以上と契約を結んでいると強調しました。

プーチン大統領としては、ロシア軍の兵力が着実に増強されていると誇示し、長期戦を視野に入れてウクライナ侵攻を続ける構えを強調した形です。

東部ハルキウ 市長「エネルギーのインフラが完全に破壊」

5月から再び、ロシア軍による攻撃が激しくなっている、ウクライナ第2の都市、東部ハルキウのテレホフ市長が7日、NHKのオンラインインタビューに応じました。

テレホフ市長は、現在のハルキウ市内の状況について「侵攻開始以来続いてきたロシアの攻撃が、ことしに入ってさらに激しさを増している。今となってはエネルギーのインフラが完全に破壊され、非常に厳しい状況だ」と訴えました。

また先月25日には、市内の商業施設が爆撃を受けて19人が死亡するなど、市民が暮らす地域に攻撃が相次いでいるとして「人々は攻撃があるたびに心配し、常に危険な感覚がある。ロシアの戦略は、都市を破壊し、市民を追い出そうというものだ」と述べ、ロシアを非難しました。

そのうえで、ハルキウ市からの住民の退避については今のところ「考えていない」ということです。

一方、ロシア軍が先月、東部ハルキウ州に国境を越えて侵入し、攻勢を強めてきたことで、ハルキウでは、国境に近い地域から退避してきた人々を過去1週間だけでも1万人以上受け入れ、生活支援や心理的なケアを行っているということです。

こうしたなか、アメリカなどがウクライナに対して、自国が供与した兵器を使ったロシア領内への攻撃を許可したことについて「われわれが本当に必要としていた対応だ」と歓迎しながらも「ロシアは攻撃をやめようとしていない」として、すぐに成果が出るわけではないという見方を示しました。

今後についてテレホフ市長は、ロシアの攻撃で破壊されたエネルギー関連施設の復旧が追いついていないため、発電機などが必要だとして「冬に備えるための時間は限られていて、待っていられない。国際的なパートナーからの供与がとても重要だ」と述べ、日本を含む各国に対し協力を求めました。

ウクライナ軍 報道官「前線の状況は安定」

ウクライナ軍の東部ハルキウ州の前線に展開する部隊のポブフ報道官が7日、NHKのオンラインインタビューに応じ、国境を越えて州内に侵入してきたロシア軍の部隊との戦闘について「前線の状況は安定している。敵はウクライナの領土奥深くまで前進したが、それを止めた。さらなる前進は不可能だ」と述べ、ロシア軍の前進を食い止めているという認識を示しました。

そのうえで、ロシア軍の戦術については「砲撃による援護を受けながら、5人から7人程度の少人数で前進を試みる戦術をとっている」と説明したうえで「こちらから砲撃するのはあまり効率的ではなかった。無人機で監視し、撃退している」として、前線ではなんとか防戦していると述べました。

欧米からの軍事支援が手元に届いているかどうかは明言しなかったものの「兵器や砲弾は届いていて、砲撃で敵を撃破している」として、支援が再開され、弾薬不足がある程度、解消されたことを示唆しました。

また、アメリカなどがウクライナに対して、自国が供与した兵器を使ったロシア領内への攻撃を許可したことについて「こうした許可はウクライナ軍の士気を大いに高めるものだ」と歓迎しました。

さらに、フランスのマクロン大統領が、フランス軍の教官をウクライナに派遣する意向を明らかにするなど、軍事的な関与を強める動きを示していることについて、ポブフ報道官は「今のような厳しいときに提供される軍事支援はウクライナ軍にとって大いに役立つ。訓練がよくなればその分、戦場で効果を発揮する」と期待を示しています。

仏 マクロン大統領「可能な限り広い連合作る」軍の教官派遣で

フランスのマクロン大統領は7日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談を行ったあと、共同で会見を開きました。

このなかで、マクロン大統領はウクライナ軍の兵士を訓練するため、ウクライナに軍の教官を派遣する可能性について聞かれたのに対し、「特定の条件においては、ウクライナで訓練を行うほうが効果的で現実的であり、正当な要請だ」と述べました。

そのうえで、「私たちは近いうちにウクライナの要請に応えることができる、可能な限り広い連合を作るつもりだ」と述べ、各国と協力して教官を派遣するための枠組みを作る意向を示しました。

すでに賛同している国もあるとして、実現に向けて各国と調整を続けているとしています。

これに対し、ゼレンスキー大統領は「マクロン大統領の取り組みを支持する。訓練期間の短縮につながる」と述べ、期待を示しました。

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナに軍の教官が派遣されれば、派遣された教官らも攻撃の対象になりうると強くけん制していますが、マクロン大統領は「私たちがロシアと戦争しているわけではなく、エスカレートにはつながらない」と述べました。

KNDSグループ ウクライナ国内でフランスの155ミリ砲弾を生産へ

フランスを訪問中のウクライナのゼレンスキー大統領は7日、フランス国防省を訪れ、フランスが供与しているりゅう弾砲や防空システムを視察しました。

また、この視察にあわせ、ゼレンスキー大統領も同席するなか軍事企業による署名式が行われ、フランスの軍事企業を傘下にもつ「KNDSグループ」がウクライナ国内に子会社をつくることが明らかになりました。

そのうえでウクライナに供与しているフランスの自走式りゅう弾砲「カエサル」などに使われている155ミリの砲弾をウクライナ国内で、現地企業に委託する形で生産するとしています。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍が各前線で攻勢を強める一方、ウクライナ側では兵器や砲弾不足が深刻となっています。

ロシア プーチン大統領 欧米諸国を強くけん制

ロシアのプーチン大統領は7日、第2の都市サンクトペテルブルクで開かれている「国際経済フォーラム」の全体会合で演説したあと、司会者の質疑に応じました。

この中で、アメリカなどが自国が供与した兵器でロシア領内を攻撃することを許可するなど、ウクライナへの関与を強めていることに対し、プーチン大統領は「軍事的な圧力を受ける国などにわれわれも兵器を供与する権利は保持している」と述べ、欧米諸国と対立する国に対してロシアが兵器を供与するという報復措置に言及しました。

また、ロシアが核兵器を使用する可能性について「国の主権と領土の一体性に対し脅威が生じた場合は可能性があるが、そのようなケースが起きたとは考えていないし、必要性もない」と述べました。

ただ「世界や周辺で何が起きているか注視している。核ドクトリンに何らかの変更を加える可能性を排除するものではない」とも述べ核兵器の使用条件が変更される可能性をちらつかせました。