トランプ前大統領 裁判 陪審員の評議 結論出ず持ち越しに

アメリカのトランプ前大統領が不倫の口止め料を不正に処理した罪に問われている裁判は、29日、陪審員が有罪か無罪かを判断するため話し合う「評議」が始まりましたが、この日は結論が出ず、翌日以降に持ち越されることになりました。

ニューヨーク州の裁判所で4月15日から行われている裁判で、トランプ氏は2016年の大統領選挙で不利にならないよう不倫の口止め料を支払い、その支出を隠すために弁護士費用と偽り不正に処理したとして、帳簿などの業務記録を改ざんした罪に問われています。

29日は、一般の市民から選ばれた12人の陪審員が、検察側と弁護側双方の主張やこれまでの審理で示された証拠や証言をもとに、有罪か無罪かを判断するための「評議」と呼ばれる話し合いが行われました。

ただ、途中で陪審員から検察側の証人2人の証言をあらためて確認したいという申し出があり、この日は結論が出ませんでした。

評議は翌朝再開されることになり、有罪か無罪かの結論である「評決」の言い渡しは30日以降に持ち越されることになりました。

評議は、陪審員12人全員が一致した結論を導き出す必要がありますがさらに数日かかる可能性や、一致した結論が出ず、審理が無効になる場合もあります。

トランプ前大統領「罪状はでっち上げで すべてが不正」

トランプ前大統領は陪審員による評議が始まると法廷を出て、報道陣の前に姿を見せました。

トランプ氏は「罪状はでっち上げで、すべてが不正だ。この国の人々はこれが不正な取り引きだと見ていると思う。民主党が政敵を攻撃するために武器として利用する取り引きだ」と述べて、裁判は民主党側が政治的な意図を持って仕組んだものだと主張しました。

評議後 トランプ前大統領「バイデン氏による『魔女狩り』」

トランプ前大統領は陪審員による1日目の「評議」が終わったあと、法廷の外で記者団に対し「非常に不公平なのは、私が朝から晩までこの部屋にいて1日中、選挙運動をしていないことだ。これはバイデン氏による『魔女狩り』だ」と述べて、大統領選挙に向けたバイデン大統領による選挙妨害だという認識を示しました。

その上で「この件はただちに終わらせるべきだ」と述べて、速やかに結論を出すべきだと主張しました。

裁判所前の広場 トランプ氏の支持者数十人が集まる

ニューヨーク中心部・マンハッタンにある裁判所前の広場には、トランプ氏の支持者、数十人が集まり「政治的な魔女狩りをやめろ」などと書かれた横断幕や、トランプ氏の顔が描かれた旗を振りながら、トランプ氏を支持する姿勢をアピールしていました。

一方、トランプ氏を批判する人たちも時折、広場を訪れ、トランプ氏の支持者らと言い争う様子も見られました。

裁判所の前では大勢の警察官が警戒にあたる中、歩道を埋め尽くすほど多くのメディアが集まり、状況を伝えていました。