【全名簿】フェンシング パリ五輪 江村美咲など18人が代表内定

パリオリンピックのフェンシングの日本代表が発表され、女子サーブル個人で世界選手権を2連覇している江村美咲選手など合わせて18人が内定しました。

記事後半では18人の内定選手を全員紹介しています。

これは日本フェンシング協会が19日、都内で会見して発表しました。

パリオリンピックの日本代表に内定したのは、リザーブの選手を含め、6種目の18人です。

江村美咲選手(右から2人目・2022年 世界選手権)

女子サーブルでは、去年7月の世界選手権で個人2連覇を果たし、パリオリンピックで金メダルが期待される江村選手が選ばれました。

また、男子エペでは3年前の東京オリンピックで日本フェンシング界初の金メダルとなった団体のメンバーから加納虹輝選手、見延和靖選手、山田優選手の3人が引き続き選ばれました。

加納虹輝 選手

このうち、加納選手はこの種目のエースで、東京大会後、国際大会で優勝を重ねるなど実績を積み、個人でもメダル獲得が期待されています。

飯村一輝 選手

チーム最年少は、去年の世界選手権で男子フルーレ団体の初優勝に貢献した20歳の飯村一輝選手です。

千田健一 会長「パリでも活躍してくれると思う」

日本フェンシング協会 千田健一会長
「世界選手権やアジア大会といった大きな舞台を経験した選手ばかりなので、パリでも活躍してくれると思う。今回、4種目で団体で出場できるのは初めての快挙なので、パリオリンピックでは金メダルを含む複数でのメダル獲得に向けて選手たちに頑張ってほしい」

《代表内定選手 18人》

フェンシングのパリオリンピックの日本代表に内定した18人です。

◆男子フルーレ

▽松山恭助 選手
▽飯村一輝 選手
▽敷根崇裕 選手
リザーブ
▽永野雄大 選手

◆男子エペ

▽加納虹輝 選手
▽見延和靖 選手
▽山田優 選手
リザーブ
▽古俣聖 選手

◆男子サーブル

▽吉田健人 選手

◇女子フルーレ

▽東晟良 選手
▽上野優佳 選手
▽宮脇花綸 選手
リサーブ
▽菊池小巻 選手

◇女子エペ

▽吉村美穂 選手

◇女子サーブル

▽江村美咲 選手
▽高嶋理紗 選手
▽福島史帆実 選手
リザーブには
▽尾崎世梨 選手

《代表内定選手 特徴は》

【男子フルーレ】

◆松山恭助(まつやま・きょうすけ)選手

男子フルーレの松山恭助選手は東京都出身の27歳。2016年、19歳で出場した全日本選手権で初優勝して頭角を現しました。
巧みな剣さばきを生かしたディフェンスが持ち味で、初出場の東京オリンピック後、攻撃にも磨きをかけ、去年の世界選手権やことし3月の国際大会の個人戦で銅メダルを獲得するなど個人の世界ランキングで日本勢のトップに立っています。
団体ではオリンピック銀メダリストの太田雄貴さんのあとを継いでキャプテンを務めていて、去年の世界選手権では初優勝の快挙を成し遂げるなど躍進を続けるチームをけん引しています。
この結果、男子フルーレ団体は世界ランキング1位につけるなど安定した実績を残し、3大会ぶりに自力でのオリンピック出場権を獲得しました。

◆飯村一輝(いいむら・かずき)選手

男子フルーレの飯村一輝選手は京都府出身の20歳。パリオリンピックに臨むフェンシング日本代表では最年少です。
東京オリンピック後に頭角を現し、おととしのワールドカップでは日本選手で最年少となる18歳3か月で銅メダルを獲得しました。
幼い頃からオリンピック銀メダリストの太田雄貴さんを指導した父の栄彦さんから英才教育を受け、世界ジュニア選手権で優勝を果たすなど若手のホープとして期待されてきました。
身長1メートル70センチと世界の舞台では小柄ながら、圧倒的なスピードを武器にしたプレースタイルから“太田雄貴さん二世”とも呼ばれています。
世界ランキング1位につける団体でも勢いのある若手として欠かせない存在に成長していて、金メダルを目指すうえでのキーマンとなっています。

◆敷根崇裕(しきね・たかひろ)選手

男子フルーレの敷根崇裕選手は山梨県出身の26歳。19歳で出場した2017年の世界選手権で銅メダルを獲得するなど、10代の頃から世界の舞台で活躍してきた実力者です。
剣先を下げた独特の構えで、相手にタイミングを取らせない巧みな攻撃でポイントを重ねるのが持ち味です。
初めてのオリンピックとなった東京大会では個人戦と団体ともに3位決定戦で敗れてメダル獲得はならずパリ大会での雪辱を誓っていて、去年の世界選手権では団体メンバーとして日本初の金メダル獲得に貢献しました。
ことしに入ってからは5月のワールドカップで準優勝するなど調子を上げています。

◆永野雄大(ながの・ゆうだい)選手

男子フルーレで団体のリザーブに選ばれた永野雄大選手は茨城県出身の25歳。1992年のバルセロナオリンピック代表の父・義秀さんの指導のもと力をつけて、これまでに全日本選手権では2回の優勝を果たしました。
東京オリンピックでもリザーブに選ばれ、3位決定戦に出場しました。おととしにはワールドカップの個人戦で3位に入ったほか、団体メンバーとしても国際大会に出場するなど実力を伸ばしてきました。

【男子エペ】

◆加納虹輝(かのう・こうき)選手

加納虹輝選手は愛知県出身の26歳。前回の東京オリンピックで日本フェンシング界初の金メダルを獲得した男子エペ団体のエースです。
身長1メートル73センチと小柄ながらダイナミックな攻撃が持ち味で、スピードをつけて前に突進する技やカウンター攻撃など巧みな技術で相手を翻弄します。
初出場の東京オリンピックではチームの主力として金メダル獲得に貢献したほか、去年2月のワールドカップドイツ大会の個人戦で優勝を果たし、個人の世界ランキングで1位にも立ちました。ことし5月のグランプリ大会の個人戦でも優勝するなどパリオリンピックに向けて調子を上げています。
また団体ではエースとしてけん引し、去年のアジア選手権でチームを7年ぶりの優勝に導くなどパリオリンピックの出場権獲得に大きく貢献しました。

◆見延和靖(みのべ・かずやす)選手

男子エペの見延和靖選手は福井県出身の36歳。前回の東京オリンピック団体では日本フェンシング界初の金メダル獲得に貢献しました。
当時、見延選手が男子エペ団体チームに名付けた愛称で「エペ陣」と「ジーンと感動させる」をかけた「エペジーーン」ということばは新語・流行語大賞にもノミネートしました。
長いリーチを生かした遠い距離からの攻撃が持ち味で、東京オリンピックまでに国際大会の個人戦で通算5回の優勝を果たしたベテラン選手ですが、おととしの世界選手権では日本勢初のメダルとなる銀メダルを獲得するなど実績を残し続けています。
また団体でも主力メンバーとして活躍を続け、2大会連続のオリンピック出場に貢献しました。

◆山田優(やまだ・まさる)選手

男子エペの山田優選手は三重県出身の29歳。前回の東京オリンピックで日本フェンシング界初の金メダルを獲得した男子エペ団体の主力です。
1メートル84センチの長身をいかしたダイナミックな攻撃が持ち味で、東京大会前の2020年には海外勢の層が厚いエペでグランプリ大会で日本選手2人目となる優勝を果たすなど、個人の世界ランキングで一時、2位に立ちました。
その後、ランキングを落としましたが、ことし2月のワールドカップドイツ大会で4年ぶりの国際大会優勝を果たすなど調子を上げています。
また団体のメンバーとしても活躍を続け、オリンピック2連覇を目指すチームの主力として期待されています。

◆古俣聖(こまた・あきら)選手

男子エペで団体のリザーブに選ばれた古俣聖選手は新潟県出身の26歳。身長1メートル80センチと大柄ながら軽快なフットワークを生かし、さまざまな攻撃を繰り出します。
ふだんは日本代表として都内を拠点に練習を積んでいますが、地元・新潟市の建設会社の社員として週に1回は東京の支店に通う会社員アスリートです。
東京オリンピック以降代表の主力となり、去年のグランプリ大会の個人戦で3位に入ったほか、アジア選手権の団体では優勝を果たすなど、パリオリンピックの出場権獲得に貢献しました。

【男子サーブル】

◆吉田健人(よしだ・けんと)選手

男子サーブルの吉田健人選手は、岩手県出身の31歳。高校からフェンシングを始め当初はフルーレが専門でしたが、大学でサーブルに転向しました。
スピードある攻撃が持ち味で、海外勢の層が厚いサーブルで日本の中心選手として活躍してきました。
初出場の東京オリンピックでは個人戦と団体ともに1回戦敗退でしたが、その年のグランプリ大会では個人戦で3位に入り、この種目では日本選手で初めて表彰台に上がるなど実績を残してきました。
男子サーブルは団体でのパリオリンピック出場は逃しましたが、吉田選手は個人戦の出場枠を獲得して2大会連続の出場につなげました。

【女子フルーレ】

◇東晟良(あずま・せら)選手

女子フルーレの東晟良選手は和歌山県出身の24歳。体の柔らかさを生かした鋭い踏み込みからの攻撃が持ち味です。
選手だった母の影響で小学生のときに競技を始め、2017年の全日本選手権ではオリンピック銀メダリストの太田雄貴さん以来、15年ぶりに高校生で優勝し、よくとしに2連覇を果たしました。
国際大会でも安定した結果を残し去年3月、韓国で開かれた国際大会では個人戦で準優勝するなど個人の世界ランキングで日本勢トップに付けています。
団体でも主力としてチームを引っ張り、去年の世界選手権では銅メダルを獲得するなど2大会連続の自力でのオリンピック出場権獲得に大きく貢献しました。

◇上野優佳(うえの・ゆうか)選手

女子フルーレの上野優佳選手は大分県出身の22歳。身長1メートル60センチと小柄ですが、フットワークとスピードを生かした攻撃が持ち味です。
6歳で競技を始め、小学生のころから国内外の大会で活躍し、16歳で出場した2018年のジュニア世界選手権やユースオリンピックで優勝を果たしました。
若手のホープとして初出場した東京オリンピックでは個人戦で準々決勝まで進み、その後も国際大会で活躍を続けて個人の世界ランキングでは日本勢の2番手に付けています。
また団体では去年の世界選手権で銅メダル獲得に貢献し、パリオリンピックでは、この種目では初めてとなるメダル獲得を狙っています。

◇宮脇花綸(みやわき・かりん)選手

宮脇花綸選手は東京都出身の27歳。初めてのオリンピック代表です。身長1メートル61センチと小柄ですが、高いディフェンス力や思い切りの良いアタックが持ち味です。
5歳で競技を始め、17歳で出場した2014年のユースオリンピックでは個人戦で銀メダルを獲得し、シニアの国際大会でも表彰台に上がるなど東京オリンピック世代として期待されました。
しかし、目標としていた東京大会出場は叶わず、モチベーションをなくした時期もあったといいますが、パリオリンピック出場を目指して再びトレーニングに励み、おととしのワールドカップでは3位に入るなど実績を残してきました。
また去年の世界選手権で銅メダルを獲得した団体のメンバーで、団体での貢献も期待されています。

◇菊池小巻(きくち・こまき)選手

女子フルーレで団体のリザーブに選ばれた菊池小巻選手は熊本県出身の27歳。どっしりとした構えから思い切りよく突くアタックが持ち味です。
4歳で競技を始め、フェンシング選手だった父の指導を受けて実力を伸ばし、大学生のときに出場した2017年の世界ジュニア選手権を制するとよくとしのアジア選手権でも優勝を果たしました。全日本選手権ではこれまで2回、優勝しています。
去年の世界選手権で団体メンバーとして銅メダル獲得に貢献したことなどが評価され、リザーブに入りました。

【女子エペ】

◇吉村美穂(よしむら・みほ)選手

女子エペの吉村美穂選手は京都府出身の26歳。初めてのオリンピック代表です。小学生で競技を始め、身長1メートル57センチと小柄ですが、3歳から器械体操で培った柔軟性を生かした伸びのある突きが持ち味です。
高校にはフェンシング部がなくクラブチームに所属し、練習は週末だけだったため、自宅のガレージに練習用のマネキンを用意するなど工夫を凝らしながら技術を磨きました。
また大学ではオリンピック銀メダリストの太田雄貴さんらを輩出した同志社大に所属しました。
目標としていた東京オリンピック出場はなりませんでしたが、その後の国際大会で安定した結果を残すようになり、個人の世界ランキングで日本勢の最上位につけて個人でパリオリンピックの出場権を獲得しました。

【女子サーブル】

◇江村美咲(えむら・みさき)選手

女子サーブルの江村美咲選手は大分県出身の25歳。フェンシングの日本選手として初めて世界選手権を2連覇した日本のエースです。
身長1メートル70センチと大柄な外国人選手にも見劣りしない体格で、フットワークを生かしたロングアタックや相手の裏を突く高い技術に加え、駆け引きを楽しむ精神的な強さを兼ね備えています。
父親の宏二さんはソウルオリンピックに出場した元選手で、江村選手も10代のころから国際大会で経験を積み、全日本選手権ではこれまで3回優勝しています。
また大学卒業後はフェンシング界で初のプロ選手として活動し「前例のない新しい道を切り開きたい。自分の可能性を信じて頑張っていきたい」と抱負を語っています。
初出場の東京オリンピックでは個人戦は3回戦敗退でしたが、日本代表のコーチに就任したフランス人のジェローム・グースコーチの指導のもと、急速に力を伸ばして国際大会でも安定した成績を残すようになり、世界ランキング1位にも立ちました。
去年7月の世界選手権では2連覇を果たしたほか、ことし3月のワールドカップでは準優勝するなどパリオリンピックでのメダル獲得に照準を合わせています。また団体でもエースとしてチームをけん引し、去年のアジア選手権で3位に入るなど、初めての自力でのオリンピック出場権獲得に大きく貢献しました。

◇高嶋理紗(たかしま・りさ)選手

高嶋理紗選手は福岡県出身の25歳。初めてのオリンピック代表です。
小学生のときに参加した福岡県のタレント発掘事業をきっかけに競技を始め、中学で上京すると日本オリンピック委員会のJOCエリートアカデミーで学び国際舞台も経験するなど国内のトップ選手に成長しました。
持ち味はスピードを生かした攻撃で、東京オリンピック後の2021年の全日本選手権では同学年の江村美咲選手を破るなどして初優勝し、去年は2回目の優勝を果たしました。
国際大会でもおととしのグランプリ大会の個人戦で準優勝を果たすなど実績を積み、団体メンバーの主力として期待されています。

◇福島史帆実(ふくしま・しほみ)選手

女子サーブルの福島史帆実選手は福岡県出身の28歳。東京オリンピックではリザーブに選ばれて団体に出場し、2大会連続のオリンピック代表です。
もともとは陸上競技の選手でしたが、福岡県が行っていたタレント発掘事業でフェンシングへの適正を評価され、高校1年生で競技を始めました。
持ち味は陸上競技で培ったスピードを生かした攻撃で、2019年のアジア選手権では3位に入ったほか、全日本選手権では2回優勝しています。
東京大会後は団体の主力として活躍し、初めての自力でのオリンピック出場権獲得に貢献しました。

◇尾崎世梨(おざき・せり)選手

女子サーブルで団体のリザーブに選ばれた尾崎世梨選手は北海道出身の21歳。中学生で競技を始め、高校では鹿児島県の強豪校で下宿生活をしながら技術を磨きました。大学は強豪の法政大に進み、急成長を遂げています。
身長1メートル67センチで、リーチの長さを生かした積極的な攻撃が持ち味で、おととしの世界選手権の団体ではチーム最年少の19歳で出場し、この種目初めてとなる銅メダル獲得に貢献したほか、その年の全日本選手権でも準優勝しました。
その後も団体メンバーとしてパリオリンピックの自力での出場権獲得に貢献し、若手のホープとしてチームに勢いをつける役割が期待されています。