【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月14日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる5月14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米国務長官がウクライナ訪問 ゼレンスキー大統領と会談

ブリンケン国務長官は14日、ウクライナの首都キーウに到着し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

会談の冒頭、ゼレンスキー大統領は、アメリカが軍事支援を4月に再開させたことについて、極めて重要だと謝意を示したうえで、防空システムがさらに必要だと伝えました。

これに対しブリンケン長官は、「軍事支援はすでに届いたものもあり、さらに多くの支援が届く」としたうえで、「戦場で続くロシア軍の攻勢に対し、これで状況は大きく変わる」と述べ、再開した支援で戦況を変えることができると強調しました。

ロシア大統領府「ウクライナや米は神経質になっている」

アメリカのブリンケン国務長官のウクライナ訪問について、ロシア大統領府のペスコフ報道官は記者団に「現時点でコメントすることはない。ブリンケン氏がキーウに到着したことは知っている。あわせて、ウクライナでの特別軍事作戦について、ウクライナだけでなく、ヨーロッパ各国やアメリカが神経質になっていることも承知している」と述べました。

米有力紙 “ウクライナ軍のミサイル迎撃の割合 大きく低下”

アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は13日、ウクライナ軍がロシアによるミサイル攻撃を迎撃する割合が大きく低下してきていると指摘しました。

ウクライナ空軍が毎日発表している情報をもとに分析したということで、具体的には、過去6か月間でウクライナが迎撃した割合は46%だったのに対し、その前の6か月間は73%で、27ポイント下がっているとしています。

そして、4月の迎撃率は30%だったということで、迎撃用のミサイルなどアメリカの軍事支援が滞っていたことが背景にあるとしています。

アメリカの支援が再開したことで、今後こうした状況が改善されるかも焦点となります。

プーチン大統領 中国を公式訪問へ 中国とロシアが発表

中国外務省とロシア大統領府は14日、ロシアのプーチン大統領が16日と17日の2日間、中国を公式訪問すると発表しました。

プーチン大統領は北京で習主席と会談するほか、「東方のモスクワ」とも呼ばれる東北部の中心都市、黒竜江省ハルビンを訪れるということです。

中国外務省の報道官は14日の記者会見で「両首脳は両国の国交樹立から75年となるのを踏まえ、各分野の協力などについて意見を交わす」と述べました。

また、ロシア大統領府も「ロシアと中国の実質的な協力のさらなる発展に向けた重要な分野を定め、最も差し迫った国際社会や地域の課題について意見を交わす」と発表しました。

プーチン大統領にとっては、5月7日に通算で5期目の任期に入ってから、初めてとなる外国訪問で、中国との結束を強化し、ウクライナ情勢などをめぐり対立が深まる欧米側に対抗する姿勢を改めて示すねらいとみられます。

中国としても、ロシアとの関係強化を誇示することで、アメリカをけん制するねらいがあるとみられます。

ウクライナ情勢をめぐっては、中国はロシアとウクライナの仲介役を担う考えを示していますが、アメリカは中国がロシアの軍需産業を支援しているなどと懸念を示していて、首脳会談でどのような意見が交わされるか注目されます。

米 ロシアからの低濃縮ウランを輸入禁止 法律が成立

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの圧力を強めるため、アメリカのバイデン大統領は、原子力発電所の燃料となる低濃縮のウランについて、ロシアからの輸入を禁止する法案に署名し、法律が成立しました。

これはアメリカ ホワイトハウスが13日に発表したもので、ロシアからの輸入を禁止するのは原子力発電所の燃料となる低濃縮ウランで、輸入禁止の措置は90日後に開始するとしています。

ただ、エネルギー長官が、アメリカ国内の原子炉の運転を維持するために利用可能な低濃縮ウランが不足すると判断した場合などは、禁輸措置の開始を2027年いっぱいまでは猶予できるとしています。

アメリカは、ロシアによるウクライナ侵攻開始後の2022年、ロシア産の原油や天然ガスの輸入禁止を発表しました。

しかし、有力紙ワシントン・ポストによりますと、低濃縮のウランについては、およそ20%をロシアからの輸入に依存し、国内の原子力発電所の稼働に影響する懸念があったことなどから、禁輸措置が遅れていました。

アメリカはこれまで、ロシア国営の原子力企業「ロスアトム」に年間およそ10億ドル、日本円にして1560億円を支払っていたということです。

ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は声明を発表し、「原子力発電でのロシアへの依存を減らし、最終的にはなくすことで、エネルギー安全保障を強化する」と意義を強調しました。

ロシア 新国防相ベロウソフ氏 兵士の待遇改善に努める考え

ロシアのプーチン大統領は12日、国防相を務めてきたショイグ氏を交代させ、経済政策を担当してきたベロウソフ第1副首相を後任にあてる人事を議会上院に提示しました。

ベロウソフ氏は13日、承認手続きの一環として議会の公聴会に出席し、発言しました。

このなかでベロウソフ氏は「休暇で戻ってきた特別軍事作戦の参加者が、ただでさえ混雑している病院に追いやられるのは、困ったことだ。問題を解決する必要がある」と述べるなど、ウクライナでの軍事作戦に参加するロシア兵の待遇改善に努める考えを示しました。

経済の専門家で軍の経験がないベロウソフ氏としては、兵士の士気低下や不安を抑えるねらいもあるものとみられます。