【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4月23日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる23日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 “ロシア軍がハルキウのテレビ塔 破壊”

ウクライナのゼレンスキー大統領は22日、第2の都市ハルキウにあるテレビ塔がロシア軍の攻撃を受けて破壊されたと発表しました。

ロイター通信によりますと、ミサイル攻撃を受けたテレビ塔は高さが240メートルあり、現地からの映像では折れたテレビ塔の上部が地上に落下しています。

ハルキウでは、ロシア軍のミサイルや無人機による民間の施設やインフラ施設などへの攻撃が相次いでいます。

米シンクタンク「将来的な攻撃作戦前に住民追い出す」

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「ロシア軍は将来的な攻撃作戦を前に、ハルキウを破壊し、住民を追い出すために、組織的に空からの攻撃と情報工作を行っている」と指摘しました。

そして、ウクライナ政府の複数の高官が、ロシア軍がこの夏の終わりにハルキウに地上作戦を仕掛けてくる可能性に言及してきたことに触れたうえで「ウクライナがアメリカからの新たな軍事支援を迅速に受けられた場合は、ロシア軍のハルキウへの地上作戦が成功する可能性は非常に低い」としています。

NATO加盟のスウェーデン ロシア軍上陸想定の訓練公開

NATO=北大西洋条約機構に先月加盟した北欧スウェーデンのゴットランド島で、ロシア軍の上陸を想定した軍事訓練が公開されました。

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、島はNATOの軍事的要衝として重視され、スウェーデン軍が防衛態勢を強化しています。

北欧スウェーデンのゴットランド島は人口6万余りで、バルト海中央に位置する地理的な特性から古くから軍事的要衝として重視され、19世紀には当時の帝政ロシアに占領されたこともあります。

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、警戒を強める対岸のバルト三国を守るためのNATOの拠点としても重要性が高まっています。

島では今月、スウェーデン陸軍の駐屯部隊およそ200人による訓練がNATO加盟後で初めて行われていて、その様子が22日、公開されました。

訓練はロシア軍が上陸したという想定で、ウクライナにも供与している主力戦車が走りながら砲撃したり、兵士たちが機関銃で標的に向けて実弾を撃ったりするなど、緊張感が漂っていました。

訓練を指揮するゴットランド連隊のアンドレアス・ルンデ大隊長は「島への脅威は、われわれが現在知らない形をとるかもしれない。兵士たちは祖国と同盟にとって欠かせない存在となっていることを理解し、訓練に真剣に取り組んでいる」と話していました。

島では23日、NATOとスウェーデン軍の幹部が今後の連携などについて話し合い、ロシア軍を念頭にした即応態勢を強化することにしています。

バイデン大統領 ゼレンスキー大統領と電話会談

アメリカでは、議会での与野党の対立からウクライナへの追加の軍事支援のための緊急予算案が承認されない状態が続いてきましたが、上下両院のうち下院が20日、予算案を賛成多数で可決し、支援の再開に向けて大きく前進しました。

こうした中、アメリカのバイデン大統領は22日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談しました。

アメリカ・ホワイトハウスによりますと、この中でバイデン大統領は、ウクライナ支援への揺るぎない決意を示した上で、議会下院に続いて上院が緊急予算案を可決ししだい、自身が署名し、ウクライナ側が戦場や防空能力の強化のために必要としている重要な支援を速やかに行うと伝えたということです。

また、ゼレンスキー大統領は会談後、SNSに「バイデン大統領から支援が迅速かつ強力で、ウクライナの防空能力や大砲などの能力を高めるものだという確約を得た」と投稿しました。

アメリカメディアは、議会上院で今週中にも緊急予算案の採決が行われるという見通しを伝えていて、ウクライナの最大の軍事支援国となってきたアメリカの動向に注目が集まっています。

ウクライナ軍「ロシア黒海艦隊の潜水艦救難艦を攻撃」

ウクライナ軍は、ロシアが一方的に併合した南部クリミアの軍港都市セバストポリでロシア黒海艦隊の潜水艦救難艦を攻撃し、損害を与えたと明らかにしました。

ウクライナ海軍の報道官が地元メディアに明らかにしたところによりますと、南部クリミアの軍港都市セバストポリで21日、ロシア黒海艦隊の潜水艦救難艦「コムーナ」を攻撃し、火災が発生したということです。

具体的な被害は確認中だということですが、通常の航行ができない状況だとみられるとしています。

セバストポリの市長は21日、SNSで、艦艇に対するミサイル攻撃があったものの撃墜されたとした上で、落下した破片で小規模な火災が起きたがすぐに消し止められたと主張しました。

ウクライナメディアによりますと、攻撃を受けたとされる潜水艦救難艦「コムーナ」は、ロシア帝国時代の1913年に進水し、現在、ロシア海軍が運用する艦艇の中で最も古いということです。

一方、ロシア軍は、21日に続いて22日にも、ウクライナ東部ドネツク州のバフムトの西側にある拠点チャシウヤル近くの集落を相次いで掌握したと発表し、チャシウヤルに向けた攻勢を強めているとみられます。

ウクライナ国家警備隊の幹部は、21日の地元メディアとのインタビューで「ロシア軍はチャシウヤル方面に非常にうまく前進している」と述べ、厳しい状況にあるという認識を示しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ウクライナ軍がアメリカからの支援を待つ間、ロシア軍はミサイルや無人機による攻撃を強化するとみられ、ウクライナ軍が今後数週間でさらなる後退を強いられる可能性があると分析しています。