競泳 入江陵介が現役引退を表明 ロンドン五輪で銀メダル

ロンドンオリンピックの競泳・男子200メートル背泳ぎで銀メダルを獲得し、長年、日本の競泳陣を引っ張ってきた34歳の入江陵介選手が現役を引退することを表明しました。入江選手は、5大会連続のオリンピック出場を目指していましたが、3月に行われたパリオリンピックの代表選考の大会で内定を逃していました。

パリ五輪 選考大会(3月)

34歳の入江選手は、ロンドンオリンピックで200メートル背泳ぎでの銀メダルを含む3つのメダルを獲得するなど、美しいフォームを持ち味に日本の背泳ぎを引っ張ってきたトップスイマーで、3月、パリ大会の代表選考の大会に臨みましたが惜しくも届かず、5大会連続のオリンピック出場を逃していました。

入江選手は3日、都内で会見を開いて現役を引退することを表明し「やりすぎたくらい、よくやったなと、自分に言ってあげたい。高校2年生から18年間、日本代表として戦うことができて本当に幸せだった。パリオリンピック出場という夢はかなえられなかったが、ここまでチャレンジをすることができ、最後の引退レースを東京の地で、たくさんの人の目の前で泳ぎ切れたことは幸せな瞬間だった」と話しました。

そして「すっきりした気持ちと、どこか悔しい気持ちと、いろいろな感情が混ざっている。水泳がこれからないことが、うれしいけれどさみしい気持ちもある」と、ことばを詰まらせる場面もありました。

また、届かなかったオリンピックでの金メダルへの思いについては「北京大会やロンドン大会で、金メダルを取りたかった気持ちはあるが、もしそこで取っていたらこの年まで続けることなく、もっと早く引退していたと思う。その間にたくさんの出会いがあったので、それは続けてきたからこそ得られたものだと思う」と話していました。

最も印象に残るレースについては、北島康介さんなどとともに銀メダルを獲得した、ロンドンオリンピックの男子400メートルメドレーリレーをあげ「4人でつないだ気持ちがこの種目で初の銀メダルにつながり、喜びもあったが、観客席を見た時に、日本チームみんなが飛び跳ねて泣いて喜んでくれたシーンを今でも鮮明に覚えている」と振り返りました。

今後はトップ選手のサポートや、子どもたちの水泳指導、それに大学院への進学などを考えているということで「幅広く活動して、水泳の楽しさや水に触れ合う楽しさ、スポーツのすばらしさを伝えていきたい」と次の目標を語りました。

北島康介さんもかけつける 入江選手は涙

入江陵介選手の引退会見には、ロンドンオリンピックの男子400メートルメドレーリレーでともに出場して銀メダルを獲得した、北島康介さんがサプライズでかけつけ、入江選手は尊敬する先輩の登場に、驚いた様子で涙を見せました。

北島康介さんがサプライズで登場

入江選手は、初めて出場した北京オリンピックで北島さんとチームメートとなり「すでにアテネオリンピックで金メダルを獲得していて本当に雲の上の存在だった。その中で、自分自身もいつか金メダルを取りたいという気持ちにさせてもらったのは、北島さんが近くにいたからだ」と大きな刺激を受けたと振り返りました。

さらに、入江選手にとって大きかったのは、北島さんの日本代表を引っ張る強い姿勢を目の当たりにしてきたことだということで、入江選手もその精神を引き継いで、東京オリンピックでの競泳日本代表のキャプテンなどを務めてきました。

入江選手は「北島さんがチームを引っ張ってきた姿を見て、自分もリーダーやキャプテンをやりたいという気持ちになった。競泳は個人競技だが、チームの色を出すことで全体でいい結果が出る競技だと思う。後輩たちに伝えられたかはわからないが、少しでも感じてもらえたものがあればうれしい」と語りました。

一方の北島さんも、入江選手の練習に取り組む姿勢を尊敬していたということで「寡黙にきつい練習をやり続けるのを見て、自分もそうならなきゃなと思っていた。それを後輩たちにも見続けさせてきて、日本代表をけん引してくれたので心強かった」とたたえていました。

◇入江陵介選手 これまでの歩み

入江陵介選手は、大阪府出身の34歳。長年、日本の背泳ぎをリードしてきたトップスイマーで、体の軸がぶれない美しいフォームと高い技術が持ち味です。

▽高速水着時代の2009年に打ち立てた、100メートルと200メートルの背泳ぎの2つの種目の日本記録は10年以上たった今も破られていません。

▽オリンピック初出場となった2008年の北京大会では、200メートル背泳ぎで5位に入ると

▽続くロンドン大会では、200メートル背泳ぎでの銀メダルなど、リレー種目を含む3つのメダルを獲得しました。

▽リオデジャネイロ大会はメダルを逃しました。

▽招致活動にも関わった2021年の東京大会では、競泳日本代表のキャプテンとして、豊富な経験を後輩たちに伝えるなど、泳ぎ以外でもチームを支えました。

▽2022年には、パリ大会に向けて現役続行を表明し、筋力アップやスピードを強化する練習などを積んで5大会連続のオリンピック出場を目指してきました。

▽ことし3月、パリ大会の代表選考の大会に臨みましたが
▼100メートル背泳ぎでは2位
▼200メートル背泳ぎでは3位となって、オリンピックの切符を逃し「やり残したことはない」と、レース後に語っていました。

ロンドン五輪(2012年)