【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 女性兵士などの貢献たたえるメッセージ

ロシアのプーチン大統領は8日、「国際女性デー」にあわせて、ウクライナへの軍事侵攻で戦闘の任務に就いている女性の兵士や男性兵士の妻たちの貢献をたたえるメッセージを出し、来週の大統領選挙を前に、軍事侵攻に関わる女性やその家族に寄り添う姿勢を強調するねらいがあるとみられます。

ロシアでは、3月8日の「国際女性デー」はソビエト時代から祝日とされていて、8日、プーチン大統領がこの日にあわせて動画でメッセージを出し、女性の社会進出や支援に力を尽くす考えを示しました。

そのうえで「中でも特別軍事作戦の現場で戦闘の任務に就いている女性や、家族と離れて英雄を待ち心配している女性に呼びかけたい」と述べ、戦地に派遣されている女性の兵士や、男性の兵士の妻や母に寄り添う姿勢を強調しました。

また、ロシア大統領府はこの日、プーチン大統領が女性の受刑者52人に恩赦を与えたと発表し、対象者の中には、ウクライナへの侵攻作戦に参加している親族を持つ受刑者もいるとしています。

プーチン大統領は、前日の7日にも視察に訪れた南部クラスノダール地方でロシア空軍の女性のパイロットたちと面会し、軍事侵攻での女性たちの貢献を称賛しました。

大統領選挙を前に女性に寄り添う姿勢強調するねらいか

ロシアでは、ウクライナ侵攻に動員されたロシア兵の妻たちが早期の帰還を訴える活動を続けており、プーチン政権には、来週の大統領選挙を前に軍事侵攻に関わる女性に寄り添う姿勢を強調するねらいがあるとみられます。

イギリス政府 “ウクライナに1万機以上の無人機供与”

イギリス政府は7日、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの軍事支援として、1万機以上の無人機を供与すると発表しました。

これはウクライナを訪れたイギリスのシャップス国防相が、首都キーウでゼレンスキー大統領と会談した際に明らかにしたものです。

供与される無人機は自分が操縦しているような感覚で、上空からの映像をリアルタイムで確認できるFPVと呼ばれる性能を備えたタイプや、偵察用の無人機などで、拠出額は合わせて3億2500万ポンド、日本円で600億円規模になるということです。

シャップス国防相は声明で、「世界をリードするイギリスの防衛産業から最新鋭の無人機を提供し、ウクライナへの支援を強化する。ウクライナの勇敢な国民や軍に対するイギリスの揺るぎない関与を示すことができ、うれしく思う」などと強調しています。

FPVの無人機はウクライナ軍がすでに戦地に投入し、攻撃を進めるうえで重要な兵器となっていて、イギリス政府は操縦者が動きを細かく制御でき、ロシアの防空網をう回して標的を攻撃できるとしています。

解任のウクライナ軍の前総司令官 駐イギリス大使に任命へ

ウクライナの外務省は7日、ゼレンスキー大統領が軍の前総司令官であるザルジニー氏を駐イギリス大使に任命することを決め、イギリス側に承認を求めたことを明らかにしました。

ゼレンスキー大統領はビデオ演説の中で、「イギリスとの同盟関係がさらに強化されることになる」としたうえで、7日にウクライナを訪れたイギリスの国防相と会談し、防空システムや長距離兵器などの供給や共同生産について協議したことも明らかにしました。

ロシアによる侵攻の当初からウクライナ軍を率い、国民の間で人気が高かったザルジニー氏をめぐっては、先月、軍の総司令官を解任された際、ゼレンスキー大統領との不和も伝えられ、政権の求心力の低下を懸念する声も上がっていました。

ゼレンスキー大統領としては、ザルジニー氏を駐イギリス大使として処遇するとともに、ザルジニー氏の軍での経験や手腕をいかして、イギリスから軍事支援を引き出すねらいもあるものと見られます。

ロシア アメリカの駐モスクワ大使に警告 ナワリヌイ氏の葬儀参列

ロシア外務省は7日、モスクワに駐在するアメリカのトレーシー大使を呼び出し、ロシア内政に干渉しないよう警告したと発表しました。

トレーシー大使は今月1日、ロシアの反政権派の指導者、ナワリヌイ氏の葬儀に参列していました。

ロシア外務省はウクライナへの軍事侵攻や来週行われるロシア大統領選挙に関して、「偽情報の拡散など内政干渉の試みがあれば、国外追放を含めて断固対応する」としていて、締めつけを強めています。

ウクライナが去年奪還のザポリージャ州 ロシア軍が一部支配か

ロシア国営のタス通信は7日、去年8月にウクライナ軍が反転攻勢によって奪還したと発表した南部ザポリージャ州のロボティネについて、ロシア軍が攻撃を強め、南側の一部を支配下に置いた、などと伝えました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も6日、ロシア軍がロボティネの東側に部隊を前進させたなどと指摘していて、ロシア側が再び支配地域の拡大を図り、双方の攻防が激しさを増していると見られます。

各地にロシアのミサイル攻撃 ハルキウ州で女性死亡

ウクライナ軍などによりますと、7日、ウクライナ各地にロシアによるミサイル攻撃があり、このうち
▽東部ハルキウ州では住宅に直撃して住民の女性が死亡したほか、
▽北東部スムイ州では病院や学校などが被害を受けてけが人が出ています。

バイデン大統領「安全保障はかつてなく強固に」

アメリカのバイデン大統領は声明を発表し、「スウェーデンがNATOに加盟したことで、大西洋をまたいだ安全保障はかつてなく強固になった」と歓迎しました。

そして、「プーチン大統領はウクライナに残忍な侵略を始めた時、ヨーロッパを弱体化させNATOを分断できると考えた。しかし、NATOはこれまで以上に結束し、決意を固め活動的になっている。自由と民主主義のために何世代にもわたって存続し続ける」と強調しました。

フィンランド首相「スウェーデンは最も緊密なパートナー」

去年4月にNATOに加盟したフィンランドのオルポ首相はSNSに動画を投稿し、「スウェーデンを新たな同盟国としてNATOに歓迎できることをうれしく思う。フィンランドにとってスウェーデンは安全保障と防衛政策における最も緊密なパートナーだ。両国のNATO加盟によって、バルト海や北欧、NATO全体の安全保障が強化されるだろう」と述べました。

スウェーデン NATOに正式加盟

北欧スウェーデンのクリステション首相は7日、ワシントンを訪れて、NATO=北大西洋条約機構への加盟に関わる文書をアメリカのブリンケン国務長官に手渡しました。

これによって、スウェーデンの加盟手続きはすべて完了し、スウェーデンは正式にNATOの32番目の加盟国となりました。