36歳で2度目の被災 熊本地震のつながりで古民家の民宿再建へ

「本当に信じられないですね」

36歳で2度の大きな地震に遭った男性は、そう繰り返しました。

そのことばには正反対の2つの意味がありました。

築200年の古民家 改修した矢先に

石川県七尾市矢田町出身の森賢太さん(36)は8年前、熊本に住んでいた際に熊本地震に遭い、能登半島地震で2度目の被災を経験しました。

当時、熊本市内で農業や米を販売する店を経営していましたが、地震で店の建物などが倒壊する被害を受けました。

その後地元に戻ることを決め、農業をしながら、祖父母が住んでいた築およそ200年のかやぶき屋根の古民家を3年かけて改修。

去年5月に民宿として営業を開始し、自分で育てた米などを使った料理を提供していました。

「もともとこの家は公民館代わりに使われていたり、冠婚葬祭を家でやっていたりと、いろんな方が出入りする場所だったようで、この家を直していると近くのおじいちゃんやおばあちゃんが見に来てくれて『わあ懐かしい』って涙を流すおばあちゃんもいらっしゃって」

ところが、ことし1月の能登半島地震で被災し、民宿の壁が崩れたり、建物が傾いたりする被害を受けました。

「まさか2度遭うとはっていう、本当に信じられないですね。本当にまさか、まさかでしたね。これは取り壊すしかないんじゃないかと思うほど傷んでしまって。どうなるんだろうこの先、と途方に暮れた感じでした」

熊本地震の“つながり” また支援が“つながり”

2度の被災を経験して一度は再起を諦めかけましたが、熊本地震のあと一緒に活動したボランティア団体の人たちなどとのつながりが助けになったといいます。

「熊本地震の時のつながりで本当にたくさんの方が応援してくれたり、駆けつけてくれたり、物資持ってきてくれたり、家を直すアドバイスを教えてくれたり。本当に応援していただいたんで、なんとかまたできるかもしれないって。

ちょっと奇跡的すぎて信じられないというか、大丈夫かなっていう家が日に日に直っていくんですよ、一歩一歩ですけど。それを見てると、技術を持った人も来てくれたり、人手も来てくれたり。クラウドファンディングでお金をいれてくれる人もいるし、本当にありがたいなと思いますね」

地震から2か月となる今は民宿の修繕を続けながら、ボランティアの人たちの拠点としても活用してもらい、地域で一緒に復興を目指していこうとしています。

ことし5月の大型連休までには民宿の営業を再開したいと考えています。

「やっぱりまた地域に愛される場所になってくれたらいいなと思いますし、いろんな方の思い出の場所になるような家になってくれたら良いなと思います」