【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月19日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

EU外相会議 ナワリヌイ氏の妻が参加 制裁について話し合われるか

ロシアでプーチン政権を批判する急先鋒として知られ、刑務所で死亡したナワリヌイ氏の妻、ユリアさんは19日、ベルギーで行われているEU=ヨーロッパ連合の外相会議に参加しました。

会議に先立って、EUの外相にあたるボレル上級代表は記者団に対し、「ロシア国内の反体制派をどう支援するかについて政治的メッセージを送る」と述べました。

さらにボレル上級代表は、「加盟国はナワリヌイ氏の死に責任がある者への制裁を提案するだろう。最大の責任者はプーチン大統領自身だ」と非難し、外相会議では、制裁についても話し合われるという見通しを示しました。

ゼレンスキー大統領 アウディーイウカ撤退「非常に困難な1週間」

ロシア軍がウクライナ東部の拠点、アウディーイウカを掌握したと明らかにしたことを受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、ビデオメッセージを発表し、「非常に困難な1週間だった。皆が、アウディーイウカや兵士たち、それに国の行方を案じた」と述べ、ウクライナにとって厳しい状況だったとの認識を示しました。

そのうえで、16日からドイツのミュンヘンで開かれた安全保障の国際会議に参加し、ウクライナの立場が支持されたことや、ドイツやフランスと長期的な安全を確保するための新たな協定を締結したことなどを成果としてあげ、「この戦争でわれわれの目標を達成しなければならない」と述べて、引き続き戦い続ける決意を示しました。

アウディーイウカについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、18日、ロシア国営のタス通信にロシア軍はウクライナ側に新たな陣地の構築を許さず、攻撃を続けていると述べました。ドネツク州全域の掌握を狙って攻勢を強めているとみられます。

一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は18日、ウクライナ軍はアウディーイウカからそれほど遠くない場所に、防衛のための陣地を築くことができる可能性が高いが、ロシア軍の激しい攻撃を受けることになるとの見方を示しています。

日・ウクライナ経済復興推進会議 50余りの協力文書交わす

ロシアによるウクライナへの侵攻開始から2年となるのを前に、東京でウクライナの復興に向けた会議が開かれ、官民一体となってインフラ整備などを支援するため50余りの協力文書が交わされました。

「日・ウクライナ経済復興推進会議」は19日、東京の経団連会館で開かれ、政府関係者に加え、両国の企業およそ130社が参加しました。

岸田総理大臣は、「ウクライナでは今この瞬間も戦争が続いている。状況は容易ではないが、経済復興を進めることは『未来への投資』であり、官民一体となって強力に支援する」と述べました。

続いて、シュミハリ首相が「両国間の関係を発展させる次のステップになる。お互いの力をあわせて取り組むことで、現在の挑戦を成長と繁栄の機会に変えることができる」と述べました。

そして、岸田総理大臣にウクライナを再度訪問するよう要請しました。

このあと会議では、日本が
▼地雷の除去や、がれき処理、
▼農業の生産性向上、
▼電力・交通インフラの整備など
7つの分野で支援策を打ち出しました。

また、両国の間で企業が二重に課税されないよう租税条約に署名するなど、56の協力文書が交わされ、投資協定の見直しに向けて交渉を開始することなどでも合意しました。

さらに上川外務大臣は、日本企業の進出を後押しするためウクライナ全土に出している「退避勧告」は維持したまま、復興支援に携わる企業・団体関係者が首都キーウに渡航する場合に限り渡航制限を緩和したことを明らかにしました。

欧米各国の間でウクライナへの「支援疲れ」も指摘される中、日本としては、官民を挙げて復旧・復興を後押しする姿勢を打ち出し、国際的な機運を高めたい考えです。

ウクライナ首相 日本との経済連携強化に意欲 復興推進会議

ウクライナのシュミハリ首相は、東京で開かれている「日・ウクライナ経済復興推進会議」で基調講演を行い、「両国間の関係を発展させる次のステップになる。力を合わせて取り組むことで、成長と繁栄の機会に変えることができる」と呼びかけて日本と経済分野での連携を強めることに意欲を示しました。

この中でシュミハリ首相は、「日本の復興の経験と経済発展の奇跡はわれわれにインスピレーションを与えるものだ。日本の経済政策から学びたい」と強調しました。

そのうえで、「ウクライナの経済復興の原動力は民間セクターだ」と訴え、エネルギーや農業の分野で日本の技術や投資に期待を示すとともに、ロシアの侵攻で被害を受けた道路や鉄道、橋などのインフラ整備に参加するよう求めたほか、日本の自動車メーカーに対してウクライナに製造拠点を設けるよう呼びかけました。

さらに、復興には巨額の資金が必要だとして、各国が凍結したロシアの資産を復興の財源にあてるよう訴えました。

また、シュミハリ首相は去年3月の岸田総理大臣のウクライナ訪問について触れ、勇気とリーダーシップのあらわれだとして謝意を示した上で、「ウクライナを再度訪問するよう招待したい」と述べました。

シュミハリ首相は最後に「ロシアの残虐行為や国際法違反に対して、世界がどう反応するかに注目が集まっている。きょうのウクライナはあすの東アジアかもしれない。ウクライナは暗い時代を生きているが、希望の光も見えている。希望は人がつくるものだ。日本の力、リーダーシップ、優しさを、ウクライナ人は決して忘れない」と強調しました。

林官房長官 ナワリヌイ氏死亡「重大な関心を持って状況を注視」

ロシアのプーチン政権への批判を続けた反体制派の指導者ナワリヌイ氏は、2月16日に収監されていた刑務所で死亡し、欧米各国からは、プーチン政権に責任があるなどと、批判の声が高まっています。

林官房長官は午前の記者会見で、「2月17日のG7外相会合の後に議長国イタリアから発出された議長声明でも、ロシア側に対し、ナワリヌイ氏の死因を完全に明らかにするよう要求するとともに、市民的権利の不当な制限をやめるよう求めた。政府として引き続き重大な関心を持って状況を注視していく」と述べました。

その上で、ロシアに対し、制裁を含めた追加の対抗措置をとる考えがあるか問われ「今後の状況を踏まえつつ、ロシアのウクライナへの侵略をやめさせるために何が効果的かという観点から、引き続きG7をはじめとする国際社会と連携して対応する」と述べました。

ウクライナ アウディーイウカでの戦果強調

ウクライナ軍は17日、ロシア軍との間で激しい戦闘が続いてきた東部ドネツク州の拠点、アウディーイウカから部隊を撤退させると発表し、ロシア国防省も、完全に掌握したと明らかにしました。

これについて、ウクライナ軍でドネツク州周辺の部隊の指揮を執るタルナウスキー司令官は18日、SNSに投稿し、去年10月以降のアウディーイウカでの攻防で、ロシア側の兵力に5万人近くの損失を与え、戦車364両、戦闘機5機を破壊したとして一定の戦果を強調しました。

ニューヨーク・タイムズ「ウクライナ軍 最も不安定な状況に」

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは17日「アウディーイウカの陥落によって、ロシア軍はほかの方面に圧力をかける際に部隊や装備をより効率的に移動させることができる」と指摘しました。

そのうえで、ロシア軍がウクライナの東部や南部の複数の地点で重点的に攻勢を強めているとして、「ウクライナ軍の地上部隊は戦力が不足していて、おそらく開戦以来、最も不安定な状況にある」と伝えています。

ウクライナ東部では、ロシア側による攻勢の激化も伝えられていて、アメリカなどからの軍事支援が滞る中、ウクライナ軍が防衛をどう維持していくかが焦点となっています。