卓球 全日本選手権 張本智和と早田ひなが優勝 男女シングルス

卓球・日本一を決める全日本選手権は28日、男女シングルスの決勝が行われ、男子は張本智和選手が6年ぶり2回目、女子は早田ひな選手が2大会連続3回目の優勝を果たしました。

男子シングルス 張本智和選手が6年ぶり2回目の優勝

東京 渋谷区の東京体育館で行われた卓球の全日本選手権は28日、最終日を迎え、男女のシングルスの決勝が行われました。

このうち男子の決勝は、ともにパリオリンピックの男子シングルスの代表内定を確実にしている張本選手と戸上隼輔選手との去年と同じ顔合わせとなりました。

張本選手は、戸上選手の多彩なサーブと力強いショットに苦しみ、ゲームカウント1対3と追い込まれました。

それでも第5ゲームで得意の強烈なバックハンドを決めて11対9で取ると、第6ゲームでは、戸上選手に何度もマッチポイントを取られながらも勝負どころのラリーを制して14対12で取り、ゲームカウント3対3と追いつきました。

迎えた最終第7ゲームは、互いに一歩も引かない攻防でデュースがつづく激戦となりますが、張本選手が16対14で取り、ゲームカウント4対3で史上最年少の14歳でこの大会を制した2018年以来、6年ぶり2回目の優勝を果たしました。

優勝した瞬間、張本選手はぼうせんとした表情でゆっくりとしゃがみ込んだあと、戸上選手と抱き合い、健闘をたたえ合いました。

張本智和「もうことばが出ない」

6年ぶり2回目の優勝を果たした張本智和選手は「もうことばが出ない。初優勝なんじゃないかというくらい全日本の優勝のしかたを忘れていた。初優勝当時の100倍優勝した実感がある。足がつっていたが、最後の2点はそれがピタッと止まり、神様に勝てと言われているのかなと思った」と大接戦となった決勝を振り返りました。

そのうえで、対戦相手の戸上隼輔選手について「戸上選手は完璧で何をやってもダメでしんどかった。僕と彼は本当に同等でライバルだ。残り半年間は仲間としてオリンピックに突き進んでいきたい」と話し、パリオリンピックに向けて気持ちを切り替えていました。

戸上隼輔「最後まで自分のスタイルを貫けた」

大会3連覇を逃し、準優勝となった戸上隼輔選手は「全日本は誰もが目指す大会、特別な大会だと改めて実感した。相手に向かってこられた部分はあったが負けないようにはね返すような気持ちを持ってプレーできた。不安や緊張はあったが最後まで自分のスタイルを貫けた」と振り返りました。

張本選手との決勝については「張本選手はもともと雲の上の存在だったが今はともに日本代表として戦う戦友でライバルで特別な存在だ。オリンピックイヤーの決勝でこうして戦えたことは絶対忘れないし次は勝ちたい」と話しました。

そして、男子シングルスの代表内定を確実にしているパリオリンピックについては「この大会で初優勝した2年前の自分と今の自分の卓球の強さの差は一目瞭然だと思うし、成長を実感できている。シングルスと団体戦、ともに金メダルを目指して頑張りたい」と話していました。

女子シングルスは早田ひな選手が2大会連続3回目

女子の決勝は、パリオリンピックの女子シングルスの代表内定を確実にしている早田選手が、女子の史上最年少優勝を狙う15歳の張本美和選手と対戦しました。

早田選手は第1ゲーム、5対9とリードをされながらも緩急をつけたショットや得意のフォアハンドで6連続でポイントを奪って逆転し11対9で、このゲームをとりました。

その後、試合の主導権を握った早田選手は、独特の回転をかけるレシーブ『チキータ』を決めるなど多彩なテクニックを見せつけ、ゲームカウント4対0でストレート勝ちし、2大会連続3回目の優勝を果たしました。

早田選手は今大会6試合を戦い、相手に取られたのは、わずかに1ゲームと日本のエースとして圧倒的な強さを見せました。

早田ひな「すごくほっとしている」

女子シングルスで大会2連覇を果たした早田ひな選手は「今はすごくほっとしている。張本選手には去年11月に負けていて、きょうも1ゲーム目は取られるかと思った。1本1本、1球1球の勝負になってくるので目の前のことしか考えられていなかった。いろんな選手が自分に勝つために対策してくるが、そこへの対応能力が今大会は高かったと思う」と振り返りました。

そのうえで「東京は外は寒いが熱い試合を見ていただけてよかった。パリオリンピックの金メダル獲得を目標にやってきて、ここからの半年が大事になってくるので、いま以上の応援とサポートをお願いしたい」と話していました。