卓球 平野美宇 パリ五輪 女子シングルス 代表内定が確実に

卓球のパリオリンピック代表選考レース、最後の大会となっている全日本選手権の女子シングルスで、選考ポイント3位の伊藤美誠選手が6回戦で敗れました。

この結果、平野美宇選手の2位が確定し、パリオリンピックの女子シングルスでの代表内定を確実にしました。

東京 渋谷区で行われている卓球の全日本選手権は、パリオリンピックの選考レース最後の大会です。

女子シングルスでは、選考ポイントでトップの早田ひな選手が代表内定を確実にしていますが、2位の平野選手と3位の伊藤選手が残り1枠をかけて大会に臨みました。

平野美宇 選手

26日は男女それぞれのシングルスの4回戦から6回戦が行われ、平野選手と伊藤選手はともに勝ち上がり、平野選手は6回戦もストレート勝ちして準々決勝に進みました。

一方、伊藤選手は6回戦で木村香純選手と対戦し、得意の強烈なフォアハンドで得点を決めると何度もガッツポーズを見せるなど気持ちのこもったプレーでゲームカウント3対1と中盤までリードしました。

しかし、第5ゲームでデュースまでもつれ込んだ接戦を10対12で落とすと第6ゲームも9対11で奪われ、ゲームカウント3対3と追いつかれました。

伊藤美誠 選手 6回戦敗退

最終第7ゲームでは、勢いにのる木村選手に序盤から7ポイント連続で奪われるなど終始リードされ、伊藤選手は7対11でこのゲームを落とし、ゲームカウント3対4で敗れました。

選考ポイントでトップ 早田ひな選手

この結果、平野選手の選考ポイント2位が確定し、トップの早田選手とともにパリオリンピックの女子シングルスの代表内定が確実になりました。

平野美宇「実感がわいていないが すごくうれしい」

パリオリンピック女子シングルスでの代表内定が確実になった平野美宇選手は「自分の試合が終わってから少したって決まったので、まだ実感がわいていないが、まずはすごくうれしい」と話しました。

26日の試合、接戦を制しての勝ち上がりとなったことについては「“自分の人生を自分でコントロールする”ことを意識した。やるかやらないかではなく、やるかやるかだ。この2年間で卓球も人間も大人になれた」と精神面の成長を口にしていました。

そのうえで、パリオリンピックでの目標ついては「シングルスに出場するからには必ずメダルを取りたい。団体では金メダルを取りたい。中国にオリンピックの舞台で勝ちたい」と話していました。

伊藤美誠「最後まで戦えたことはよかった」

6回戦で破れ、選考ポイントで平野美宇選手を逆転する可能性がなくなった伊藤美誠選手は試合後、まず「大会前に体調を崩し、耐えようと思っていたが最後、耐えられなかった。大きな目標にしていた個人種目でのオリンピック出場が閉ざされてしまったが、こういう悔しい経験ができ、最後まで戦えたことはよかったと思う」と気丈に話しました。

そのうえで、混合ダブルスで日本の卓球史上初めてとなる金メダルを獲得した東京オリンピックを振り返り「東京大会では日本選手として誰も成し遂げていないことを成し遂げ、さらに誰も成し遂げていない女子シングルス優勝という歴史に残ることをしたかった。東京大会後は、卓球は好きだが、その先のオリンピックを目指すのはやめておけばよかったと思うことが何度もあったが、パリはすごくいいところで、それがオリンピックになったらどうなるのだろうと、実際に目にしたい思いもあったし、それを思うと悔しい」とシングルスでの出場にかけていた思いを涙ながらに話しました。

今後については「落ち着いてどこまでやるかをしっかり考えたいが、自分の昔からの目標はいいところでやめたいというのがいちばんなので、これで終われない。欲張ってもうちょっと頑張りたい」と競技を続ける意欲を示しました。

◇平野美宇選手(ひらの・みう)とは

平野美宇選手は山梨県出身の23歳。3歳から母親が指導する教室で卓球を始め「超高速」と呼ばれる速いテンポの攻撃が持ち味です。

幼いころから注目を集め、13歳の時に同い年の伊藤美誠選手と組んだドイツオープンの女子ダブルスでは、史上最年少でワールドツアー制覇を成し遂げました。17歳で臨んだ2017年のアジア選手権女子シングルスでは、中国のトップ選手を次々と破って日本勢として10大会ぶりに優勝し、卓球界に大きな衝撃を与えました。

相手から研究され、苦しむ時期もありましたが、持ち味の速さだけでなく、緩急をつけた攻撃も身につけ、東京オリンピックの女子シングルスの代表争いでは、去年引退した石川佳純さんと激しく競り合い、あと一歩及びませんでしたが、女子団体の代表として銀メダル獲得に貢献しました。

その後も成長を続け、去年7月には世界ランキング1位の中国、孫頴莎選手から白星を挙げると、パリオリンピックに向けた選考大会でもポイントを積み重ね、伊藤選手とのしれつな争いを制し初めてシングルスでの代表内定を確実にしました。

◇伊藤美誠(いとう・みま)選手とは

東京五輪 水谷隼選手と混合ダブルスで金メダル

伊藤美誠選手は静岡県出身の23歳。持ち味は強烈なスマッシュで、通常は高く浮いたチャンスボールに使うスマッシュをラリー中の低いボールでも果敢に打ち込みます。さらに、ラケットを自在に操る独創的な技も得意としています。

2歳で卓球を始め、10歳のときに出場した全日本選手権の女子シングルスで史上最年少勝利を挙げるなど幼い頃から注目されてきました。国際大会でも早くから活躍し、ワールドツアーでは13歳の時に同い年の平野美宇選手と組んだ女子ダブルスで、14歳の時には女子シングルスで、それぞれ史上最年少優勝を果たすなど、次々と最年少記録を塗り替えてきました。

15歳で出場したリオデジャネイロオリンピックでは女子団体の銅メダル獲得に貢献し、オリンピックの卓球で最年少のメダリストとなりました。

続く東京オリンピックでは、水谷隼選手とペアを組んだ混合ダブルスで日本の卓球史上で初めてとなる金メダルを獲得したほか、女子団体で銀メダル、それに女子シングルスで銅メダルと、出場した3種目すべてでメダルを獲得しました。

パリオリンピックの選考レースでは、けがの影響もあってポイントを伸ばせず、2枠となっている女子シングルスの代表争いでは、2位の平野選手を34.5ポイントで追って今大会を迎えました。

逆転を目指し「優勝する思いで」と臨みましたが、26日の6回戦で敗れ、個人種目では東京大会に続く2大会連続のオリンピック出場は絶望的となりました。