【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(1月26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ侵攻支持のブロガー死亡事件 被告に禁錮27年

ロシアでは、去年4月、第2の都市サンクトペテルブルクにあるカフェで爆発があり、ウクライナへの軍事侵攻を支持する内容をSNSで発信してきた著名な軍事ブロガー、マクシム・フォミン氏が死亡しました。

この事件でフォミン氏に爆発物が仕掛けられた小さな像を贈ったとしてダリア・トレポワ被告がテロ行為の罪などで起訴されました。

サンクトペテルブルクの軍事裁判所は25日、トレポワ被告に対して禁錮27年の判決を言い渡しました。

ロシアのメディアによりますと、トレポワ被告は、爆発物だとは知らなかったと訴えているということです。

この事件を巡っては、ロシア側はウクライナ政府が仕掛けたテロ事件だとしてきましたが、ウクライナ側は事件とは無関係だと主張しています。

軍用機墜落 ロシア “テロ関与のウクライナ武装集団を特定中”

ロシア国防省は24日、捕虜となっていたウクライナ軍の兵士65人などを乗せたロシア軍の軍用機が、ウクライナと国境を接する西部のベルゴロド州でウクライナ側から対空ミサイルで撃墜され、全員が死亡したと発表しました。

ロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会は25日、「テロ行為」だとして、本格的な捜査を開始したと明らかにしました。軍用機のフライトレコーダーなどを回収して分析を行っているとし、「テロに関与したウクライナの武装集団の特定を行っている」として追及する構えを示しました。

また、ロシア国防省は25日も軍用機が墜落したベルゴロド州でウクライナ側からロケット砲による攻撃があったものの、迎撃したと発表し、国境地域でウクライナ側と激しい攻防が続いているとみられます。

これに対し、ウクライナ側は墜落への関与については明言しておらず、保安庁が捜査を行っているとしています。また、ウクライナ国防省の情報総局は、65人のウクライナ人の捕虜が乗っていたかどうか明らかではないなどとロシアの主張に反論して、国際的な調査を要求するなど双方の応酬が続いています。

ロシア軍用機墜落 国連安保理緊急会合で両国応酬

ウクライナとの捕虜交換にあたっていたロシア軍の軍用機が墜落したことをめぐって、国連安全保障理事会で緊急会合が開かれました。

この墜落をめぐって安保理では25日、ロシアの要請を受けた緊急の会合が開かれ、冒頭、国連のディカルロ事務次長は現時点で国連として客観的な状況を把握できていないことを明らかにしました。

このあと、ロシアのポリャンスキー国連次席大使は、軍用機がウクライナ軍が発射したミサイルによって撃墜されたと主張し、「ウクライナが自国民を殺害した残虐行為だ」などと非難しました。

これに対して、ウクライナのハヨビシン国連次席大使は「ロシアが捕虜の安全に配慮しなかった結果で、ウクライナの管理が及ばないロシア領内での墜落だった」などと反論し、全容解明に向けて国際的な調査が行われるべきだと主張しました。

グランディ難民高等弁務官 “再建と同時に破壊進むジレンマ”

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから来月で2年になります。

UNHCRによりますと、今月(1月)の時点でウクライナ国外に逃れている人の数はおよそ630万人、国内に避難している人の数はおよそ370万人で、人口の4分の1ほどにあたるおよそ1000万人が、いまも住む家を追われたままになっています。

UNHCRのグランディ難民高等弁務官は24日、訪問先のウクライナの首都キーウでNHKのインタビューに応じ、「人々が住んでいたところに戻るような大きな動きは見られない。戦時下にあり、困難な状況が続く中、戻ることは簡単ではないと懸念しているからだ」と指摘しました。

そのうえで、「人々が仕事を再び見つけるまでの間の生活や、破壊された家の修復など生活を立て直すための支援が必要になっている」と述べ、支援の必要性を訴えました。

UNHCRはこれまでに、戦闘で破壊された2万7500を超える住宅の修復を支援したということですが、ロシアによる攻撃が続く中で、新たに家を失う人も相次いでいて、グランディ高等弁務官は「再建と同時に破壊が進んでいて、大きなジレンマに陥っている」と懸念を示しました。

さらに、グランディ高等弁務官は、中東パレスチナのガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、ウクライナに対する関心が低下しているとして、「人道支援を続けるために必要な財政支援がひっ迫している」として、国際的な支援の継続を訴えました。

ウクライナ侵攻支持の強硬派 プーチン政権批判で禁錮

ロシアの首都モスクワの裁判所は25日、ウクライナへの軍事侵攻を巡り、プーチン政権の対応を批判してきたイーゴリ・ギルキン被告に対し、過激な活動を呼びかけた罪で禁錮4年の判決を言い渡しました。
ギルキン被告の弁護士は控訴するとしています。

ギルキン被告はウクライナへの軍事侵攻を強く支持してきた強硬派で、戦況がこう着する中、プーチン政権やロシア国防省などの批判をインターネット上で展開していました。

また、プーチン大統領についても「臆病で凡庸」などと批判したことから、プーチン政権は反政権の動きに警戒を強めていたとみられ、去年7月にギルキン被告は当局に拘束されていました。

ギルキン被告は10年前の2014年には、ウクライナ東部で親ロシア派の武装勢力の軍事部門を率いていて、この年の7月、オランダ発のマレーシア航空機が撃墜され、乗客乗員298人が死亡した事件に関与したとして、おととしにはオランダの裁判所から被告不在のままで終身刑の判決を言い渡されています。

ロシア国営のロスネフチの製油所で火災 南部クラスノダール地方

ロシア南部クラスノダール地方にあるロシア国営の石油大手ロスネフチの製油所で、24日深夜から25日未明にかけて火災が発生しました。

これについて、ウクライナメディアは情報筋の話として、ウクライナ保安庁が行った無人機攻撃で、ロシア軍に提供される燃料を標的に攻撃を続けていると伝えました。

ロシアでは21日にも、北西部レニングラード州の港にある大手民間ガス会社「ノバテク」のターミナルで火災が起き、ウクライナメディアはウクライナ保安庁の無人機攻撃だと伝えていました。

ウクライナ キーウ市民 “ロシアの発表信じられない”

ロシア軍の軍用機が墜落し、ウクライナ人の捕虜などが死亡したとされる事件について、ウクライナの首都キーウでは、事実とすれば悲劇だが、ロシアの発表はとてもそのまま信じることができないという声が聞かれました。

このうち20代の男性は「強く関心をもってニュースを見ているが、十分な情報がない。ウクライナ政府もまだ確かな情報を持ち合わせていないのではないか」と話していました。

また、30代後半の男性は、ロシア機の整備水準は低く、技術的な問題で墜落した可能性もありえるとしたうえで、「ウクライナ軍がロシア機を撃墜したとは思えないし、大勢の捕虜が乗っていたというのもロシアの情報操作だと思う。ロシアが言うことを信じるのはサンタクロースの存在を信じるのと同じだ」とロシアへの不信感をあらわにしていました。

さらに、40代後半の女性も「ロシアの偽情報だと信じています。もしこれが事実で、多くの犠牲者が出たのなら悲劇だが、ロシアのほうこそテロリストだと世界が知ることになるだろう」と述べたうえで、国際社会は真実の解明の手助けをしてほしいと話していました。

ウクライナのメディア “捕虜乗っていたか明らかでない”

ウクライナ側は軍用機の墜落への関与について明言を避けていて、ゼレンスキー大統領は24日、ロシア側を非難するとともに、「国際的な調査を要請する」と主張しました。

また、ウクライナのメディアは25日、ウクライナ国防省の情報総局の報道官が、墜落現場とされる映像で遺体は確認できないほか、墜落後、現地の遺体安置所には5人の遺体しか運び込まれなかったと述べ、ロシア側の主張のとおり、65人のウクライナ人の捕虜が乗っていたかどうかも明らかではないと指摘したと伝えています。

ロシア軍用機 “全員死亡” ブラックボックス分析し原因調査へ

ロシア国防省は24日、捕虜となっていたウクライナ軍の兵士65人などを乗せたロシア軍の軍用機が、ウクライナと国境を接する西部のベルゴロド州でウクライナ側から対空ミサイルで撃墜され、全員が死亡したと発表しました。

ロシアの国営通信社は25日、ロシア国防省が墜落した現場から回収されたブラックボックスを分析し、墜落の原因を調べる予定だと伝えています。