今回の地震では発生直後から、“人工地震が原因”とか、偽の「救助要請」、それに“外国人窃盗団集結”といった偽の情報が次々に拡散しました。
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これから拡散しやすいデマって?過去の災害から見えたこと
今回の能登半島地震でも拡散され被災者を不安にさせている「デマ」や「フェイク」情報。
実は、広がりやすい情報には、災害からの時間経過ごとに「パターン」があることが分かっています。
今後も出回りかねない偽情報。
引っかからないためには、どうすればいいのでしょうか?
「人工地震」「窃盗団」相次ぐ偽情報
SNSで“人工地震が原因”など不安あおる偽情報投稿 拡散
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SNSに偽「救助要請」多数 収益目的 “インプ稼ぎ”か
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「外国系窃盗団が能登半島に集結」偽情報などSNSで拡散
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こうした大規模災害後に拡散される根拠のない情報。
防災心理学の専門家によりますと、災害の段階ごとに一定の「パターン」があり、今回広まったデマやフェイク情報もそれにあてはまっているといいます。
災害時に発生しやすい流言の“パターン”とは?
兵庫県立大学の木村玲欧教授らのグループは東日本大震災や熊本地震など過去に起きた18の災害で実際に出てきた453の流言(デマ・根拠のない情報など)を分析。
災害時に発生しやすい流言の「パターン」についてまとめています。
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1.発生直後~被害確認時
これまでの災害では、発生直後には「災害がまた来る」という根拠のない情報が非常に多くなっていました。
「●月に再び震度●の揺れがやってくる」とか「●●(場所)で水蒸気爆発が起きる」といったもので、4割と最も多くを占めました。
「災害の原因を憶測する情報」も広まりやすい傾向がみられました。
そして、被害情報が入ってくるようになると今度は、「事実ではない被害情報」や「2次被害」に関する情報が広がり、3割に達しました。
今回の地震でも、“人工地震が原因”とあおる根拠のない情報や、偽の「救助要請」、それに「外国系窃盗団が能登半島に集結」といった偽情報がSNSで広く拡散しました。
2.災害対応時
さらに時間がたち、救助や支援などの対応が始まると、「政治家・著名人の発言・行動」や「公的機関による支援」に関わる根拠のない情報が拡散する傾向にあったといいます。
例えば、「●●(政治家)が●●という発言をしたそうで、資質に欠けている」とか、「物資の投下がなされるようだ」といった情報です。
木村教授は、このような情報に接した際は、真偽を慎重に確認してほしいとしています。
3.復旧・復興時
さらに復旧・復興が進んでいくと、今度は「被災地での生活」などに関する根拠のない情報が広がりやすいといいます。
「あす●●(場所)にいけば何でももらい放題だ」といった物資の配給に関するものや、「病院に行っても手当てしてもらえない」「国道の代替ルートが開通した」などの施設利用に関するもの、それに「避難所を出たら仮設住居への入居資格がなくなる」といった内容です。
木村教授によりますと、デマなどの流言は、「不安」などの感情が多くの人に共有される中で広がりやすくなります。
このため、多くの人が不安に思う「被災地での生活」に関する根拠のない情報が広まりやすい状態が、これからしばらくの間、続くと考えられるとしています。
“今後もデマは必ず起こる”と思って
被災した人々を不安にさせるデマやフェイク情報。
広げないためには、私たち一人ひとりが慎重に情報を見極め、安易に拡散しないことが大切だと木村教授は指摘しています。
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(木村玲欧 教授)
災害で社会が不安定な時には『必ずデマが起こる』。量は少なくなるかもしれませんが、今後は復旧・復興期の対応をめぐるデマに注意が必要です。災害時には多くの人が不安になり、感情が揺さぶられる情報を安易に広げてしまいがちになります。しかし、そうした情報を見たときには一歩立ち止まり、その情報は本当か、拡散する前にその情報の真偽を確かめる習慣を身につけることが重要です。
デマを広げないためには
デマを広めないためにはどうすればいいか。
ポイントをまとめました。
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まず、心構えです。
大きな災害時には根拠のないうわさや誤情報が必ず広がると認識してください。そして、不安な気持ちになっても落ち着いて、冷静な目で情報を見るようにしてください。
そしてもし、真偽の分からない情報に接したら。
公的機関など、信頼できる発信元から出た情報か確認し、安易に拡散しないようにしましょう。
被災者のために知らせてあげようという“善意”の拡散が、かえって不安を広げることにならないように。みんなで協力して、地震災害を乗り越えていければと思います。
(取材・制作 ネットワーク報道部 内山裕幾 林慶太)