能登半島地震 道路復旧進むも “普段の2倍の時間” 現状は?

地震発生から8日たちましたが、石川県能登地方の道路は、沿岸部を中心に土砂崩れなどによる通行止めで、救助や被災者支援への影響が続いています。

国は復旧が進んでいる内陸の道路から、“くしの歯状”に緊急復旧を進めています。

主要道路が相次ぎ被災

能登半島では
▽沿岸を囲むようにして通る国道249号と、
▽金沢市から輪島市の能登空港付近までを結ぶ国道470号などを含む「のと里山海道」、
▽半島の中央部を通る県道が主な道路です。

石川県地域防災計画では、これらの道路は災害時の初動体制の確保や救助活動に対応するための「第1次緊急輸送道路」に指定されています。地図の緑色で示した道路です。

また、水色で示した道路が、飲料水などの物資を運ぶための「第2次緊急輸送道路」に指定されています。

しかし、これらの緊急輸送道路は今回の地震で、土砂崩れや陥没などの大きな被害を受けていて、国交省の8日午前7時時点の発表によると、通行ができるようになったのがオレンジ色で示した部分です。

まだ通行可能になったと発表されていない主な道路は、赤色で示した部分です。

いずれも国道249号線で、
▽地図右上の輪島市と珠洲市を結ぶ道路や
▽地図左上の輪島市の中心部と輪島市門前町を結ぶ道路、
▽地図右側の能登町の道路などです。

9日午後2時時点で県が発表した孤立地域の黄色の地点と重ねると、緊急輸送道路が通行できない道路の周辺で孤立が多く発生していることがうかがえます。

また、主要な道路が通れるようになっても、その先の生活道路が通行できないケースもあるとみられます。

“くしの歯状”に復旧を

国土交通省では道路の復旧作業を急いでいて、現在、通行できない輪島市と珠洲市沿岸部を結ぶ国道249号線は、約5割が復旧したということです。

また能登半島でみると、主要な幹線道路の約8割で復旧が進んでいるとしています。

国土交通省は自衛隊とも連携し、通行できる幹線道路から沿岸部に向けて道路を通す、“くしの歯状”の緊急復旧を展開するなどさらに復旧を急ぎたいとしています。

実際に現地に向かったクルーは?

被災地に向かう道路状況は、実際にどうなっているのか。大雪が降る前の今月7日に金沢市から輪島市に向かったクルーの状況をまとめました。

取材クルーは7日8時から始まった通行規制を前に「のと里山海道」を通って、能登半島に入りました。

七尾市から輪島市や珠洲市などの被災地に向かう国道249号線を北上し、途中ところどころ、う回路を利用するよう交通規制がありました。

穴水町に入って、しばらく走ると、道路が大きく陥没し、赤色の乗用車が転落していたほか、斜面が崩れ落ち、道路の側に木が倒れそうになっているところもありました。

穴水町の中心部を抜け、県道1号線へ入って山あいの地区を進むと、大きな岩が道路をふさぎ、片側車線しか通れないようになっていました。

その後も道路が陥没したり、大きな段差があったりする箇所が続き、そのつど速度を落として走らなければなりませんでした。

金沢市のNHK金沢放送局を午前6時に出発し、輪島市に到着したのは午前10時ごろで、所要時間はおよそ4時間でした。通常時に比べて、倍近くの時間がかかっています。

一方で必要な交通規制が行われたこともあり、今月3日と比べ、所要時間は2時間以上、短縮されていました。

ただ、道路状況は悪く今も通行に注意が必要なほか、石川県は能登方面への不要不急の移動は控えるよう呼びかけています。

能登半島方面につながる「のと里山海道」などの一部では、被災地での人命救助や復旧作業を円滑に進めるため、7日から当面の間、緊急車両以外の通行が規制されています。

警察は規制する区間のそれぞれのインターチェンジに、警察官を配置して、通行できる車両か確認することにしていて、通行できない車両は国道159号線を利用してほしいと呼びかけています。