【被害状況 4日】石川県で84人死亡 72時間後に80代女性を救助

石川県によりますと、4日午後10時の時点で、県内であわせて84人の死亡が確認されたということです。また石川県は、住民基本台帳をもとに4日午後6時の時点で安否が分かっていない人として穴水町、輪島市、珠洲市など、あわせて179人の氏名や年齢などを公表し広く情報の提供を求めています。

さらに輪島市や珠洲市、能登町では倒壊した家屋が多数確認されていて、全体状況は確認できていない状況だということで、各自治体が被害状況の把握を急いでいます。

各地の被害について、随時更新してお伝えしています。

《石川県》

石川県内で84人死亡確認(4日22時)

石川県によりますと、4日午後10時の時点で県内であわせて84人の死亡が確認されたということです。

このうち
▼輪島市で48人
▼珠洲市で23人
▼七尾市で5人
▼穴水町で4人
▼能登町で2人
▼羽咋市で1人
▼志賀町で1人
となっています。

また、石川県は、住民基本台帳をもとに4日午後6時の時点で安否が分かっていない人として穴水町、輪島市、珠洲市、七尾市、志賀町、能登町、金沢市に住んでいたとみられる人など合わせて179人の氏名や年齢などを公表し広く情報の提供を求めています。

石川県内のけが人は重軽傷者をあわせて少なくとも305人にのぼっています。

七尾市 能登島 90代祖父と20代孫 帰宅途中に納屋の下敷きに

石川県七尾市の能登島で90代の祖父と20代の孫の女性の2人が亡くなった際の状況が近所の住民への取材でわかりました。

今月1日、正月休みで東京から母親とともに祖父母の自宅を訪れていた20代の女性は、最初の揺れのあと、近くの農作業小屋にいた90代の祖父を呼びに行きました。

その後、家に戻るため2人で歩いていたところさらに揺れがあり、道沿いにあった納屋が倒壊して下敷きとなったということです。

2人が戻らないことから、家族が近所の住民たちとも協力して周辺をさがし、翌日の2日、がれきの下で2人を見つけたということです。

近所の人によりますと、亡くなった祖父はふだんから畑の世話に精を出し、台車をつえのかわりのようにして歩いていたということです。

町内会長を務める室屋繁昭さんは「2人は重なるように見つかりました。せっかくの正月休みにこんなことになってしまい本当に気の毒です」と話していました。

72時間経過も倒壊住宅で80代の女性救助 呼びかけに反応

大阪市消防局によりますと、4日午後、石川県輪島市で、被害を受けた建物に人が取り残されていないか確認を進めたところ、倒壊した住宅で女性が閉じ込められているのを見つけました。

大阪府内各地の消防から派遣されている緊急消防援助隊が救助活動にあたり、地震の発生からおよそ72時間が経過した午後4時28分、80代の女性を救助しました。

女性は意識があり、消防隊員の呼びかけに反応できる状態で、病院に搬送されたということです。現場は2階建ての住宅で、1階部分が押しつぶされ、女性は1階で閉じ込められていたということです。

消防が撮影した映像では、女性が消防隊員に抱きかかえられて救出される様子や、「ようがんばったね」と声をかけられる様子が確認できます。

大阪市消防局では、今回の地震を受け輪島市に90人を派遣していて、引き続き救助活動にあたるため、5日、新たに87人が被災地に向けて出発するということです。

懸命な救助活動も 「私が助けてあげられなくてごめんね」

石川県輪島市門前町では倒壊した住宅に取り残された高齢の女性の救助活動が行われました。

輪島市門前町の神崎美智子さん(87)が住む住宅は1階部分が押しつぶされるように倒壊しました。

美智子さんは住宅の中に取り残されたとみられ、4日午前7時すぎから消防による救助活動が行われました。

美智子さんと同居し、倒壊した住宅から避難することができた娘の智子さん(66)と智子さんの夫の浩二さん(70)も自宅の前で不安そうに見守っていました。

智子さんと浩二さんの夫婦は、今回の地震で帰省中だった長女の希美さん(43)と次女の麻衣子さん(40)の2人の娘を亡くしました。

年末年始に家族がそろったのは数十年ぶりで家族水入らずの時間を過ごしていたとき、激しい揺れに見舞われて自宅が倒壊したということです。

智子さんは壊れた家の中に取り残されましたが大きなけがはなく、手で触れられるほどすぐそばに麻衣子さんの姿が見えたため、大きな声で娘の名前を呼び続けました。

麻衣子さんの上には大きな柱が倒れていました。

麻衣子さんの反応はなく温かかった手や顔は徐々に冷たくなっていったということです。

智子さんは近所の人に救助され、浩二さんは自力で逃げ出すことができましたが、津波の危険があったため近所の人から逃げるよう言われ、2人の娘と母親を残したまま避難せざるをえませんでした。

それから数時間がたって自宅に戻り、その後2人の娘が救出されましたがすでに亡くなっていたということです。

浩二さんは「娘2人は仲がよく、どちらも明るくていい子です。楽しみにしていた年末年始でおいしいものを食べてほしいと思って準備していたのでおいしいご飯を食べさせてあげたかったです」と話していました。

智子さんは「娘2人は変わり果てた状態で見つかり、かわいそうでなりません。心の整理がつきません」と話していました。

そして4日、母親の美智子さんの救助活動が始まってからおよそ1時間半後、倒壊した住宅から美智子さんとみられる高齢の女性が見つかりました。

消防隊の隊員が「頑張ってよ。あとちょっとだよ」などと、懸命に声をかけながら救助活動にあたり、発見からおよそ2時間たって救助されました。

消防によりますと意識がない状態だったということです。

智子さんは涙を流しながら「とにかく早く見つかってほしかったので救出されただけでも本当によかったです。私が助けてあげられなくてごめんねと言いたいです」と話していました。

発生から“72時間”過ぎる 救助難航の要因は

今回の地震で大きな被害が出た石川県輪島市では、生存率が大きく下がるとされる発生から72時間が迫るなか懸命の救助活動が行われ、倒壊した家屋から、救助された人が外に運び出される様子も確認されました。

石川県の馳知事は救助活動を阻む要因について「日本海に面した沿岸地域のがけ崩れや輪島方面に向かう道路ががけ崩れなどで通れず、天候を確認しながらヘリコプターや海路で向かっている。しかし、海路も周辺で海底が隆起していて、護衛艦などが接岸できず、ボートでしか行き来できない。こうした条件が重なり、救助活動が難航している」と述べました。

馳知事「今後も人命救助が最優先」

4日午後6時前から開かれた石川県の災害対策本部会議で馳知事は、生存率が大きく下がるとされる地震の発生から72時間が過ぎたことについて「今後も人命救助が最優先であることに変わりない」と述べました。

そのうえで、道路などのインフラの整備や生活に必要な物資の搬送、さらに被災者の生活支援について、政府との連携を強化し進めていくことを明らかにしました。

このうち、道路については、いずれも土砂崩れなどで大きな被害が出ている国道249号や、のと里山海道について国に修復を求め、早期の復旧を目指すということです。

また、被災者の支援では、比較的被害の少なかった県内の13の市や町の旅館などを活用して、高齢者など配慮が必要な人を受け入れるために準備を進めることにしています。

会議のあと馳知事は記者団に対し「いまだに倒壊した家やがれきの下で救助を待っている人がいる。何としても救い出すことが第一の目標だ。加えて、避難所で命を落とすことのないように支援に全力を挙げるなど次の段階も踏まえて対応したい」と述べました。

珠洲市 鵜飼漁港周辺で1人が津波で行方不明か

石川県の災害対策本部会議で、海上保安庁は「珠洲市の飯田湾西方の鵜飼漁港の周辺で、津波に流されて1人が行方不明になっているという情報があり、巡視船を捜索に向かわせている」と報告しました。

輪島市 珠洲市 能登町で倒壊家屋多数

石川県によりますと、4日午後3時時点で、石川県内では七尾市などで、少なくとも261棟の住宅被害が確認されたということです。

一方、輪島市や珠洲市、それに能登町では、依然として倒壊した家屋の全体状況は把握できていないとしています。

4日午後3時までに石川県内で確認された住宅の被害は、
▽金沢市で全壊が4棟
▽七尾市で全壊が129棟
▽加賀市で全壊が2棟、半壊が1棟、一部破損が8棟
▽羽咋市で全壊が15棟
▽川北町で一部破損が1棟
▽志賀町で全壊が8棟、半壊が15棟、一部破損が16棟、床上浸水が6棟、床下浸水が5棟
▽宝達志水町で全壊が1棟
▽中能登町で全壊が16棟、半壊が5棟、一部破損が12棟
▽穴水町で全壊または半壊が17棟
となっています。

一方、輪島市と珠洲市、能登町では多数の住宅に被害が出ていますが、現在も確認が進んでいないということです。

《富山県》

富山市内の中学1年生 帰省中に住宅倒壊に巻き込まれ死亡

石川県輪島市に帰省していた富山市内の中学1年生が地震による建物の倒壊に巻き込まれて亡くなったと、富山市が発表しました。

4日、富山市で開かれた災害対策本部の会議での報告によりますと、亡くなったのは市内の中学1年の男子生徒1人で、石川県輪島市の親族の家に家族と帰省した際に、今回の地震で住宅の倒壊に巻き込まれたということです。

学校が全校生徒の安否確認のため連絡したところ分かったということで、市はプライバシー保護のためとして氏名などは明らかにしていません。

このあと開かれた会見で藤井市長は「亡くなられた方たちに心から哀悼の意を申し上げます。また市内でも自宅に被害を受けたり、不安を感じたりしているすべての方にお見舞いを申し上げます」と述べました。

このほか住民から、避難所に着いたものの職員がおらず鍵が開かなかったと苦情が寄せられたことや、道路が渋滞して避難に支障が出たことなどについては、今後対応を検討するとしています。

また、被災して家に住めなくなった市内外の人を対象に、市営住宅で受け入れる支援を検討する方針も示しました。

富山県 37人がけが 3人は重傷

富山県では8つの市であわせて37人がけがをして、このうち3人が重傷だということです。

市町村別では、
▽富山市で16人
▽氷見市で6人
▽黒部市で5人
▽高岡市で3人
▽魚津市で2人
▽小矢部市で2人
▽射水市で2人
▽砺波市で1人
です。

黒部市 朝日町 小矢部市など8市町 48棟の住宅で被害

富山県によりますと、4日午前8時時点で、朝日町、小矢部市、黒部市など、県内8つの市や町の48棟の住宅で被害が確認されているということです。

3日の時点では9つの市や町の57棟の住宅としていましたが、自治体が調査を進めたところ、9棟の住宅で損壊が認められなかったなどということです。

《新潟県》

新潟県 34人がけが

4日午後、県は国などと会議を開き今回の地震による県内の被害状況を確認しました。

県内でけがをした人は8人増えて合わせて34人となりました。
このうち見附市では、1日に60代の男性が自宅で転倒し、足を骨折する重いけがをしたしたほか、80代の女性が倒れたふすまの下敷きになって右手首を骨折したということです。
また、上越市では80代の女性が避難する際に転んで尾てい骨を骨折したということです。

新潟県 524棟の住宅被害

被害が確認された住宅は524棟になりました。
県によりますと全壊が1棟、半壊が10棟、一部破損が513棟だということです。

花角知事は県内の被害状況について4日の会見で、液状化現象による住宅被害の広がりが心配されるとしたうえで、調査の進捗をみながら対処を検討していく考えを示しています。

《福井県》

福井県では、少なくとも6人がけがなどをしたということです。

《岐阜県》

岐阜県では、大垣市内で屋内にいた50代の女性が揺れの影響で転倒して頭に軽いけがをし、市内の医療機関に搬送されたということです。

《長野県》

水道管の破損は長野市や飯山市、小諸市で確認され、このうち長野市では稲田2丁目のマンホールから水があふれたほか、篠ノ井御幣川地区ではおよそ30戸で断水しました。

さらに栄村では水道水の濁りが確認され対象の地区に配水車が派遣されましたが、いずれもすでに復旧しているということです。

建物や道路も被害にあいました。

飯山市では、JR飯山駅の新幹線ホームに続く階段が一部壊れたほか、太田地区の道路のアスファルトが一部壊れるなどして付近が通行止めになっています。

長野市でも橋と道路のつなぎ目や建物のひび、住宅の屋根瓦の落下などが確認されたいうことです。

このほか、飯山市や中野市では複数のキノコ工場でキノコの栽培に使う瓶が倒れるなどしました。