【地震 被害状況 3日】 石川県で73人死亡確認 倒壊家屋も多数

石川県などによりますと3日、午後6時の時点で今回の地震による死者が石川県内であわせて73人確認されたということです。

また、輪島市や珠洲市、能登町では倒壊した家屋が多数確認されていて、全体状況は確認できていない状況だということで、各自治体が被害状況の把握を急いでいます。

各地の被害について、随時更新してお伝えしています。

《石川県》

石川県内で73人死亡確認(3日午後6時時点)

石川県などによりますと3日、午後6時の時点で今回の地震による死者が石川県内であわせて73人確認されたということです。

輪島市で39人、珠洲市で23人、七尾市で5人、穴水町と能登町でそれぞれ2人、羽咋市と志賀町でそれぞれ1人となっています。

また、石川県内の各地で行方不明者がいるということで、安否の確認が進められています。

石川県内のけが人は重軽傷者をあわせて323人にのぼっています。

輪島市 珠洲市 能登町で倒壊家屋多数

石川県によりますと、県内では、これまでに住宅が全壊または半壊した被害が合わせて183棟に上っています。

一方、輪島市や珠洲市、能登町では倒壊した家屋が多数確認されているものの、全体状況は把握できていないとしています。

県によりますと3日午後3時までに県内で確認された住宅の被害は、
▽金沢市で全壊が4棟、
▽七尾市で全壊が102棟、
▽羽咋市で全壊が15棟、
▽志賀町で全壊が8棟、半壊が15棟、一部破損が16棟、床上浸水が6棟、床下浸水が5棟、
▽宝達志水町では全壊が1棟、
▽中能登町では全壊が16棟、半壊が5棟、一部破損が12棟、
▽穴水町で全壊または半壊が17棟となっています。

このほか輪島市と珠洲市、能登町では倒壊した家屋が多数確認されてるものの、被害の全体状況は把握できていないということです。

ビル倒壊現場の女性救助 意識がない状態

輪島市河井町のビルが倒壊した現場では、ビルの下のがれきの中に女性が閉じ込められ、3日午前10時ごろから消防による救助作業が続けられていました。

作業が始まってからおよそ12時間が経過した午後10時すぎ、現場に担架が持ち込まれ、黄色いシートで囲まれる中、女性が救助されました。

消防によりますと、女性は呼びかけに反応がなく、意識がない状態だったということです。

救助作業は相次ぐ地震によってたびたび中断せざるをえない中で行われていました。

穴水町 6人が行方不明 倒壊などに巻き込まれたか

石川県穴水町の吉村光輝町長によりますと、3日午後6時の時点で、町内で6人が行方不明になっているということです。6人は住宅の倒壊などに巻き込まれたとみられるということで救助を急いでいます。

警察への通報 要救助が“121件”

3日午後6時から開かれた石川県の災害対策本部会議で、警察は、救助が必要だとして寄せられている通報が午後4時の時点で121件に上ると報告しました。

珠洲市 救助要請72件 自衛隊などが捜索続ける

石川県珠洲市では対応できていない救助要請が3日朝の時点で72件にのぼっていて、警察や消防、自衛隊などが捜索を続けています。

このうち家屋が倒壊するなどの大きな被害が出た珠洲市宝立町では、静岡県から応援に入った消防隊員などが、安否が確認できていない住民の自宅、およそ30軒を回りました。

災害救助犬も活用され、倒壊した家屋の隙間から中に入って匂いを頼りに取り残された人がいないか確認していました。

2日から珠洲市内で捜索を続けているということですが、倒壊した家屋でこれまでに10人ほどが亡くなっているのが見つかったということです。

内灘町 道路が大きく隆起したり家屋が傾いたりするなどの被害

1日の地震で震度5弱の揺れを観測した石川県内灘町では、道路が大きく隆起したり家屋が傾いたりするなどの被害が出ています。

内灘町では過去の地震で液状化現象が確認されていて、今回の地震でも内灘町宮坂や西荒屋の住宅地では1メートル以上道路が隆起するなどの被害が確認されているということで、町は液状化現象が発生した可能性があるとしています。

また、こうした道路に面する電柱や家屋も大きく傾いていて、消防の職員が道路の段差を確認しながら、「立ち入り禁止」と書かれたテープを使って一部の道路を規制する様子も見られました。

輪島市 鳳至町 陸上自衛隊が住宅捜索も女性発見できず

輪島市鳳至町の住宅街では、陸上自衛隊の隊員10人ほどが1階がつぶれて倒壊した2階建ての住宅を捜索していました。

この家には1人暮らしの96歳の女性が取り残されている可能性があるということで、隊員たちは「誰かいませんか」などと声をかけながらチェーンソーなどの工具を使って建物の壁や家具を取り除き、女性を捜していました。

捜索の結果、およそ1時間後に、電源が入った状態の携帯電話が見つかりましたが、女性は発見できませんでした。

市内の自宅から駆けつけた女性の70代の娘は「週に1回ほど買い物の手伝いなどで会っていました。先月30日に正月の準備のために会ったのが最後で、鏡餅を飾ってあげるととても喜んでいました。早く見つかってほしいです」と話し、不安そうに捜索の様子を見つめていました。

珠洲市長「対応できていない救助要請は72件」

3日朝に行われた石川県の災害対策本部会議で、能登地方の市長や町長はオンラインで出席し、状況を報告しました。このうち珠洲市の泉谷市長は「対応できていない救助要請は72件に上っているので、人命救助を最優先にしてほしい。避難所のトイレも限界で至急仮設トイレが必要だ」と述べました。

これに対し国や県は、かほく市には130基の仮設トイレをすでに輸送していて今後、どの自治体に設置するかなどを検討すると回答しました。ほかの市や町からは支援物資が不足していて特に市街地以外の道路が寸断された場所に届けるのが難しいと報告があったのに対し、県や消防などは船は地震の影響で水深が浅くなっていること、ヘリコプターは悪天候がそれぞれ課題となっていて調整を行っているとしました。

一方、14の市や町で断水が続いていますが、3日からすべての市と町で給水活動が始まる予定だということです。馳知事は「能登はもともと人が少なく道路も狭い地域で支援の難しさが増しているが、関係機関が連携して物資を届けたい」と述べました。

輪島市長「水と食料が非常に不足」

今回の地震で甚大な被害が出ている輪島市の坂口 茂市長が3日午後5時に市役所で会見を開きました。

会見の中で坂口市長は、市内ではこれまでに32人が死亡したと発表し、持病を抱えていた人が避難所に避難したあと亡くなったケースがあることを明らかにしました。

また、避難所に避難している人はあわせて1万1000人を超えていて、食料や暖をとるための物資が行き届いていないということです。

市民からの「避難所の食料が足りない」といった要請を含めると、救助を求める連絡は200件以上、寄せられているということです。

坂口市長は「道路が寸断されて孤立した集落が非常に多く、電気や水道が途絶え電話もつながらない。救援物資の提供に全力で取り組んでいるが、水と食料が非常に不足している。避難所では暖がとれず、非常に寒いので、県や国などと連携して救助や物資の搬送に努めていきたい」と話していました。

穴水町 死者は2人 けが人は重傷者5人を含む28人

今回の地震で震度6強の揺れを観測した石川県穴水町では、3日の午後1時の時点で死者は2人、けが人は重傷者5人を含む28人が確認されています。

町によりますと亡くなった2人はいずれも男性で、穴水駅近くの川島地区にあるそれぞれ別の倒壊した住宅で発見されたということです。

また、これまでに町内で少なくとも17の住宅が全壊や半壊の被害を受けているのが確認され、このうち川島地区の3つの住宅では住民の安否がわからないという情報があるため救出活動が進められていました。

このほか周辺の道路に亀裂が入るなどして、北七海地区で1人、麦ケ浦地区で20人が孤立した状態になっているということです。

また、穴水町志ケ浦の国道249号線では道路中央に大きな亀裂が入っていて、乗用車が亀裂にはまった状態で止まっていました。このため周辺は片側通行となり渋滞が発生していました。

七尾市 穴水町 能登町でおよそ60人が孤立状態

石川県によりますと、県内の少なくとも3つの自治体の5つの地区でおよそ60人が孤立状態になっているということです。

道路が通れなくなるなどして孤立状態になっているのは、
▽七尾市の中島町河内地区で5世帯およそ10人、
▽穴水町の北七海地区で1世帯1人、麦ケ浦地区で20人、丸山地区で10人、
▽能登町北河内地区で16世帯20人です。

このほか輪島市と珠洲市の状況は把握できていないということで、自治体などが調査を進めています。

また、能登町によりますと、地震による土砂崩れで北河内地区の一部が孤立状態となっているということです。当初は連絡が取れていましたが、現在は電話などがつながらないということで、詳しい状況はわかっていないということです。

輪島市中心部にある河井町 懸命な救出活動が続く

被災地では懸命な救出活動が続いています。

輪島市中心部にある河井町では、多数の家屋などが倒壊しています。瓦屋根の住宅が数軒、折り重なるように倒れている現場では、近所の人から「高齢の女性が取り残されている可能性がある」との通報が寄せられたということで、10人ほどの消防隊員が、柱や壁、瓦などを少しずつ取り除きながら慎重に捜索を続けていました。

輪島市「朝市通り」200棟以上焼けたか 発生から約40時間も白い煙

石川県輪島市では、観光名所として知られる「朝市通り」周辺の店舗や住宅など200棟以上が焼けたとみられ、火災の発生から40時間ほどがたっても白い煙が立ちこめ、焦げ臭いにおいが辺り一面に広がっていました。

3日朝も近くに住む人たちが現場を訪れていて見つめていました。近くに住む84歳の女性は「朝市通りが焼けていると聞いていたが、これまでは来ることができなかったのできょう初めて来ました。『こんなことが起きるのか』という思いで胸がいっぱいです。まるで戦争が終わった後の焼け野原のようでことばも出ません」と話していました。

《富山県》

富山県 36人けが 3人重傷

富山県では7つの市であわせて36人がけがをしてこのうち3人が重傷だということです。市町村別では
▽富山市で16人
▽氷見市で6人
▽黒部市で5人
▽高岡市で3人
▽魚津市と小矢部市、射水市でそれぞれ2人です。

魚津市がけが人の情報を3人から2人に訂正しました。

黒部市 朝日町 小矢部市など9市町 57棟の住宅で被害

富山県によりますと、3日午前10時半時点で、黒部市、朝日町、小矢部市など、県内9つの市や町の57棟の住宅で被害が確認されているということです。

《新潟県》

新潟県 けがなど計26人

新潟県では8つの市であわせて26人がけがをしているということです。

市町村別では新潟市で8人、上越市で5人、長岡市で4人、糸魚川市で4人、柏崎市で2人、見附市と五泉市、それに三条市でそれぞれ1人です。

このうち見附市では、1日に60代の男性が自宅で転倒し、足を骨折する重いけがをしたということです。

新潟県内の住宅被害420棟 「応急危険度判定」進む

建物被害が相次いでいる新潟市では被災した住宅などに倒壊のおそれがないか確認する「応急危険度判定」を2日から進めています。

新潟県によりますと、県内では3日時点で住宅被害が420棟確認されていて、新潟市西区の集合住宅には「応急危険度判定士」の資格を持つ市の職員2人が訪れ、建物の壁や基礎にひびがないかや、建物に傾きがないか、それに建物が沈んでいないかなど確認を進めました。

判定は、立ち入ることが危ない「危険」と、十分な注意が必要な「要注意」、それに建物の使用が可能だとする「調査済み」の3種類に分かれていて、今回調査を受けた集合住宅は「危険」の判定となりました。

集合住宅を所有する80代の男性は「入居者の方には、大変申し訳ないです。基礎から建て直すことになると思います」と話していました。
新潟市建築行政課の鈴木健之主査は「西区の調査件数が多くなっている。依頼は電話やメールでできるので、手続きについては市のホームページを見てほしい」と話していました。

新潟市 西区で液状化現象44か所 建物被害100棟以上

新潟市によりますと、新潟市西区では3日午前8時時点で液状化現象が44か所、建物被害が100棟以上で確認されるなど大きな被害が出ています。

市立の坂井輪中学校では敷地内のいたるところで陥没や隆起が起きているほか、校舎の柱には亀裂が入って一部が砕け、壁には隙間もできるなど大きな被害となっています。

冬休みは今月8日までの予定で、いつ、どのように授業を再開するか検討が進められています。

糸魚川市の住宅地 擁壁が崩れたり住宅が傾く被害

1日の地震で震度5強の揺れを観測した新潟県糸魚川市の住宅地では擁壁が崩れたり住宅が傾いたりする被害が出ていて、市が状況を調べています。

糸魚川市の中心部に近い京ヶ峰地区では今回の地震でコンクリートなどで作られた擁壁が崩れたり、ブロック塀が倒れたりする被害が相次ぎました。

住宅の擁壁が崩れたという男性は「地震が起きたときは家の中にいて気付きませんでしたが、外に出て初めて気付き驚きました。1日も早く直したいですがどのように復旧させればいいか分かりません」と話していました。

また、この地域では住宅そのものが傾く被害も出ています。

80代の女性が1人で暮らす住宅では、地震のあと、引き戸が勝手に閉まるようになったほか、逆に、閉まらない扉もあるということです。

また、玄関先には数センチの隙間ができていました。

女性は「だんだんと傾きが大きくなっているように感じていて本当に怖いです。ずっとこの家で暮らしてきましたが、家族からも出たほうがいいと勧められたのでどこかに避難するつもりです」と話していました。

糸魚川市は建物の危険性を判定する「応急危険度判定」を行い、被害が大きい世帯に自主的な避難を呼びかけていて、今後、宿泊施設などを避難場所にすることも検討しています。

新潟市西区 中野小屋 農作業用の小屋が倒れる被害

1日の地震の影響で新潟県では建物への被害もあり、2日午後の時点で住宅の被害は57棟確認され、今後さらに増えるとみられています。

新潟市西区の中野小屋では、住宅の屋根が壊れたり農作業用の小屋が倒れたりする被害が出ています。

このうち住宅の敷地内にある農作業小屋は横に倒れていて、隣につながっていた小屋も引っ張られるようにして傾いていました。

この小屋を所有する男性は「76年間ここに住んでいますが、昭和39年の新潟地震のときもこんなことはなく、初めてのことで苦しい気持ちです」と話していました。

また、自宅の屋根が壊れるなどの被害を受けた男性は、時折雨が降るなか、親戚に手伝ってもらいながら倒れた家具や落ちてきた物の片づけを進めていました。

男性は「屋根は上のほうだけの被害なので、いまは雨が漏れることはありませんが今後の地震の状況でまた被害が出そうで心配です」と話していました。

《福井県》

福井県では、少なくとも6人がけがなどをしたということです。

《岐阜県》

岐阜県では、大垣市内で屋内にいた50代の女性が揺れの影響で転倒して頭に軽いけがをし、市内の医療機関に搬送されたということです。

《長野県》

長野市では、60代の女性1人が地震の影響と見られる過呼吸で病院に搬送され軽症です。

《学校などの被害》

石川県中心に165の学校や施設 壁ひび割れなど被害

文部科学省が被災した各県の教育委員会などを通じて、3日午後0時半時点の被害状況をまとめたところ、石川県を中心にあわせて165の学校や施設で、校舎の壁がひび割れるなどの被害が確認されています。

文部科学省によりますと、
▽石川県では公立の小学校32校、中学校17校、高校26校、特別支援学校5校などを含む、105施設で被害が報告されています。

▽新潟県では公立の小学校15校、中学校9校などを含む57施設で、
▽富山県では3施設で被害が報告されています。

石川県内の学校や施設を中心に、敷地内に亀裂が入ったり校舎の壁がひび割れたり、ガラスが割れるといった被害が確認されているということです。

一方、石川県や新潟県、それに富山県や山形県であわせて44の学校や施設が避難所として使われているということです。

文部科学省によりますとまだ現地の教育委員会が被害状況を確認できていない施設もあるということで、文部科学省では引き続き情報収集を進めることにしています。

《企業の被害》

半導体の工場が稼働停止に

今回の地震では、北陸地方を中心に半導体などの工場が稼働を停止しました。設備の点検などを行っていることから一部の工場では生産再開の時期が決まっていないということです。

東芝の子会社「加賀東芝エレクトロニクス」は石川県能美市にある半導体工場が地震の影響で稼働を停止しました。被害の状況など設備の点検を続けていますが、会社によりますと生産再開の時期は決まっていないということです。

「KOKUSAIELECTRIC」は、富山市にある拠点で半導体製造装置の開発や生産を手がけていますが、建屋の天井や壁の一部で被害が確認されているということです。会社によりますと、今月9日から順次、生産を再開させるということです。

「富士電機」は富山県滑川市にある子会社の半導体工場で一部の設備に影響が出ているということです。半導体部品の組み立てや検査などを行う「後工程」の工場で、4日から一部を除いて工場の稼働を始めるということです。会社によりますと、今のところ生産体制に大きな影響はないとしています。

液晶パネルなどを手がける「ジャパンディスプレイ」は、石川県川北町にある休業中の工場で、水道管の一部の被害が確認されているということです。当初の計画では今月9日から生産を再開する予定で、予定どおりの復旧を目指しているということです。

一方、新潟県では、上越市にある「日本製鉄」の生産拠点がチタンとステンレス製品などの製造ラインの稼働を停止しました。設備の点検を行っていて、会社によりますと再開の時期は未定だということです。