コロナ 新変異ウイルス「JN.1」検出急増 年末年始に感染対策を

新型コロナウイルスの「JN.1」(ジェイエヌ・ワン)と呼ばれる新たな変異ウイルスが世界的に拡大し、日本でも広がりを見せています。WHO=世界保健機関は、ほかの変異ウイルスより重症化のリスクが高いという報告はないとしていますが、専門家は「JN.1の割合が増えている国の中には感染者数が急増しているところもある。国内でも感染者が増えることを想定し、対策をしてほしい」と話しています。

日本国内でも11月頃から増加 検出割合が31%に急増

新型コロナウイルスの「JN.1」はオミクロン株の一種で、2022年に国内でも広がっていた「BA.2」系統のウイルスがさらに変異したものです。

世界各地でこの変異ウイルスが検出される割合が急増していることから、WHO=世界保健機関は、12月18日に「VOI=注目すべき変異ウイルス」に指定しました。

日本国内でも11月頃から増加し、国立感染症研究所によりますと、「JN.1」が検出される割合は12月3日までの1週間で11.6%でしたが、今週の時点では31%に急増していると推定されています。

新たな変異ウイルスの特徴について、WHOは免疫を逃避する能力が高まっている可能性があるとしている一方、入院や重症化のリスクが高くなっているという報告はないとしています。

海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「JN.1の割合が増えている国では感染者数が急に増えているところもある。国内でも感染者数が増えることを想定し、感染対策をしっかりしてほしい」と話しています。

アメリカで新規感染者の4割余に 41か国から検出報告

新型コロナウイルスの「JN.1」と呼ばれる新たな変異ウイルスは、アメリカで新規感染者の4割あまりを占めるなど、海外でも流行していて、WHO=世界保健機関は、本格的な冬を迎える中、今後も感染の増加が予想されるという見方を示しています。

アメリカCDC=疾病対策センターは、23日までの2週間に、新型コロナウイルスに新たに感染した人のうち、およそ44%が「JN.1」に感染しているとする推定を発表しました。

前の2週間と比べると20ポイントほどの増加で、検出される割合が急増しています。

WHO=世界保健機関によりますと、「JN.1」はアメリカだけでなく、フランスやシンガポール、イギリス、スウェーデンなどでも検出が相次いでいて、12月16日時点で、41か国からこの変異ウイルスが報告されているということです。

WHOは「JN.1」について、「本格的な冬を迎える中、感染の増加を引き起こすことが予想される」という見方を示しています。

専門家「年末年始に感染者増加を想定すべき 感染対策を」

海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授によりますと、「JN.1」が増加しているアメリカやヨーロッパでは感染者数も急増している国もあるということです。

これについて濱田特任教授は、「呼吸器の感染症が流行しやすい冬に入ったことや、クリスマスの休暇で人の移動が多かったことだけでなく、JN.1が増えていることが影響している可能性がある。一方、季節性があまり影響しないシンガポールでもJN.1の増加にともない感染者も増えているので、より多くの国や地域に拡大することを懸念している」と指摘しています。

その上で、「新型コロナが『5類』になって初めての年末年始で人の移動も多くなるとみられ、国内でも今後、感染者が増加することを想定すべきだ。混雑した場所ではマスクをしっかりすることや、換気を十分に行うこと、体調が悪い場合は自宅で療養するといった対策を取って、年末年始を過ごしてほしい」と呼びかけています。