社会
大掃除ここが危ない 脚立正しく使えてる?掃除機から火災も…
一生懸命掃除をしていると、足元の危険に気付かないもの。
部屋をきれいにするはずが、脚立から落ちてけがをしてしまった。
中には掃除機が燃えるなんてことも…
その大掃除、進めるときに知っておいてほしい注意点があります。
目次
脚立であやうく大けがに…
「今日はお店の大掃除でした。平脚立から転落したけど、大丈夫かな腰が」
こうSNSに投稿していたのは、仙台市のそば店店員の清水淳一さん(57)です。
清水さんは店の定休日だった今月18日、ほかの店員とともに店の大掃除を行っていました。
その時に高さ1メートル弱の脚立から落下したというのです。
天井の照明の周辺を拭こうと脚立に立ってぞうきん掛けをしていたところ…足を踏み外して転落。腰とお尻を床に強打し、打撲しました。
清水淳一さん
「気づいたらひっくり返っていた感じでした。一瞬息が詰まったけれど、しばらくしたら動けたので大丈夫かなと思ったんですが、そしたら次の日からお尻がものすごく痛くなって。今も湿布を貼っています」
年越しそばの注文もあって忙しいこの時期に、骨折などの大けがにならなくてよかったということですが「上ばっかり見ていてはダメだということがわかりました。ちゃんと足元を確認しないといけないってことですね」と反省しきりでした。
「乗らない・座らない・またがらない」
NITE=製品評価技術基盤機構によると、大掃除が行われる12月は脚立からの転落事故が多くなるといいます。過去には死亡事故も起きています。
では、脚立を使って掃除する際にどのようなことに注意すればいいのか。
NITEの担当者
「脚立は感覚的に使えてしまいますが、禁止事項があります。それは、天板に乗らない、座らない、またがらないことです」
脚立にははしご状になっている方向と、なっていない方向があります。
このはしご状になっていない方向に力がかかると不安定になりやすく、倒れやすいのです。
このため脚立で作業するときには、以下のポイントを守ってください。
・天板には、乗らない、座らない、またがらない
はしごの部分に両足をかけて使用するようにしましょう
・開き留め具を使用する
脚立が突然開いたり閉じたりすることを防ぐ大切なものです
・傾斜しているところや柔らかい地面では使わない
不安定な場所で使うと、転倒のリスクが高まります。平らな場所で使うようにしてください。
・大人の補助者が支える
脚立を壁に立てかけて作業する場合は、角度は75度。補助者が支えましょう。
- 注目
掃除機の電源コード、引っ張ってない?
また、思わぬ危険が潜んでいるのが「掃除機」です。
こんな経験ありませんか。
部屋から部屋に移動して使っているとき、ついつい電源コードを遠くから、
「えいっ」
と、引っ張って抜いてしまう。
そしてものの隙間をスルスルとぬって手元に引き寄せる。
でもこれ、非常に危険なんだそうです。
NITEによると、電源コードに、外部から無理な力が加わると、コード内部の芯線が断線して、異常発熱や発火の原因になることがあるといいます。
対策のポイントは「曲げない」「引っ張らない」「踏みつけない」。
面倒でも電源プラグを持って抜かないと、大変なことになるかもしれません。
実際、NITEのまとめによりますと、5年間で掃除機に関する事故は186件通知されていて、このうち152件が「火災」となっています。
コードレスのバッテリーは純正品?
中でも、最近目立つのが充電式のコードレス掃除機のバッテリーの事故です。
2022年7月には、充電中のバッテリーパックから周辺に燃え広がり、使用者がやけどを負う事故がありました。
このバッテリー、メーカーが指定する純正品ではなく、他社製の「非純正バッテリー」だったということです。
非純正バッテリーは以下のようなリスクを抱えているといいます。
・安全保護装置が作動しない
電気用品安全法の技術基準を満たしていないまま販売されているものも。中には過充電での発熱を防ぐ安全装置が正しく作動しない、もしくはついていない製品もあるということです。
・製造時の品質管理が不十分な場合も
内部の電池に異物が混入したり、部品に不良品が使われていたりするおそれがあるということです。
・メーカー補償を受けられない
非純正バッテリーは“互換性がある”とされるものもありますが、メーカーからすると「改造」に該当する場合があり、損害に対応する義務がなくなって、補償が受けられなくなる可能性があります。
(※NITEへの取材に基づく)
NITEの担当者
「コードレス掃除機の普及に伴い、“ついついちょっと安いから非純正のバッテリーを買ってしまう”という声も聞かれますが、いざ事故や火災が起きた場合に、果たして本当に安くつくのか、安易な考えにとらわれず、今一度考えてほしいと思います」
12月は突出して掃除中の事故が多い
転落ややけどなどの掃除中の事故。
データで見ると、12月が突出して多くなっています。
東京消防庁のまとめでは、都内で去年1年間に掃除中の事故で救急搬送されたのは860人。
過去5年間の合計を月別に見ると、300人前後で推移していますが、12月は600人と倍近くになっています。
搬送される人の年代は60代から80代が全体の6割を占めていて、高齢の人がより事故にあいやすい傾向があるということです。
分別までが大掃除 リチウムイオン電池で火事も
掃除を終えて、最後に大切なのがごみ捨ての際の分別です。
誤ったごみの分別により、ごみ収集車やごみ処理関連施設から出火する火災が相次いでいます。
先月には東京・江東区の粗大ごみ処理施設で、ごみに混入したリチウムイオン電池が原因とみられる火事が発生しました。
特に分別で気をつけないといけないのがモバイルバッテリーなどの「リチウムイオン電池」や殺虫剤などの「エアゾール缶」の捨て方です。
自治体ごとに回収のルールは異なっているため、不用になって処分する際は住んでいる地域のごみの分別ルールをしっかり確認することが必要です。
リチウムイオン電池の廃棄のしかたについてはこちらの記事でも詳しく
さまざまな落とし穴がある大掃除。
注意点をしっかり守って掃除をして、みなさんがスッキリとした気持ちで新たな年を迎えられますように。