米軍オスプレイ 墜落情報 1人死亡 屋久島沖【29日 詳細】

29日午後、鹿児島県の屋久島沖でアメリカ軍の輸送機「オスプレイ」が墜落したという情報があり、海上保安庁が巡視船や航空機を出して対応にあたっています。海上保安庁によりますと、屋久島空港の南東の海上で機体とみられる灰色の多数の残骸が見つかったほか、オスプレイに乗っていたとみられる男性1人が救助されましたが、死亡したということです。

目撃した男性は「機体が突然、ひっくり返り、真っ逆さまになった。火が出て爆発しそのまま海に垂直に落ちていった」と話しています。

今回の事態を受けて沖縄県は沖縄防衛局に対し、原因が究明されるまでの間、海兵隊の所属機を含めてアメリカ軍のオスプレイの飛行を停止させるよう口頭で要請しました。

第10管区海上保安本部によりますと、29日午後2時47分ごろ、鹿児島県の屋久島沖で輸送機「オスプレイ」が墜落したという情報が入ったということです。オスプレイはアメリカ軍所属で、乗組員は6人だったということです。

防衛省によりますと、機体は東京のアメリカ軍横田基地に所属するCV22オスプレイで、29日午後2時40分ごろ、鹿児島県の屋久島の沖合で自衛隊のレーダーから航跡が消えたということです。

屋久島町によりますと、鹿児島県から入った情報として、事故があった場所は、屋久島の東側にある安房地区の東の沖合だということです。

また、国土交通省関係者によりますと、現場は屋久島空港から南東に2キロから4キロほどの海上とみられるということです。

海上保安庁 男性1人死亡

海上保安庁は29日午後7時現在、巡視船と巡視艇あわせて6隻と航空機3機で捜索を行っていて、屋久島空港の南東の海上では、機体とみられる灰色の多数の残骸が見つかっているということです。

また午後3時50分ごろ、地元の漁協からオスプレイに乗っていたとみられる男性1人を発見したと通報があり海上保安官が救助して病院に搬送しましたが、午後5時20分に搬送先の港で死亡が確認されたということです。

男性は外国人とみられ緑色の迷彩服と救命胴衣を着用していたということです。このほか地元の漁協によりますと、周辺海域で漁をしていた数隻の船がこれまでに3人を発見したという情報があるということです。

防衛省関係者によりますと事故が起きたCV22オスプレイは、29日午後2時15分ごろ、山口県にあるアメリカ軍岩国基地を離陸したという情報があるということです。

この機体はほかのCV22オスプレイ2機とともに合わせて3機で沖縄県にあるアメリカ軍嘉手納基地に向けて飛行していたという情報があるということで、屋久島周辺を飛行中に何らかの不具合が起きた可能性があるということです。

気象庁によりますと、屋久島周辺は、29日はおおむね晴れていて、午後2時半の風速は1.9メートルと弱い状況でした。当時、注意報や警報も発表されていませんでした。

海上保安庁が巡視船や航空機を出して対応にあたっています。

海自 捜索を継続

防衛省によりますと、事故が起きた現場周辺の海域では海上自衛隊の艦艇が捜索を続けるということです。

海保 夜間も捜索

また海上保安庁によりますと、巡視船と巡視艇による捜索は夜間も続けられています。捜索を行っているのは屋久島の東側にある安房港の北北東およそ3キロの海上で、現場海域の水深はおよそ30メートルだということです。

海上保安庁はソナーと呼ばれる音波探知機で海中を捜索することも検討していて、今後、アメリカ軍などと調整するということです。

玉城知事「オスプレイの飛行停止を」

今回の事態を受けて沖縄県は沖縄防衛局に対し、原因が究明されるまでの間、海兵隊の所属機を含めてアメリカ軍のオスプレイの飛行を停止させるよう口頭で要請し、これに加えて外務省沖縄事務所に対しては、要請内容について、ただちにアメリカ側へ伝えるよう求めました。

沖縄県の玉城知事は29日午後5時半ごろ報道各社の取材に応じ「オスプレイの危険性が不安視されていることが図らずもこのような形で現実になったのは、非常に残念だとしか言いようがない。民間地や民間空港などに予防的に着陸することが常態化されてしまうことを危惧している。事故原因の究明と対応を徹底しないかぎり、オスプレイを使った訓練は直ちに中止するべきだ」と話しています。

岸田首相「まずは人命救助に全力を尽くす段階」

岸田総理大臣は、29日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「現在、海上保安庁と自衛隊が乗員の捜索・救難活動にあたっており、まずは人命救助に全力を尽くす段階だ。あわせてアメリカ軍に対し事故の状況に関する事実関係の確認を求めていきたい」と述べました。

またアメリカ側にオスプレイの飛行停止を求めたり自衛隊のオスプレイの運用を停止したりする考えがあるか問われ「人命救助に全力を挙げ、アメリカ軍にも協力してもらい事故の実態を確認した上で、何が必要で何が求められるのか検討し、考えるべき課題だ」と述べました。

米エマニュエル駐日大使「迅速な対応に感謝したい」

アメリカのエマニュエル駐日大使は29日夜、都内で開かれたイベントの中で「数時間前にオスプレイが墜落したという情報が入った。現時点では詳細は不明のままだが、乗組員に代わって、自衛隊そして米軍の迅速な対応に感謝したい」と述べました。

屋久島漁協 漁取りやめ救助へ 3人発見の情報

屋久島漁協によりますと、オスプレイが墜落した当時、5隻ほどの漁船が漁に出ていましたが、現時点で被害の情報は入っていないということです。

オスプレイの墜落の情報を受けて、漁師たちが、漁を取りやめて捜索に向かったということです。

屋久島漁協によりますと、周辺海域で漁をしていた数隻の船が現場海域で捜索したところ、これまでに3人を発見したという情報があるということです。容体などはわかっていないということです。

目撃者「機体がひっくり返り火が出て爆発」

屋久島町に住む平田耕作さん(68)は午後2時半すぎ、岬で釣りをしていたときにオスプレイが墜落する様子を目撃しました。

平田さんによりますと、屋久島空港の方向に向かって飛んでいたオスプレイが突然、ひっくり返り、その直後に左翼側のプロペラのあたりから火が出てその部分が爆発し、そのまま海に落ちていったということです。

平田さんは当時の状況について「機体が180度ひっくり返り、背面飛行のように真っ逆さまになった。火が出て爆発したあとはそのまま垂直に落ち、ドーンという音と、黒い煙が立ち上っていた」と話しています。また「自分がいた方に向かってくるように感じたが逃げようがなく、非常に強い恐怖で体がぶるぶると震えた。市民に被害が及ばないよう、安全の確保を徹底してほしい」と話していました。

目撃者「左翼側のエンジンから炎」

屋久島空港の近くでダイビングショップを営む男性によりますと、午後2時40分ごろ、いつもと違うエンジン音が聞こえたため外を見てみると、オスプレイが左翼側のエンジンから炎を上げながら飛んでいたということです。

男性は「屋久島空港の東側から滑走路に進入するような経路で飛んでいたが、左に旋回しながら落ちていった。地響きとともに黒い煙が立ち上ったのが見えたので、すぐに110番通報した」と話していました。

屋久島町に住む酒井幸子さんはNHKの取材に対し「機体が空中で火を噴きながらそのまま海に落ちていく様子が見えました。そして『ドカーン』というものすごく大きな音で水しぶきのようなものをあげて落ちました」と驚いた様子で話していました。

屋久島町小瀬田の76歳の女性は「午後3時前、いつもと違う航空機のエンジン音がしたため、自宅のベランダに出て海のほうを見たら、オスプレイが炎を上げながら飛行していました。そして、機体は海へ落ちていきました。煙が上がり大きな爆発音も聞こえました。あっけにとられ驚きました」と話していました。

屋久島のNHKカメラには…

屋久島の東部、安房地区にNHKが設置したカメラの映像では、午後4時32分ごろ、海上で旋回する海上保安庁の白い機体のヘリコプターから人がロープのようなものを使って海面まで下りている様子が確認できます。

屋久島の東部、安房地区にNHKが設置したカメラの映像では、午後5時半すぎ海上保安庁が船から救命ボートを出して、救助活動にあたっている様子が確認できました。

午後5時40分ごろ、屋久島沖の上空でNHKのヘリコプターが撮影した映像では、海上保安庁の巡視船の右側に救命用とみられる空気で膨らむオレンジ色のいかだがあるのが確認できます。船上では頭にライトをつけた隊員など数人が作業にあたっている様子もわかります。

空港管理事務所に緊急着陸要請の連絡

鹿児島県の屋久島空港管理事務所によりますと、午後2時35分ごろに鹿児島空港からの緊急着陸を要請する連絡があったということです。

また、その5分後に屋久島空港に設置されたカメラで周辺を確認したところ海上付近で煙のようなものが見えたということです。

在日アメリカ空軍「報告受け確認中」

CV22オスプレイが配備されている横田基地の在日アメリカ空軍第374空輸航空団の広報部はNHKの取材に対し「報告を受けて現在、確認をしている」としています。

CV22これまでの事故

アメリカ空軍の「CV22オスプレイ」は、主に特殊部隊の輸送に使われ、日本では2018年10月から東京の横田基地に配備されています。基地がある福生市によりますと、現在、6機が配備されているということです。

アメリカ軍のCV22オスプレイは、2010年にアフガニスタンでの作戦中に着陸に失敗して、兵士4人が死亡する事故が起きたほか、2012年にはアメリカ・フロリダ州で訓練中に5人が負傷する墜落事故も起きています。

また、アメリカ空軍は2022年8月、飛行中にエンジンとローターをつなぐ「クラッチ」と呼ばれる部品が不具合を起こす問題が増えているとして、横田基地も含めてすべての機体の飛行を停止するよう指示し、その後、飛行を再開させていました。

オスプレイをめぐっては、アメリカ海兵隊の「MV22オスプレイ」の事故も起きていて、2016年12月には、沖縄本島付近で夜間の空中給油訓練をしていた際給油機のホースとプロペラが接触し、名護市沖の浅瀬で大破しました。

防衛省によりますと、オスプレイをめぐり国内で死傷者を伴う事故が起きたのは、2016年12月以来、2回目だということです。

防衛副大臣「不時着水した」

宮澤防衛副大臣は、午後6時すぎ、防衛省で記者団の取材に応じ、午後2時40分ごろ、鹿児島県屋久島の沖合でアメリカ空軍の横田基地に所属するCV22オスプレイ1機が不時着水したと説明しました。

「墜落」ではなく「不時着水」としたことについては「アメリカ側からの説明では、最後の最後までパイロットが頑張っていたということなので不時着水ということだ」と述べました。その上で、木原防衛大臣から、被害者の救助に全力をあげるとともに、状況の把握に努め、関係機関との連携に万全を期すよう指示があったことを明らかにしました。

そして、自衛隊の航空機を現地に派遣して捜索活動にあたる一方、アメリカ側に対し、事実関係の確認を求めていく考えを示しました。

また、今回の事故を受けて、アメリカ側にオスプレイの飛行停止を求めるか問われたのに対し、「人命の救出が第一であり、その後に原因究明が行われる。飛行停止を求めるかは、先の話だ」と述べました。

陸上自衛隊元パイロット「何か不具合あったか」

陸上自衛隊でヘリコプターのパイロットを務めた元陸将の山口昇さんは、「屋久島付近の気象の状況は風速1.9メートルとそよ風程度で、飛行に支障をきたしたとは考えづらい。まずはどこに機体があるかを探し、できるだけ早く救助する必要がある」としています。

また、オスプレイが、山口県にあるアメリカ軍岩国基地を出発し沖縄県にあるアメリカ軍嘉手納基地に向かっていたという情報があることについて、「オスプレイは飛べる距離が長く、速度も速いので、岩国から嘉手納まではひとっ飛びで行くことができる。その途中で経路を変更したということは、何か不具合があって最寄りの飛行場に着陸しようとした可能性がある」と話していました。

沖縄 普天間基地では

鹿児島県の屋久島沖でオスプレイが墜落したという情報がある中、沖縄県宜野湾市のアメリカ軍普天間基地では、午後3時50分ごろオスプレイ1機が滑走路に出て、上に向いた2つのプロペラを回して離陸する様子が確認されました。

そのおよそ10分後の午後3時59分にももう1機が滑走路に出て離陸していました。

宜野湾市長「原因究明を」

沖縄県ではアメリカ軍普天間基地に海兵隊が運用するMV22オスプレイが配備されています。

普天間基地を抱える宜野湾市の松川市長は沖縄防衛局から横田基地に所属するCV22オスプレイが墜落したとの連絡を受けたということで「乗員の救助をまず優先してもらいたい。その上で、CVとMVという違いはあるものの、宜野湾市としてはオスプレイということでどうして墜落したのか原因を究明して公表していただきたい」と話していました。

また、今後、沖縄防衛局に対し、普天間基地のMV22の飛行中止を求めていくか問われると「事故原因が公開された上で沖縄防衛局と調整する」と話していました。

佐賀 陸上自衛隊30日のオスプレイ訓練見合わせ

佐賀県吉野ヶ里町の目達原駐屯地で、12月に展示などが予定されている陸上自衛隊のオスプレイの飛行訓練が29日から始まりましたが、アメリカ軍のオスプレイが墜落したという情報を受けて、30日の訓練は見合わせることなりました。

陸自 木更津駐屯地 “一部のぞき通常どおりオスプレイ訓練など”

陸上自衛隊は、千葉県の木更津駐屯地に配備しているV22オスプレイ14機について一部をのぞいて通常どおり訓練などを行うとしています。

V22は今回事故が起きたCV22オスプレイとは機体の仕様が一部異なっていて、ことし7月にすべての機体を点検した際に安全に運航できることを確認したためなどとしています。

東京都など 飛行 停止するようアメリカ軍などに求める方向

アメリカ軍横田基地がある東京・福生市の加藤育男市長は29日午後、防衛省に対し状況の説明を求め、訪れた担当者に対し、原因が究明されるまでの飛行停止や安全管理の徹底、それに再発防止などを求めたということです。

また東京都と、基地がある都内のそのほかの自治体も、原因究明などの対応がなされるまでの間、飛行を停止するようアメリカ軍などに求める方向で調整しているということです。