【25日詳細】ガザ地区の死者の多くが子ども

イスラエル軍はパレスチナのガザ地区に25日にかけても激しい空爆を続けています。

今月7日からの一連の衝突で住民の犠牲が増え続けていて、子どもの死者は2300人を超えています。
空爆で命を落とした際に身元がわかるよう、多くの親が子どもの名前を足や腹部に書いているということです。

最新の動きを随時更新でお伝えしています。

目次

《ガザ地区の状況》

イスラエル軍がシリア軍拠点を攻撃 兵士8人死亡

シリアの国営通信は25日、イスラエル軍がシリア南西部のダラア郊外にあるシリア軍の拠点を攻撃し、兵士8人が死亡、7人がけがをしたと伝えました。

また、北部アレッポにある国際空港もイスラエル軍による攻撃を受け、滑走路などに被害が出たということです。

イスラエルとイスラム組織ハマスの一連の衝突が始まって以降、シリアでは複数回にわたって空港が攻撃を受け、シリア側は今回の攻撃も含めてすべてイスラエル軍によるものだとしています。

シリア人権監視団によりますと、ガザ地区への空爆を行うイスラエルに対し、シリアは小規模な攻撃を行っているということで、イスラエルからの攻撃はその報復とみられています。

また、シリアでは、イスラエルが敵対するイランの支援を受ける民兵組織が活動し、イスラエル軍はこうした組織の関連施設などもたびたび空爆しています。

親が子どもの体に名前を…“命を落とした際 身元わかるように”

パレスチナのガザ地区ではイスラエル軍の空爆によって多くの子どもたちが犠牲となる中、身元がわかるように親が子どもの体に名前を書くケースが相次いでいると伝えられています。

CNNテレビは23日、ガザ地区にある病院の医師の話として、住民たちは自分たちがいつでも攻撃の標的となり、けがや死亡する可能性があると感じていると伝えています。

そして、多くの親が、子どもたちが空爆で命を落とした際に身元がわかるよう、子どもの名前を足や腹部に書いているということです。

また、トルコの国営テレビ、TRTも20日、SNSに、ガザ地区の子どもたちが路上に集まり、自分たちの名前を腕や手の甲に書いている映像を投稿していて、「イスラエル軍の攻撃で死亡した場合に、遺体の身元を確認しやすくするため」とコメントしています。

激しい空爆で子ども含む犠牲者が急増 死者の多くが子ども

イスラエル軍はパレスチナのガザ地区に25日にかけても激しい空爆を続けていて、ハマスのトンネルや武器庫などを破壊したほか幹部1人を殺害したと発表しました。

パレスチナの地元メディアは25日、過去24時間でイスラエル軍の空爆などでおよそ850人が死亡したと伝えていて、連日、多くの住民も犠牲になっています。

ガザ地区の保健当局は今月7日に衝突が始まってからのガザ地区の死者は6546人に上り、このうち子どもが2704人を占めているとしています。

米報道「病院の爆発はガザ地区から発射されたロケット弾」

今月17日にガザ地区の「アハリ・アラブ病院」で起きた爆発ではガザ地区の保健当局が471人の死亡が確認されたと発表し、イスラム組織「ハマス」はイスラエルによる攻撃だと非難する一方、イスラエルはガザ地区のハマスとは別の武装組織が発射したものだと主張しています。

これについてアメリカのバイデン大統領は18日、国防総省の分析情報をもとに「ガザ地区のテロ組織がロケット弾の発射に失敗したためのようだ」と述べイスラエルの主張を支持したほか、イギリスやカナダもこれに沿った分析結果を発表しています。

こうした中、アメリカのNBCテレビは24日、情報機関の話として「病院への被害はロケット弾がもたらすと予測されるものと一致しており、空爆の弾薬や弾丸がもたらす大きなクレーターや爆風によるものとは一致しない」と伝えました。

その上で、爆発はガザ地区から発射されたロケット弾がトラブルによって2つに分解し、病院の駐車場に着弾したことによるものだとしています。

また、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは爆発が起きた当初、ハマス側の高官の話としてイスラエルの空爆が原因だと伝えていましたが、23日になって「ハマスの主張にあまりにも大きく依存し、読者に誤った印象を与えた」と釈明する記事を掲載しました。

一方、爆発の死者についても見方が異なっていて、ガザ地区の保健当局が死者が471人確認されたとする一方、アメリカの情報機関は100人から300人の間としているほか、AFP通信は欧州の情報筋の話として最大50人だと報じています。

《人道支援関連》

UNRWA「燃料入手できなければ25日夜 地区での活動停止に」

ガザ地区では、病院の運営や飲料水の確保で必要な燃料が人道支援物資に含まれず、現地に届かない状況が続いています。

パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は24日「もし燃料が直ちに入手できなければ、あすの夜にはガザ地区での活動を停止せざるを得なくなる」とSNSに投稿し、現地の25日夜には燃料が尽きてしまうと強い危機感を示しました。

OCHA=国連人道問題調整事務所やWHO=世界保健機関によりますと、ガザ地区にある35の病院のうちおよそ3分の1にあたる12の病院はすでに、燃料不足などによって運営できない状況に陥っているということです。

また、ロンドンを拠点に現地で活動する慈善団体によりますと、病院の保育器に入っている赤ちゃん130人が燃料や電力の不足によって命の危険にさらされているということです。

一方、イスラエルはイスラム組織ハマスに燃料が渡り軍事目的で利用されることを警戒し、支援物資の中に燃料を含めることは認めないとしています。

イスラエル軍の報道官は24日に発表した動画の声明でも「燃料がガザ地区に入ることはない。ハマスがガソリンを軍事的な設備に使ったからだ。ハマスが盗んだ燃料を取り戻し、病院に与えるべきだ」と述べています。

米 国務長官「人道目的の一時的な戦闘停止 検討を」

24日に開かれた安保理の閣僚級会合に、アメリカのブリンケン国務長官が出席して、ハマスによる攻撃や誘拐を非難しイスラエルを支持する姿勢を改めて示しました。

そのうえでイスラエル軍のガザ地区への攻撃について「イスラエルは一般市民の被害を避けるためあらゆる予防措置を講じなければならない。ガザ地区に必要な人道支援物資が届くよう、人道目的での戦闘の一時的な停止が検討されなければならない」と述べました。

アメリカは先に安保理議長国のブラジルが提出した決議案に対し「イスラエルの自衛権への言及がない」などとして拒否権を行使しましたが、新たに「人道目的のための戦闘の一時的な停止」を求める決議案を各国に示していて、近く採決が行われる見通しです。

ホワイトハウス「ガザ地区の人たちに燃料供給する必要ある」

アメリカのバイデン大統領は、ホワイトハウスで記者団からガザ地区への人道支援物資の搬入状況について問われ、「十分なスピードで行われていない」と述べて搬入を加速すべきだとの認識を示しました。

またホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は記者会見で、ガザ地区に人道支援物資の燃料を搬入すべきかについて「イスラエル側が、ハマスが燃料を持ち出し、自分たちの目的のために使うのではと懸念していることは理解している」と述べました。

一方で「燃料は不足している重要な物資であり、発電機や病院のために必要なものだ。われわれはガザ地区の人たちに燃料を供給する必要があると考えている」と述べてガザ地区に燃料を搬入すべきだという考えを示しました。

ガザ地区への支援物資 24日も搬入か

深刻な人道危機に陥っているガザ地区への支援物資の搬入について、国連は、24日も物資を載せたトラックがエジプトとの境界にあるラファ検問所に向かったと明らかにしました。

OCHA=国連人道問題調整事務所の報道官は当初、24日は予定していた物資の搬入が行われなかったとしていましたが、その後、現地から情報が入り、数台のトラックがラファ検問所に向かったとしています。

トラックが実際にガザ地区に入ったかどうかは確認できないとしていますが、パレスチナの赤新月社はSNSに支援物資を載せたとみられるトラックの写真とともに「トラック8台に積み込まれた水や食料などの支援物資を受け取った」と投稿しています。

《イスラエルの動きなど》

イスラエル側では1400人死亡 ガザ地区からの攻撃続く

イスラエル側では少なくとも1400人が死亡し、いまも外国人を含む200人以上が人質となっているほか、24日夜もガザ地区からのロケット弾による攻撃やハマスの戦闘員が海岸からの侵入を試みるなど攻撃の応酬が続いています。

ネタニヤフ首相「長い戦争も覚悟しなければならない」

イスラエルのネタニヤフ首相はエルサレムでフランスのマクロン大統領と会談し、その後の記者会見で「民間人の犠牲を避けるためあらゆる努力をする」と述べました。

ただ責任はハマスにあるとして「ハマスは破壊されなければならない。長い戦争も覚悟しなければならない」と警告しました。

一方、一連の衝突でイスラエル側では少なくとも1400人が死亡し、いまもおよそ220人が人質となっているほか、ガザ地区からのロケット弾攻撃も続いています。

家族が人質にとられている人たちの集会 防空警報で騒然

イスラエル最大の商業都市テルアビブで、イスラム組織ハマスに家族が人質にとられている人やその支援者たちによる集会が行われるさなか、防空警報が出され、一時、あたりが騒然としました。

集会の参加者が撮影した映像では、防空警報が発令される直前、参加者たちがプラカードを掲げたり一斉に風船を飛ばしたりして人質の一刻も早い解放を訴えていました。

その後、サイレンが鳴り響く中、参加者たちが近くの建物に慌てて駆け込む様子が確認できます。

集会に先だってテルアビブでは午前中から人質の解放を訴える人たちの姿がみられ、前日にハマスが新たに2人の人質を解放したことを受けて、一刻も早い全員の解放を求める声が聞かれました。

いとこが人質にとられたヤリット・シャイビさんは「すべての人質が解放され、いますぐ家族のもとに帰されるべきです」と話していました。

複数のハマス戦闘員 イスラエルに上陸を試みたか

イスラエル軍は、ガザ地区の2キロほど北にあるイスラエルのジキム海岸に複数のハマスの戦闘員が上陸しようとしたと発表しました。

部隊はダイバーで構成されていて、これに対してイスラエル海軍が攻撃を行ったほか、軍の戦闘機が戦闘員が出発したガザ地区内の軍事施設を攻撃したとしています。

イスラエル軍は周辺を捜索しているということです。

これに対して、ハマスの軍事部門、カッサム旅団はSNSで戦闘員による海からの上陸が成功し、イスラエル軍と交戦しているとしています。

イスラエル 地上侵攻を数日間遅らせる意向か 米報道

アメリカのニュースサイト、アクシオスは、複数のイスラエル政府当局者の話として、イスラエルがガザ地区への地上侵攻を数日間、遅らせようとしていると伝えました。

イスラム組織ハマスが拘束している人質の解放に向けた交渉の時間を確保するためだとしていて、当局者は「ハマスが大きな提案をするなら、その見返りを与える用意がある」と話しているということです。

これに先立ち、アメリカの複数のメディアはアメリカ政府高官の話として、バイデン政権がイスラエルに対し人質の解放に向けた交渉の時間を確保し、ガザ地区の住民により多くの支援物資を届けるため地上侵攻を遅らせるよう求めたと伝えていました。

イスラエル軍は、ハマスによって拘束されている人質は、確認できただけで200人以上にのぼっているとしています。

アメリカ国防総省 海兵隊中将などをイスラエルに派遣

アメリカ国防総省のライダー報道官は24日、記者会見で、アメリカ海兵隊のグリン中将などをイスラエルに派遣したことを明らかにしました。

グリン中将はイラクで過激派組織IS=イスラミックステートに対する市街戦を指揮した人物で、イスラエル軍に作戦の助言をするということです。

ライダー報道官は「彼らは助言しているだけで指示はしていない」としています。

さらに「イラクのような密集した市街地での戦闘経験があれば、民間人の犠牲を少なくするためにできる限りのことを行う重要性などの教訓を共有できる」と述べ、イスラエル軍の作戦による民間人の犠牲を抑えることが目的だと説明しました。

《外交関連》

トルコ大統領 ハマスを擁護 イスラエルとの関係再び冷え込む

イスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突をめぐり、トルコのエルドアン大統領は25日、首都アンカラで開かれた与党の会議で演説し「ハマスはテロ組織ではない。ガザ地区とその市民を守るイスラム戦士だ」と述べて、ハマスを擁護する姿勢を鮮明にしました。

そのうえで「戦闘機で昼夜を問わず子どもたちを殺す国は、イスラエルのほかにはない。訪問する計画もあったが、私は行かない」と述べました。

トルコとイスラエルは、エルドアン大統領とネタニヤフ首相がことし9月にはじめて対面で会談するなど関係の改善を進めてきましたが、今回の事態を受け、両国の関係は、再び冷え込んでいます。

岸田首相 デンマーク首相と会談 緊密連携で一致

岸田総理大臣は、日本を訪問しているデンマークのフレデリクセン首相と会談し、イスラエル・パレスチナ情勢をめぐって事態の沈静化や人道状況の改善に向けて、緊密に連携していくことで一致しました。

25日夜に総理大臣官邸で行われた会談で、岸田総理大臣は、イスラエル・パレスチナ情勢について、ハマスなどのパレスチナ武装勢力によるテロ攻撃を強く非難し、国際社会の平和と繁栄には中東の安定が不可欠だとの認識を示しました。

そして両首脳は、事態の沈静化や人道状況の改善に向けて、緊密に連携していくことで一致しました。

国連安保理「戦闘の一時的な停止」などアメリカの決議案採決へ

国連安全保障理事会の今月の議長国のブラジルは、ガザ地区への人道支援を行うための「戦闘の一時的な停止」などを求めるアメリカの決議案の採決を、25日午後、日本時間の26日午前4時から行うと明らかにしました。

アメリカのブリンケン国務長官は24日の安保理会合で「ガザ地区に必要な人道支援物資が届くよう、人道目的での戦闘の一時的な停止が検討されなければならない」と述べていました。

イスラエル 国連職員へのビザ発給を拒否か

複数のイスラエルメディアによりますと、国連安全保障理事会でのグテーレス事務総長の発言をめぐり、イスラエルのエルダン国連大使が国連職員へのビザの発給を今後、拒否する考えをイスラエル軍のラジオ局に明らかにしたということです。

それによりますと、OCHA=国連人道問題調整事務所のトップを務めるマーティン・グリフィス事務次長のビザの発給をすでに拒否したということです。

そのうえで「彼らに教訓を教えるときが来た」と述べたということで、今後、ガザ地区への国連の人道支援に影響がでることが懸念されます。

イラン国営通信“ハマス レバノンでヒズボラ最高指導者と会談”

ハマスや、ハマスと連携する武装組織「イスラム聖戦」の幹部がレバノンを訪れ、このところイスラエル北部への攻撃を繰り返しているイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の最高指導者ナスララ師と会談したとイランの国営通信が25日、伝えました。

会談ではガザ地区の情勢について共有した上で、イランの支援を受ける各勢力の間で日常的な調整を行っていくことを確認し、イスラエルによる攻撃をやめさせるためにどのような対応をとるかなどについて意見を交わしたということです。

ヒズボラがハマスなどと連携し、イスラエル北部への攻撃を本格化させた場合、イスラエルとの応酬が激しさを増し、混乱が周辺国へも拡大することが懸念されています。

米軍駐留のシリアなどの基地攻撃 イランは関与否定

アメリカ軍が駐留するシリアなどの基地に攻撃が繰り返され、アメリカがイランの関与を指摘していることについて、イランの国連大使は「誤った責任をかぶせようとしている」と述べて、関与を否定しました。

アメリカ軍が駐留するシリアやイラクの基地では、イランが支援する勢力による無人機を使った攻撃が相次ぎ、アメリカはイランの関与を指摘しています。

イランの国営通信によりますと、イラバニ国連大使はこうした指摘について24日、安保理の閣僚級会合で「イランに誤った責任をかぶせようとしている。こうした根拠のない疑いを断固として拒否する。地域の平和と安定についてのわれわれの決意はゆるがず、国際社会とともに即時停戦を呼びかける」と述べ、関与を否定しました。

その上で、イスラエルを支持するアメリカなどに対し「パレスチナの人々の自衛権や自決権をテロと同一視しながら、イスラエルには不当な自衛権を与えようとしている」と非難しました。

米 国務長官 中国外相との会談で協力呼びかけへ

アメリカのブリンケン国務長官は、今週26日から28日にかけて首都ワシントンを訪れる中国の王毅(おう・き)外相と会談することにしています。

これを前に、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突をめぐり24日開かれた国連の安全保障理事会の閣僚級会合で、ブリンケン長官は、中東での戦闘が拡大しないようにすべきだと指摘した上で「中国のカウンターパートと引き続きともに取り組みたい」と述べ、王外相との会談で協力を呼びかける考えを示しました。

中国は、イスラエルと敵対するイランとサウジアラビアの関係正常化を仲介するなど中東で存在感を示しつつあることから、アメリカとしては、ハマスを支援してきたイランなどの動きをけん制する狙いがあるとみられます。

イラン支援の勢力 米軍が駐留する中東の基地に攻撃

イランが支援する勢力は今月中旬以降、アメリカ軍が駐留するイラクとシリアにある基地に無人機などで攻撃を繰り返しています。

これについて、アメリカ国防総省のライダー報道官は24日、記者会見で、今月17日からこれまでに攻撃はあわせて13回に上ったと明らかにしました。

このうち、今月18日に行われたシリアにある基地への攻撃についてアメリカのNBCテレビは、アメリカ中央軍の情報として、軍の兵士20人が軽傷を負ったと報じました。

一方、オースティン国防長官は21日、イランからの弾道ミサイルなどへの警戒を念頭に、中東への防空ミサイルシステムの配備を指示したことを明らかにしましたが、有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは24日、アメリカ政府当局者の話として、その詳細が判明したと報じました。

それによりますと、
迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」をサウジアラビアへ、
地対空ミサイルシステム「パトリオット」をクウェートとヨルダン、イラク、サウジアラビア、カタール、そして、UAE=アラブ首長国連邦に送るということです。

アメリカはパレスチナのガザ地区をめぐる情勢が緊迫化する中で、イランなどがこれに乗じて紛争を拡大させかねないと強く警戒していて、防空システムの配備を急ぐことでこの地域に駐留する軍の部隊の安全を確保したい考えです。

マクロン大統領「ハマスはパレスチナ人を代表していない」

フランスのマクロン大統領は、ヨルダン川西岸のラマラでパレスチナ暫定自治政府のアッバス議長と会談を行ったあと共同で記者発表を行いました。

このなかでマクロン大統領は「ハマスのテロ攻撃はイスラエルにとって悲劇だが、パレスチナ人にとっても大惨事だった」と述べ、イスラム組織ハマスによって暴力の連鎖が起きたという認識を示しました。

そして「私たちはすべての暴力を否定するという同じ立場からテロを糾弾する責任があり、ハマスはパレスチナ人を代表していない」と述べました。

これに対して、アッバス議長は「私たちはパレスチナの国家や権利がイスラエルに認められることを待ち望んでいる。フランスの努力と行動に期待する」と応じていました。

国連安保理でイスラエルとパレスチナ双方が非難の応酬

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突をめぐり、国連の安全保障理事会で閣僚級の会合が開かれ、グテーレス事務総長が「ガザ地区に人道支援物資を届け、人質の解放を促すためにも、人道的な即時停戦を改めて求める」と訴えました。

パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相は、イスラエル軍の攻撃について「一般市民を標的にしたもので、非人道的で不法な無差別攻撃だ。これは国際法違反の集団的懲罰にあたる。一般市民の殺害はイスラエル人もパレスチナ人もいっさい正当化できない」と声を震わせながら非難しました。

これに対してイスラエルのコーヘン外相はハマスにとらわれた人質の家族を議場に同席させ「この虐殺は歴史に刻まれる。ハマスは新たなナチスだ。文明世界がナチスを打ち負かすために団結したように、ハマスを打ち負かすために、世界は団結しなければならない。イスラエルにとってハマスを破壊することは権利ではなく義務だ」と述べ、激しい非難の応酬となりました。

一方、アメリカのブリンケン国務長官は、ハマスによる攻撃や誘拐を非難しイスラエルを支持する姿勢を示しつつも、「ハマスはパレスチナの人たちの代表だとは思っていない。すべての一般市民は保護されなければならず、人道目的の一時的な戦闘停止を検討しなければならない」と訴えました。

さらにこの衝突が中東全域に広がることに懸念を示し、「火に油を注ぐことは許されない」と述べ、イスラエルと敵対してきたイランを強くけん制しました。

イスラエル グテーレス事務総長の辞任要求

グテーレス事務総長は国連安保理の会合に出席し、イスラム組織ハマスによる攻撃や一般市民の誘拐を強く非難し、すべての人質の解放を求めた一方、「ハマスによる攻撃は理由もなく起きたわけではないことを認識することも重要だ。パレスチナの人たちは56年間、息苦しい占領下に置かれてきた」と指摘しました。

これについてイスラエルのコーヘン外相は安保理会合のあと記者会見し、グテーレス事務総長の発言は容認できないとして、この日、予定していた事務総長との会談をキャンセルしたことを明らかにしました。

さらに会見に同席したイスラエルのエルダン国連大使は「テロリストの行為を容認し正当化している。事務総長は辞任しなければならない」と述べた上で、謝罪するよう求めました。

マレーシアでパレスチナに連帯示す大規模集会

東南アジアのマレーシアでは、パレスチナへの連帯を示す大規模な集会が開かれました。集会はマレーシアにあるイスラム教の団体が開いたもので、会場となった首都クアラルンプールにある1万6000人を収容できるアリーナは満席となりました。

集会ではアンワル首相が「民主主義の理想や人権はどこにいったのか。殺人をやめて、食料や薬を与え、赤ちゃんに生きる権利を与えてほしい」と述べ、ガザ地区への激しい空爆を続けるイスラエルに対し、直ちに攻撃をやめるよう求めた上で、パレスチナへの連帯を示しました。

アンワル首相は今月17日、自身のSNSの投稿で、ハマスの最高幹部ハニーヤ氏と16日に電話会談し「パレスチナの人々への揺るぎない支持を伝えた」と明らかにしています。

マレーシアは、人口の6割以上がイスラム教徒とされていて、イスラエルに抗議し、パレスチナへの連帯を示す集会が各地で開かれています。