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【18日詳細】米バイデン大統領 ネタニヤフ首相と首脳会談

イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫の度合いを増すなか、アメリカのバイデン大統領がイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相との首脳会談に臨みました。バイデン大統領は冒頭「アメリカはイスラエルとともにある」と述べ、イスラエルへの連帯を示しました。

そして、バイデン大統領はイスラム組織ハマスによる攻撃を受けたイスラエルへの連帯を示した上で、ガザ地区の病院の爆発について、イスラエル以外の勢力が起こしたとの見方を示しました。その根拠について「アメリカ国防総省が示した情報だ」と述べました。

パレスチナのガザ地区をめぐる情勢です。

※18日(日本時間)の動きをお伝えします。

19日の動きはこちらから↓↓↓

目次

バイデン大統領 演説「ガザ地区などに1億ドルの支援」

アメリカのバイデン大統領は18日、イスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と首脳会談を行ったあと演説を行いました。

この中で、バイデン大統領は「イスラム組織ハマスは過激派組織ISを思い起こさせる残虐行為を行った」と述べ、イスラエルへの大規模な攻撃を行ったハマスを厳しく非難するとともに「われわれは、イスラエルに寄り添う」と述べ、イスラエルへの連帯を改めて示しました。

その上で「イスラエルの防衛のため、アメリカ議会に対し、先例のない支援パッケージを求める」と述べ、議会に対し、イスラエルの対空防衛力などの強化に向け、巨額の予算を要求する考えを明らかにし、追加の軍事支援を行う考えを強調しました。そのうえで危機的な人道状況に対応するため「ガザ地区とヨルダン川西岸の人道支援に対して1億ドルの支援を表明する」と明らかにしました。さらに「パレスチナの大多数の住民はハマスとは異なる。ハマスはパレスチナの住民を代表していない」と述べ、ハマスとパレスチナの住民は別だと強調しました。

アメリカとイスラエル 首脳会談始まる

イスラエルを訪問しているアメリカのバイデン大統領は日本時間の午後5時40分ごろ、イスラエルのネタニヤフ首相との首脳会談に臨みました。

バイデン大統領は冒頭「アメリカはイスラエルとともにある」と述べ、イスラエルへの連帯を示しました。

その上で、ハマスについて「テロリストの集団だ」として、イスラエルへの攻撃を厳しく非難しました。

そして「ハマスはすべてのパレスチナの人たちを代表しているわけではないことを心にとめておくべきだ」とも述べ、パレスチナの住民とハマスは別だと強調しました。

また、17日に起きたガザ地区の病院の爆発について「ほかの勢力によって引き起こされたようだ」と述べ、イスラエル以外の勢力によるものとの見方を示しました。

一方、ネタニヤフ首相はハマスによるイスラエルに対する大規模攻撃の残忍さをあらためて非難した上で「イスラエルはハマスを倒すために団結している。イスラエルの国民はアメリカの支援に感謝している」と述べ訪問を歓迎しました。

会談では、イスラエルへのアメリカの追加の軍事支援や人道危機が懸念されているガザ地区に必要な支援物資を送ったり、住民が避難したりするための人道回廊の設置をめぐり、協議したものとみられます。

また、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻の可能性が高まるなか、バイデン大統領は住民の犠牲を最小限に抑えるようイスラエル側に強く求めたものとみられます。

一方、バイデン大統領はイスラエルのあと、ヨルダンを訪れてパレスチナ暫定自治政府のアッバス議長らと人道支援について協議する予定でしたが、ガザ地区の病院で起きた爆発を受けて、延期を余儀なくされ、難しい対応を迫られています。

バイデン大統領「アメリカ国防総省が示した情報」

バイデン大統領はガザ地区の病院の爆発について、イスラエル以外の勢力が起こしたとの見方を示した根拠について、訪問先のイスラエルで記者団から問われ「アメリカ国防総省が示した情報だ」と述べました。

バイデン大統領「人質解放にあらゆる手段を示す」

バイデン大統領はネタニヤフ首相との首脳会談など一連の日程のあと「人質の家族へ、あなたはひとりではありません。私たちが地域全体のパートナーと取り組んでいるのは、ハマスの人質となっている人を家に連れ帰るあらゆる手段を示すことだ」と述べました。

バイデン大統領「さらなる悲劇 生まないため 支援続ける」

バイデン大統領は、ネタニヤフ首相との首脳会談のあと、イスラエル側の「戦争管理内閣」との会合に臨みました。

この中でネタニヤフ首相は「これは違う戦争になる。ハマスはこれまでとは異なる敵だからだ」と述べました。その上で「戦争を進める上でイスラエルは民間人を危険から遠ざけるためできるかぎりのことをする。民間人には安全なところへ移動するよう要請してきたし今後も要請を続ける」と述べました。

これに対しバイデン大統領は「イスラエルのさらなる悲劇を生まないために、アメリカは支援を続ける。アメリカは、きょうも明日もこれからもイスラエルとともにあり続ける」と述べました。

バイデン大統領 住民たちや救助隊員などと面会

イスラエルを訪問しているアメリカのバイデン大統領は、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃で被害にあったイスラエルの人たちや救助隊員、それに医療関係者などと面会しました。

バイデン大統領は、イスラエルの住民からイスラム組織ハマスからの攻撃を受けたときの様子を聞き、一人ひとり抱擁して慰めていました。

面会したイスラエルのボランティアの救助隊員のひとりはバイデン大統領に対し「私たちの仲間が殺害されたり、捕らえられたりしている。イスラエルを支持してくれてありがとう」と述べました。

また、医療関係者は「攻撃を受けた日には大勢の被害者の手当てをする覚悟をするよう病院から伝えられた。実際にけがをした多くの子どもたちを手当してきた」と述べました。

これに対してバイデン大統領は「医師のあなたがやっていることはとても大事だ」と声をかけていました。

そして面会の最後、バイデン大統領は「苦しみが長すぎると冷酷になってしまうが、ここにいる誰もそうなっていない。皆、どのように現状に対処すべきか理解していると確信している」と述べて、イスラエルの人たちに寄り添う姿勢をあらためて示しました。

バイデン大統領がイスラエルに到着

イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫の度合いを増す中、アメリカのバイデン大統領が日本時間の18日午後5時ごろ、大統領専用機でイスラエルのテルアビブに到着しました。

バイデン大統領は専用機を降りると出迎えたイスラエルのネタニヤフ首相と抱擁し、ことばを交わしていました。

このあとバイデン大統領はネタニヤフ首相と会談する予定でイスラエルへの連帯を示すとともに、必要な軍事支援などについて協議することにしています。

またバイデン大統領はガザ地区での人道危機が深刻化する中、水や食料、それに医薬品などの人道支援物資が現地に届くよう、イスラエル側に要請する見通しです。

ホワイトハウスの高官はバイデン大統領の到着に先立ち、記者団に対し「われわれは罪のない住民の命を守る必要性について、イスラエル側と話し続ける」と述べました。イスラエルによるガザ地区への地上侵攻の可能性が高まるなか、バイデン大統領は住民の犠牲を最小限に抑えるようイスラエル側に強く求めるものとみられます。

イラン ライシ大統領 病院爆発“イスラエルによる攻撃”主張

ガザ地区の病院での爆発を受け、イランでは、18日、首都テヘラン中心部の広場に大勢の市民が集まってイスラエルに抗議するとともに、ライシ大統領が演説しました。

この中で、ライシ大統領は爆発についてイスラエルによる攻撃だと改めて主張し「誰がこんな恐ろしい犯罪を受け入れられるだろうか」と強く非難しました。その上で各国に対し「イスラエルとの関係を断ち、その大使を追放するとともに大使館を閉鎖することを期待する」と述べ、国交のある国にイスラエルと断交するよう呼びかけました。さらに、イスラエルへの連帯を示し、軍事支援を行うアメリカに対しては「世界の人々があなたたちをイスラエルの共犯者だとみなしており、その憎しみを目の当たりにするだろう」と警告しました。

ガザ地区 病院で爆発 少なくとも500人死亡か

イスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区では17日夜、北部の病院で爆発があり、ハマス側はイスラエル軍の空爆によって病院に避難していた多数の人々が巻き込まれ、少なくとも500人が死亡したと主張しています。

これに対してイスラエル側はイスラエル軍の攻撃ではないと否定したうえでハマスとは別の武装組織「イスラム聖戦」が発射したロケット弾が病院の近くの駐車場に落下したことによる爆発だと主張しています。

この爆発を受けてパレスチナ暫定自治区のヨルダン川西岸地区や周辺のアラブ諸国を含む中東各国でイスラエルを非難する激しい抗議活動が広がりました。

また、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長やヨルダンのアブドラ国王、エジプトのシシ大統領は18日、ヨルダンでアメリカのバイデン大統領と協議する予定でしたが、今回の事態を受けて延期されました。

救急隊員「何百人もの市民が死亡 多くが子どもや女性」

爆発のあったガザ地区の病院に向かった救急隊員は「私たちが現場に着くと、何百人もの市民がすでに死亡していた。部屋やシェルターもなく、彼らは、木の下で眠っていた。その多くが子どもや女性などだった」と話しています。

双方の死者 4600人超える

一連の衝突でこれまでにイスラエル側では少なくとも1400人が死亡した一方、ガザ地区では少なくとも3200人が死亡し、双方の死者は4600人を超えています。

ガザ地区ではこれまでにおよそ100万人の住民が家を追われ、イスラエル軍の空爆が続く中、飲み水や食料、医薬品が著しく不足する状態が続いています。

イスラエル軍は18日、ガザ地区北部の住民に改めて南部に退避するよう通告しました。

また、イスラエル軍は南部では必要に応じて国際的な人道支援物資が届く予定だとしていますが、これまでのところエジプトとの境界の検問所から物資が搬入されたという情報はありません。

病院での爆発をめぐってイスラエルとハマスの対立に加え、周辺のアラブ諸国でもイスラエルへの反発が強まる中、人道状況の改善に向けた糸口は見えていません。

病院爆発 双方の主張に違い

パレスチナの保健当局は、死亡した人には、患者や子ども、女性が多く含まれていて、現場では、救助隊ががれきの中から救助を進めているということです。

キリスト教系の団体が運営するこの病院は、イスラエル軍が住民に退避を通告しているガザ地区の北部にあり、退避できない住民などが病院の中庭などに身を寄せていたということです。

この爆発についてイスラエル軍は、攻撃を否定したうえで、ハマスとは別の武装組織のロケット弾が発射に失敗したのが原因とみられると主張しています。

イスラエル軍はSNSに病院で爆発が起きたとする現地時間17日午後7時前にロケット弾の発射の失敗の様子を写したとする映像を投稿しました。

映像では、暗闇の中で飛しょうする物体がオレンジ色の光とともに爆発したあと、その後、地上で大きな炎が上がる様子が写っています。

爆発のあった病院はガザ地区で最古

爆発のあった「アハリ・アラブ病院」はキリスト教系の団体が運営する病院で、イスラエル軍が住民に退避を通告しているガザ地区の北部にある最大の都市、ガザ市の中心部にあります。

運営する団体などによりますと、1882年に設立されたガザ地区で最も古い病院で、80の病床を備えているということです。

毎月、外来の患者が3500人ほど訪れるほか、手術は300件、放射線検査は600件以上行われていて、宗教や民族などに関係なく、治療を必要とするすべての人に医療を提供するとしています。

この病院を支援してきた団体の共同代表を務める、東京外国語大学の藤田進 名誉教授によりますと、建物自体は大きくないものの、外科や内科、産婦人科などの診療科があり、パレスチナのスタッフを中心に欧米の医師などの支援も受けながら、この地域の医療を支えてきたということです。

イスラエル軍が住民に退避を通告したあとは、退避できない住民などが病院の中庭などに身を寄せていたとみられています。

病院を運営する団体は17日、声明を発表し、「数え切れないほどの人命が失われ、人道に対する犯罪としか表現できないような事態が明らかになっている。この残虐な攻撃を最も強いことばで非難する」としています。

イスラエル軍が関与否定「病院を攻撃していない」

イスラエル軍は18日、会見を開き「陸、海、空、いずれからもイスラエル軍は病院を攻撃していないと確認した」と改めて関与を否定しました。

そしてハマスとは別の武装組織「イスラム聖戦」がロケット弾の発射に失敗したのが原因だと主張しました。

また、上空からの映像を分析した結果、被害を受けたのは病院の外の駐車場で、空爆による穴や近くの建物への構造的な損傷はなく、空爆の被害とは異なると主張しました。

その上で爆発が起きたとき、レーダーシステムによって武装組織によるガザ地区からのロケット弾の発射がとらえられたほか、ロケット弾の発射が失敗したことなどを示す映像があることを強調しました。

さらに、ロケット弾の誤射について話す武装組織内の会話だとする音声データを公開し、「イスラム聖戦」の関与を重ねて主張しました。

一方、ロイター通信によりますとイスラエル軍がロケット弾を発射したと主張する武装組織はこの時間帯にガザ市周辺では活動を行っていなかったとして爆発への関与を否定しているということです。

この爆発を受けてパレスチナ暫定自治政府のアッバス議長の報道官は声明で「病院への空爆で数百人の死者を出したのはジェノサイドの罪にあたる」などと非難しました。

また自治政府の公式メディアはアッバス議長がガザ地区の情勢を巡って18日にヨルダンで予定されていたバイデン大統領やエジプトのシシ大統領などとの会談を欠席することを決めたと伝えています。

ヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区の複数の都市ではイスラエルへの抗議デモも起きていて波紋が広がっています。

パレスチナ暫定自治政府 アッバス議長

バイデン大統領「悲惨な人命の損失に憤り 深く悲しんでいる」

ガザ地区の病院で起きた爆発についてアメリカのバイデン大統領は声明を出し「悲惨な人命の損失に憤り、深く悲しんでいる」として犠牲となった人々を悼みました。

バイデン大統領は事態を受けて直ちにヨルダンのアブドラ国王やイスラエルのネタニヤフ首相と協議するとともに、政権の安全保障チームに実際に何が起きたのかについて情報を収集するよう指示したとしています。

そのうえで「アメリカは紛争下の住民の生活の保護を明確に支持している」と強調しました。

アメリカ バイデン大統領

双方の死者 4400人超える

イスラエル軍とハマスの衝突ではイスラエル側では少なくとも1400人が死亡した一方、ガザ地区では少なくとも3000人が死亡し、双方の死者は4400人を超えています。

イスラエル軍は17日、ガザ地区南部のラファやハンユニスなどに空爆を行い、ハマスの指揮所や軍事インフラを破壊したと主張しました。

一方、ハマス側は17日、過去24時間にイスラエル軍の空爆でラファなどでおよそ80人が死亡したとしています。

さらにガザ地区にある病院が17日、攻撃を受け、数百人の死傷者が出ていると主張しています。

ガザ地区ではすでにおよそ100万人が住む場所を追われ、イスラエルによる空爆や封鎖で医薬品が不足するなど、人道状況の悪化が著しく、17日にガザ市内の病院で撮影された映像では、物資が不足するなかで次々と運び込まれるけが人に医師たちがあわただしく対応する様子が映されています。

ガザ地区 避難所の国連学校に攻撃 6人死亡

パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は17日午後、ガザ地区の中部にある多くの人が身を寄せていたUNRWAの学校に攻撃があり、少なくとも6人が死亡し、UNRWAのスタッフを含め数十人がけがをしたと発表しました。

イスラエル軍がガザ地区北部の住民に対し南部に退避するよう通告する中、UNRWAによりますと、この学校には少なくとも4000人が身をよせていて、今回の攻撃で学校の建物にも深刻な被害があったということです。

UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は「言語道断だ。またしても民間人の命を著しく軽視している」とコメントし、攻撃を強く非難しました。

《各国の反応》

アラブ諸国など中東各地で抗議デモが相次ぐ

アラブ諸国など中東各地では、イスラエルやそれを支援するアメリカに対する抗議デモが相次いでいます。

このうち、レバノンの首都ベイルートにあるアメリカ大使館の近くでは、18日、大勢の人が集まり、パレスチナの旗を掲げて声を上げたり、石を投げたりして抗議活動を行いました。

大使館に近寄れないようバリケードが設けられていましたが、デモ隊が集まる場所のそばの建物からは炎があがっていたほか、治安部隊が催涙弾を使うなどしてデモ隊を追い払う様子も見られました。

一方、パレスチナ暫定自治区のヨルダン川西岸地区で撮影された映像では、人々がタイヤに火をつけ、あたりには炎とともに黒い煙が立ちこめていました。

パレスチナの旗を掲げた人たちは、バリケードの後ろにとまっていたイスラエル軍の車両の方に向かって、石のようなものをロープの先につけて投げ飛ばし、抗議の意志を示していました。

アラブ諸国から非難の声相次ぐ

アラブ諸国からは、イスラエルによる攻撃だとして非難する声が相次ぎました。

このうち、ガザ地区に隣接するエジプトのシシ大統領は、SNSに「イスラエルによる病院への空爆で数百人が死亡したことは非常に残念で、この行為を最も強い言葉で非難する」と投稿しました。

エジプトは、ガザ地区に支援物資を搬入したり住民を避難させたりするための人道回廊の設置に向けて関係国と調整を続けています。

エジプト シシ大統領

また、ヨルダンのアブドラ国王も「イスラエルが行った病院への攻撃は、虐殺であり、戦争犯罪であり、到底見過ごすことはできない。この戦争は危険な段階に入り、地域全体を巻き込んだ大惨事に発展しようとしている」として、強く非難しました。

また、イスラエルとの国交正常化が取りざたされていたサウジアラビアの外務省は「多くの民間人が犠牲となったイスラエル軍による病院への悲惨な攻撃を最も強い言葉で非難する」とする声明を発表しました。

このほか、UAE=アラブ首長国連邦やモロッコも、イスラエルを名指しで非難し、今回の病院への攻撃を受けてアラブ諸国ではイスラエルに対する憤りや反発が強まっています。

ヨルダン アブドラ国王

イラン報道官 “イスラエルによる攻撃 すみやかに調査を”

ガザ地区の病院で爆発が起きたことを受けてハマスを支援してきたイランでは外務省のキャンアニ報道官が声明を出しました。

声明では爆発をイスラエルによる攻撃だとしたうえで、「イスラエルはこの恐ろしい犯罪により、その凶暴性や残忍性とともに国際法の原則をわずかも順守しないことを世界中に示した」と強く非難しました。

その上で「国際社会、特に、国連の安全保障理事会などがこの戦争犯罪を速やかに調査してイスラエルの罪を問い、責任を果たすことが期待される」と述べ、しかるべき対応を求めました。

また、ライシ大統領は犠牲者に哀悼の意を表した上で、イランでは18日、喪に服すことを決めたと発表しました。

トルコ エルドアン大統領「イスラエルによる尊厳欠く攻撃」

ガザ地区の病院で爆発が起きて、多数の死傷者が出ていることを受けて、トルコのエルドアン大統領は17日、自身のSNSを更新し「女性や子どもたち、罪なき市民がいる病院を攻撃することは、イスラエルによる人間の尊厳を欠く攻撃の最新の事例だ」として爆発はイスラエルによる攻撃だと非難しました。

その上で「ガザで起きた歴史上、類を見ないこの野蛮な行いを止めるべく、すべての人々に行動を呼びかける」として、国際社会に対して、イスラエルによるガザ地区への空爆をやめさせるために立ち上がるよう訴えました。

これを受けて、トルコの首都アンカラにあるイスラエルの大使公邸や最大都市イスタンブールにあるイスラエル総領事館の前では大勢の人がパレスチナの旗を掲げて集まり、「殺人者よ、パレスチナから去れ」とか、「抵抗を続ける」といった声を上げていました。

このうち、イスタンブールでは18日深夜、イスラエル総領事館に押し入ろうとしたデモ隊に治安部隊が催涙スプレーを使用するなど、緊迫した状況になりました。

国連でも各国が非難の動き

ガザ地区の病院でおきた爆発をめぐり、ニューヨークの国連本部では17日、アラブ諸国の国連大使らが集まり記者会見を開きました。

この中で、パレスチナのマンスール国連大使は「可能なかぎり最も強い言葉で非難する。イスラエルがこの虐殺、犯罪の責任を負い、罰せられなければならない」と非難しました。

さらに、国連安全保障理事会で前日、即時停戦などを求める決議案が否決されたことに触れ「きのう、安保理が責任を果たしていれば、500人の命は救われた。安保理は目を覚ますべきだ」と述べ、安保理の対応も非難しました。

一方、ガザ地区の病院の爆発をめぐって、ロシアとUAE=アラブ首長国連邦は、対応を協議する安保理の緊急会合の開催を要請し、18日午前、日本時間の今夜にも開かれる見通しとなりました。

ロシアのポリャンスキー国連次席大使は自身のSNSに「前日の安保理で決議案に反対したり棄権したりした国からこの事態について説明を聞きたい」と投稿し、緊急会合でアメリカなどを追及する構えをみせています。

国連 グテーレス事務総長「即時の人道的な停戦を求める」

国連 グテーレス事務総長

国連のグテーレス事務総長は18日、中国で開かれている「一帯一路」の国際フォーラムで演説しました。

このなかでグテーレス事務総長はガザ地区の病院でおきた爆発について「数百人が死亡したことに恐怖を覚える。私たちが目の当たりにしている人々の壮絶な苦しみを和らげるため、即時の人道的な停戦を求める」と訴えました。

その上で「この地域は崖っぷちにある。ハマスに対しては、人質を即時に無条件で解放することを求める。イスラエルに対しては、ガザ地区の住民に対する無制限の人道支援を直ちに許可することを求める」と述べました。

グテーレス事務総長は、このあとエジプトの首都カイロに向かうことになっていて、エジプトのシシ大統領と会談するほか、21日にエジプトが主催する国際会議に出席し、人道状況が悪化しているガザ地区に人道支援物資を運び込むため、関係国との調整にあたるということです。

WHO「病院攻撃を強く非難する」

ガザ地区の病院が攻撃されたことを受けてWHO=世界保健機関は17日、「病院への攻撃を強く非難する」とする声明を出しました。このなかで「初期の報告では、数百人の死者とけが人がいるようだ」としています。

また声明では、この病院について「病院は稼働しており、患者や医療従事者、国内避難民などがいた。イスラエル軍から退避を命じられているガザ地区北部の病院の一つだが、多くの重篤な患者がいたことや代わりの避難所の不足から、退避は不可能だった」と指摘しています。

その上で、民間人や医療を保護し、国際人道法を順守することや、イスラエル軍によるガザ地区北部の住民への退避通告を撤回することを改めて求めています。

WHOは15日の声明でも「病院からの退避を強制することは、集中治療や救命手術が必要な人たちにとって死刑宣告となる」として、病院からの退避が不可能だと訴えていました。

支援団体の共同代表「安否が分からず心配」

大きな爆発があったガザ市にある病院に寄付金を送り、支援してきた団体の共同代表を務める、東京外国語大学の藤田進名誉教授がNHKの取材に応じました。

藤田名誉教授によりますと、この病院はガザ市の中心部に位置し、建物自体は大きくないものの、外科や内科、産婦人科などの診療科があり、パレスチナのスタッフを中心に欧米の医師などの支援も受けながら、地域の医療を支えてきたということです。

藤田名誉教授は「ニュースを聞いてことばを失った。これまで何度も現地で会ってきた院長や医師の安否が分からず心配だ」と述べました。

その上で「この病院は、ハマスの下でもイスラム教やキリスト教といった宗教に関係なく、あらゆる人々に差別なく無料で医療を提供してきた。中庭に多くの人が集まっている映像も見たが、ここなら安全だと信じていたのだと思う。病院への攻撃はあってはならず、ガザ地区への攻撃で最悪の事態だ」と述べました。

バイデン大統領 イスラエルに向け出発

イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫の度合いを増す中、アメリカのバイデン大統領はイスラエルを訪問するため、日本時間の18日7時前、大統領専用機で首都ワシントン近郊の空軍基地を出発しました。

バイデン大統領はネタニヤフ首相と会談する予定で、イスラエルへの連帯を示すことにしています。

またイスラエルによるガザ地区への地上侵攻の可能性が高まるなか、住民の被害を最小限に抑える方策についても協議する見通しです。

米長官 米軍兵士2000人に展開命令への備えを指示

アメリカ国防総省は17日、中東情勢のさらなる緊迫化に対応するため、オースティン国防長官がアメリカ軍のおよそ2000人の兵士に対し、展開命令に備えるよう指示したと発表しました。

現時点では、いかなる部隊の展開も決定はされていないとしています。

国防総省のシン副報道官は記者会見で「大統領が決定すれば、アメリカは追加の防空能力や後方支援などを速やかに展開する」と強調しました。

アメリカはイスラエルへ迎撃ミサイルなどを供与しているほか、イスラエルに近い地中海に空母打撃群を展開させ、イスラエルと敵対するイランなどが介入しないようけん制を強めています。

バイデン政権 ガザ地区住民の犠牲増え 人道支援も強調

アメリカのバイデン政権はイスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模な攻撃のあと、直ちにイスラエルへの支持を打ち出しましたが、ガザ地区の住民の犠牲が増え、人道状況への懸念が強まる中、人道支援に力を入れる姿勢も強調しています。

バイデン大統領は今月7日、ハマスによるイスラエルへの大規模な攻撃について「テロだ」と厳しく非難するとともに「イスラエルは自国と国民を防衛する権利がある」と述べ、イスラエルへの強い支持を打ち出しました。

さらに10日、バイデン大統領は演説を行い「ハマスはパレスチナの人たちを『人間の盾』として利用している」として、空爆で多くの住民が犠牲になっていることについてハマスの責任を強調しました。

ガザ地区の人道状況への懸念が日に日に強まる中、11日にはホワイトハウスの高官が「ハマスが行ったことについて住民が責められるべきではない」と述べ、パレスチナの住民に人道支援を届けることが重要だと指摘しました。

12日には、イスラエルを訪問していたブリンケン国務長官がアラブ諸国を訪問すると発表し、ガザ地区に必要な物資を届けたり、住民が避難したりするための人道回廊の設置に向けた協議を加速させました。

バイデン大統領は、15日に放送されたニュース番組のインタビューの中で、ガザ地区への攻撃を続けるイスラエルに対し、住民の被害を防ぐよう呼びかけるとともに、ガザ地区を占領することについては「大きな過ちだ」と述べ、反対する姿勢を示しました。

その上で「ガザ地区の罪のない人たちが薬や食料などを入手できるようになると確信している」と述べ、人道支援に力を入れる姿勢を強調しました。

バイデン大統領 イスラエル訪問へ

こうした中、アメリカのバイデン大統領は18日、イスラエルを訪問してネタニヤフ首相と会談する予定です。

イスラエル側はバイデン大統領に軍事作戦の詳細を説明し、近く行う可能性がある地上侵攻に向けて事実上、アメリカの了承を得たいねらいがあるとみられます。

一方、アメリカ側はイスラエルへの連帯を示すとともに、ガザ地区の住民の被害を最小限に抑えるための方策について協議するとしています。

イスラエル軍による地上侵攻が始まれば、人道状況はさらに悪化することが懸念されていて、バイデン大統領がガザ地区の人道危機を回避するため一定の役割を果たせるかが焦点です。

英スナク首相 サウジの皇太子と電話会談で対応協議

イギリス スナク首相

イギリスの首相官邸はスナク首相が17日、サウジアラビアのムハンマド皇太子と電話で会談し戦闘が続くガザ地区をめぐる対応を協議したと発表しました。

それによりますと、スナク首相は「平和的な解決をもたらすため、サウジアラビアのリーダーシップを歓迎する」と伝えた上で、両首脳は中東地域がイランの代理勢力などによってさらに不安定になるのを阻止するとともに、緊張緩和に向け取り組むことで合意しました。

イスラエルと散発的な衝突が続いている隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラを念頭にしたものとみられます。

またスナク首相はこの日、カタールのタミム首長とも電話会談し、ガザ地区への人道支援のための安全な通路の確保や、人質の解放に向けた協力などについて話し合ったということです。

こうした中、イギリスのテレビ局・スカイニュースは、スナク首相が今月19日にもイスラエルを訪れる可能性があると報じました。

イギリス政府によりますとイスラエルとガザ地区にはイギリス国籍を持つ人が合わせて5万から6万人いて、政府は戦闘の拡大を防ぐためイスラエルや周辺国への働きかけを強めています。

国連グテーレス事務総長 19日からエジプト訪問へ

国連は、グテーレス事務総長が今月19日からエジプトを訪問すると発表しました。

グテーレス事務総長は、訪問中の中国からエジプトの首都カイロに向かう予定で、イスラエル軍とハマスの衝突を受けて、エジプトのシシ大統領と会談するほか、21日にエジプトが主催する国際会議に出席するということです。

国連のデュジャリック報道官は17日の定例会見で「ガザ地区へ人道支援物資を届ける必要があり、いますぐ安全なルートが必要だ」と述べ、グテーレス事務総長はエジプトを訪問中に、人道状況が悪化しているガザ地区に人道支援物資を運び込むため、関係国との調整にあたると明らかにしました。

国連 “ガザの退避は民間人の強制移送にあたる可能性”

国連人権高等弁務官事務所 シャムダサーニ報道官

イスラエルがガザ地区北部の110万人にのぼる住民に南部への退避を通告し、住民が避難を強いられていることについて国連人権高等弁務官事務所のシャムダサーニ報道官は17日、「国際法上、イスラエルが安全などを理由にガザ地区の住民を一時的に避難させる場合、宿泊場所の提供など、適切な条件が必要だが、イスラエルはこうした配慮はしなかった」と会見で述べ、退避が民間人の強制移送にあたる可能性を指摘しました。

民間人の強制移送は、ICC=国際刑事裁判所によって人道に対する罪として規定されています。

そのうえでイスラエルに対し、民間人への無差別な攻撃を避け、被害を最小限に抑える措置を講じるよう求めました。

ドイツ ショルツ首相 イスラエルに連帯示す ナチスの歴史踏まえ

ドイツのショルツ首相は、17日、イスラエルを訪問してネタニヤフ首相と会談したあと、共同で記者会見し「このような困難な時にドイツにとっての場所はひとつしかない。イスラエルのかたわらだ」と述べ、イスラエルに連帯を示しました。

ショルツ首相は、今月7日にハマスによるイスラエル側への大規模な奇襲攻撃が起きて以降、現地をいち早く訪れた首脳で「ドイツの歴史、ホロコーストから生じた責任は、イスラエルの生存と安全のために立ち上がることをわれわれの使命としている」と述べ、ナチスによるユダヤ人の大量虐殺を踏まえ、イスラエルの安全保障を重視していると強調しました。

地元メディアは、ショルツ首相のいち早いイスラエル訪問はドイツがナチスの過去からイスラエルの安全に対して特別な責任を背負っていることをあらわしていると伝えています。

これに対してネタニヤフ首相は「ハマスの殺人者たちによる残虐行為は、ホロコースト以来のユダヤ人への最悪の犯罪だ。ハマスは新たなナチスだ」と述べ非難するとともに、各国がイスラエルの行動を支持するよう求めました。

G7外相が電話会談 ガザの人道状況改善の必要で一致

イスラエルによるガザ地区への地上侵攻の可能性が高まる中、G7の外相は昨夜9時すぎからおよそ1時間、電話で会談しました。

この中で、議長を務める上川外務大臣は「深刻な懸念を持って注視しており、G7メンバーの精力的な外交努力に感謝する」と述べ、みずからも中東諸国などに事態の沈静化を働きかけていることを説明しました。

その上でガザ地区の状況をめぐり、「人道状況の悪化を最小限に食い止めることが重要で、人道支援を極めて重視している」と述べました。

さらに、各国の自国民の退避でもG7で連携したいと呼びかけました。

そしてG7外相は、ハマスなどの攻撃を「テロ攻撃」だとして断固として非難するとともにガザ地区の人道状況の改善が必要だという認識で一致し、引き続き連携して対応していくことを確認しました。

このあと上川大臣は記者団に対し「外交努力を通じ、事態の沈静化やガザの人道状況の改善に向けて積極的に取り組んでいく」と述べました。

上川外相 「多大な被害の発生に強い憤りを覚える」

上川外相

上川外務大臣は18日、談話を発表し「罪のない一般市民に多大な被害が発生したことに強い憤りを覚える。病院や一般市民への攻撃は、いかなる理由でも正当化されない。犠牲者に哀悼の誠を捧げるとともに、遺族に哀悼の意を表し、負傷者に心からお見舞い申し上げる」としています。

その上で「わが国は、全ての関係者が国際法を踏まえて行動することを求める。一般市民の安全を確保し、事態を早期に沈静化するよう各国と連携しつつ、さらに尽力していく」としています。

外務省 現地の危険情報レベル引き上げ

外務省は18日、現地の危険情報のレベルを引き上げました。

ガザ地区とその境界周辺は最も高いレベル4の「退避勧告」を継続し、レバノンとの国境地帯もレベル4の「退避勧告」に引き上げました。またヨルダン川西岸地区はレベル3の「渡航中止勧告」に引き上げました。

一方、テルアビブやエルサレムなど、このほかの地域については不要不急の渡航中止を求めるレベル2を継続しています。

外務省によりますと、18日の時点で、イスラエルとパレスチナにはあわせておよそ900人の日本人が滞在しています。

これまで日本人が被害を受けたという情報は入っていないということです。

また、ガザ地区には国際機関やNGOの関係者など少人数の日本人がいて、全員と連絡はとれているということです。

都内のイスラエル大使館前で犠牲者を追悼

都内のイスラエル大使館前では18日、日本に暮らすイスラエル人やイスラエルとアメリカの大使なども参加してイスラム組織ハマスによる攻撃で犠牲となった人々を追悼する集会が開かれました。

集会には100人ほどが集まり、祈りを捧げたり花を手向けたりしたほか、「私たちの家族をかえせ」などと英語で書かれたプラカードが置かれ、人質の一刻も早い解放を願っていました。

また、イスラエル側の犠牲者数の1400という形にろうそくが置かれ、人々が火をともしていました。

集会に参加した都内に暮らすイスラエル人の50代の男性は「イスラエル人は私も含めてものすごくショックを受けています。民間人は本当に巻き込みたくないです。誰も戦争はしたくありませんが、ある日突然攻撃されたイスラエルの防衛の権利を世界には認めてほしいです」と話していました。

イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使は「多くの支援にとても心を動かされました。私たちは、民間人を標的にはしていません。日本の人々には私たちと共にあってほしいです」と話していました。

パレスチナ暫定自治政府の駐日代表部「重大な残虐行為だ」

ガザ地区の病院での爆発を受け、パレスチナ暫定自治政府の駐日代表部のワリード・シアム代表は18日、記者会見を開き「イスラエルが非武装の住民に対して行った重大な残虐行為だ。イスラエルは紛れもなく戦争犯罪を行い、基本的人権や国際法を明らかに犯している」と述べた上で、イスラエル側が多くの市民がいる病院を標的に攻撃したとして強く非難しました。

シアム代表は、病院では少なくとも500人の死亡が確認されているとした上で、被害の詳しい状況はわかっておらず、死者の数はさらに増える見通しだとしています。

シアム代表は「イスラエルを擁護することをやめ、この戦争犯罪を止めることは国際社会の責任だ」と述べて、アメリカのバイデン大統領をはじめ各国に対してガザ地区での被害を防ぐために早急な対応を訴えました。

またシアム代表は、ガザ地区では食料や医薬品のほか病院の機能を維持するための燃料が不足し、医療がひっ迫しているとして「けが人をガザ地区の外の医療機関に搬送するための人道的なルートが必要だ」と話していました。

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